軌跡へ戻る 2003年9月13日(土)、14日(日)
長月らまんだ 於:スペースヤマザキ
音楽
eng clumesy 六波羅らまんだ / 鍵本ユウ
Another Light Shines two ways to be free toward / へっちん
ドルメシュ / 阿部峰大
シギの詩 / 大塚真帆
詩
もしくは 樽 引っ張られる 日常 / 頼安 祐子
ヤマザキさんとはアール・ゲコの活動をしていた中で、偶然の偶然から出会いました。ヤマザキさんは自宅の一部を公演スペースとして貸し出しており、よかったら使ってください、と言ってくださっていたのです。 下見してみると、四畳半の部屋が二つ続いており、思っていたより狭くなく、また破壊しなければ何をしてもよいとのありがたいお言葉。 どのようなイベントにするかを考えた挙句、今回は他のアーティストの作品を絡めたコラボレート的なものにしよう、ということになりました。何故そのような形式にしたのかというと、ひとつは二人だけでまるまる一つのイベントに足る音楽やパフォーマンスを作る時間がなかったからと、もうひとつはメンバーが増えることでより広い視野のある作品ができるのではないかと考えたからです。 そこで、全体の流れをなんとなく考えた上で吉音のメンバーである頼安さんに詩を、へっちん君、阿部君に音楽を依頼しました。 そしてだいたい音ネタができたところでミーティングを行い、全体を通して聞いて具体的に流れを組み立てていったのですが、今回この作業が一番悩み、苦労しました。作曲者4名、曲数8のそれぞれ独立した作品をひとつの流れに乗せようとするのですから、多少無理があっても仕方ないのかもしれませんが。 しかし頼安さんの詩が曲間に入ることで方向性や流れがかなり助けられ、またスペース・ヤマザキが位置する六波羅という霊的に特殊な場所に触発されて、ぐんぐん作品が作り上げられていきました。 また今回は鍵本氏がオブジェ・絵画制作でも参加し、また阿部君にパフォーマンスでも参加してもらい、視覚的にもさらに広げることができました。 結局、できあがった作品は1時間弱の、音楽、詩、パフォーマンス、映像、オブジェ、絵画などが混ぜ込まれたかなりボリュームのあるものになりましたが、作り上げる過程を楽しむことができ、また足らない点は多々あるにしても、今ある力を出し切れたという感があり、満足しています。 このようなパフォーマンスイベントでは、たいてい音楽は作品に沿って作られるものだと思います。しかし、アール・ゲコは「音楽を視覚的に表現する」ということをひとつの目標にしており、今回もあくまでまず音楽ができた上で、作品をつくりあげる作業を始めました。その過程で苦労も多々あり、またお客さんのなかには観づらいと感じた方もおられたようです。 今回はそのような意味でも本当に実験的であり、とても考えさせられました。 しかしそれぞれの音楽が流れをつくる上で単なる足枷となるのではないということだけは分かったような気がします。 それは土地のせいか、あるいは加わったメンバーのせいなのかもしれませんが、なにかに導かれるようにつながりができていった感覚、音楽を読み解いていくような感覚は非常に新鮮で、おもしろいものでした。 それゆえに、できあがったものは他のどこにも生まれようのない、独特のものだと思っています。もちろんただ独特なだけでは駄目ですが、そこらへんのものを、もっともっとお客さんたちに向けて上手に表現していけたら、と思います。