無月は、八百万の神々が出雲国に出来される時節と申します。

 この長月は−。


 横目で見ると

 私たちの伝統的な生活で根付いてきたものは、どんどん削ぎ落とされて。

 なんと形式だけが残つてゐる。


 それに対して

 世界の緊張的な状況。

 私たちを取り巻く、貧しく乏しい気の集まり。


 穿ちませう。

 ここ京都は六波羅の地に溜まつてゐる力を呼び戻す試み。

 一種の儀式でしかないのですが−。


 にもかかはらず

 願ふこと。
 ささやかでもよいから、その力が怨念の呪文としてこの地から放たれる こと。

 行ふこと。
 その呪文が神々の手に渡るやうに祈祷する こと。

そして
 
 放たれた怨念の呪文に少しでも触れる こと。