妖怪大戦争
The Big Spook War
監督・脚本:三池崇史 脚本:沢村光彦、板倉剛彦 撮影:山本英夫
出演:神木隆之介、高橋真唯、宮迫博之、阿部サダヲ、岡村隆史、栗山千明、豊川悦司、菅原文太
2005年日本映画/124分/配給:松竹
公式サイト http://yokai-movie.com/ チラシ 12

 両親の離婚で、母の故郷・鳥取で祖父と3人暮らしを始めた10歳の少年タダシは、夏休みの神社のお祭りで“麒麟送子”に選ばれる。麒麟送子に選ばれた者は、大天狗の山で聖剣を授かる慣わしで、タダシは勇気を振り絞って山に入るが……。
 60年代に流行した大映映画の「妖怪大戦争」を新たに映画化。妖怪の第一人者・水木しげるを筆頭に、荒俣宏、京極夏彦、宮部みゆきの人気作家4人がプロディース(それぞれ端役で出演もあり)。“夢と冒険の和製ファンタジー”みたいな宣伝がされているが、そこは曲者監督の三池崇史。栗山千明や高橋唯のさりげないようで、見る人が見ればすぐにわかる無意味なお色気や、神木くんのサービスシーンで、男子はもとよりお姉さま方まで喜ぶに違いないという遊びぶり。妖怪たちもみんなどこか抜けていて、実は真剣にやってるのは魔人・加藤とタダシ、川姫の3人くらいで、あとは好き勝手に騒いでるだけという感じ。本題に入るまでが長いし、最後までいっても「大天狗はどうなっちゃったのか?」「結局、小豆が混ざったのがいけなかったのか?」などの疑問や突っ込みどころが多々残るものの、不思議と不満が残らない。これは大戦争っちゅーか、妖怪祭りといったほうが正しいだろうし、そういう視点で見たほうが楽しめますね。無駄に豪華なキャストも、誰がどこに出ているか見つけるのも楽しい。
☆☆★★★


容疑者 室井慎次
The Suspect: Muroi Shinji
監督・脚本:君塚良一 製作:亀山千広 撮影:林淳一郎、さのてつろう
出演:柳葉敏郎、田中麗奈、哀川翔、八嶋智人、吹越満、柄本明、佐野史郎、真矢みき、筧利夫
2005年日本映画/117分/配給:東宝
公式サイト http://www.odoru-legend.com/ チラシ 12

 2005年2月。警視庁の室井管理官は、指揮を執った殺人事件の捜査過程で捜査員の被疑者に対する暴行を容認したと告発されて逮捕され、衝撃が走る。彼を追い込むエリート弁護士の灰島に対し、室井には新人の女性弁護士・小原久美子がつくのだが……。
 『交渉人 真下正義』に続く『踊る大捜査線』シリーズからのスピンオフ第2弾。室井が逮捕されたことから、警察庁と警視庁の対立や法の目を細かく付こうとする灰島と対する久美子の弁護対決といった、一見するとリーガル・サスペンスのような体裁なんだけど、あくまで『踊る』である以上、延々と法廷劇が続くとかそういった類ではない。が、しかし、これまでの『踊る』映画シリーズと違って、あまり大掛かりなアクション要素がなくて、ちょっと異色な気も。室井が主人公だから周囲も含め地味で渋い大人キャラが占めてしまうのはしょうがないとし、個人的には気になったのが新宿北署がなぜかゴシック調の教会風だったり、そこにいる捜査員の数が異常に多かったり、なんかシリアスにやろうとしてるのに、そうした細かいところでよくわからない大仰さが目に付いてしまって……。灰島という敵対する弁護士の記号化されすぎたキャラクター(ゲームに熱中、オタク、理論詰め、気取ったエリート)や、同様に彼の事務所のプロダクションデザインもまたよくわからない……。まあ、ここまできたら『踊る』が好きな人しか観ないだろうから、ファン向けとしてみればいいんだろうけど、今回のネタではやはり青島が出てこないというのはちょっと無理がある気も。クライマックスの法廷劇もいまいち盛り上がらんのは何故? 繰り返しになりますが、シリーズが好きなら観てもいいでしょうというくらい。
☆☆☆★★


妖怪大戦争
The Big Spook War
監督・脚本:三池崇史 脚本:沢村光彦、板倉剛彦 撮影:山本英夫
出演:神木隆之介、高橋真唯、宮迫博之、阿部サダヲ、岡村隆史、栗山千明、豊川悦司、菅原文太
2005年日本映画/124分/配給:松竹
公式サイト http://yokai-movie.com/ チラシ 12

 両親の離婚で、母の故郷・鳥取で祖父と3人暮らしを始めた10歳の少年タダシは、夏休みの神社のお祭りで“麒麟送子”に選ばれる。麒麟送子に選ばれた者は、大天狗の山で聖剣を授かる慣わしで、タダシは勇気を振り絞って山に入るが……。
 60年代に流行した大映映画の「妖怪大戦争」を新たに映画化。妖怪の第一人者・水木しげるを筆頭に、荒俣宏、京極夏彦、宮部みゆきの人気作家4人がプロディース(それぞれ端役で出演もあり)。“夢と冒険の和製ファンタジー”みたいな宣伝がされているが、そこは曲者監督の三池崇史。栗山千明や高橋唯のさりげないようで、見る人が見ればすぐにわかる無意味なお色気や、神木くんのサービスシーンで、男子はもとよりお姉さま方まで喜ぶに違いないという遊びぶり。妖怪たちもみんなどこか抜けていて、実は真剣にやってるのは魔人・加藤とタダシ、川姫の3人くらいで、あとは好き勝手に騒いでるだけという感じ。本題に入るまでが長いし、最後までいっても「大天狗はどうなっちゃったのか?」「結局、小豆が混ざったのがいけなかったのか?」などの疑問や突っ込みどころが多々残るものの、不思議と不満が残らない。これは大戦争っちゅーか、妖怪祭りといったほうが正しいだろうし、そういう視点で見たほうが楽しめますね。無駄に豪華なキャストも、誰がどこに出ているか見つけるのも楽しい。
☆☆★★★


用心棒
The Bodyguard
監督・脚本:黒澤明 脚本:菊島隆三
出演:三船敏郎、仲代達矢、東野英治郎、司葉子、山田五十鈴、加東大介、河津清三郎、志村喬
1961年日本/110分/配給:東宝

 やくざと元締めが対立するさびれた宿場町にやってきた桑畑三十郎と名乗る浪人は、対立する2つの勢力に、それぞれ自分を用心棒として雇うように売り込むのだが……。
 ダシール・ハメットの「血の収穫」を翻訳して生み出された時代劇エンターテインメント。後にセルジオ・レオーネが、クリント・イーストウッド主演で『荒野の用心棒』という映画を作るが、これは本作のパクりだと騒動が起こったというのは有名な話。イタリアを代表する世界的巨匠のレオーネの出世作も、クロサワがなければ生まれなかったかもしれなかったということで。さらに『荒野の用心棒』はアメリカでリメイクされて『ラストマン・スタンディング』という映画も生まれた。まあ、それだけ当時の娯楽作として傑出していたのが本作なわけである。三船敏郎は、本作でベネチア映画祭主演男優賞を受賞。