U-571
U-571
監督・原案・脚本:ジョナサン・モストウ
出演:マシュー・マコノヒー、ビル・パクストン、ハーヴェイ・カイテル、ジョン・ボン・ジョビ
2000年アメリカ/116分/配給:ギャガ・ヒューマックス

 第2次大戦下、一隻のアメリカ軍潜水艦の乗組員たちが特殊任務に赴く。作戦は順調に進んだのだが……。
 実物大の潜水艦を造って撮影したというだけあって、潜水艦内部の様子はリアルで緊迫感あり(本物の潜水艦に入ったことがあるわけではないけど)。全編通して困難の連続で、なかなかハラハラドキドキ。延々と爆撃が続いたりして、結構疲れるかもしれません。また、アカデミー賞で音響編集賞を受賞しているとおり、音響効果は臨場感溢れるんですが、これはちょっと映画館で観ないと感じられないところでしょうか……。


ユージュアル・サスペクツ
The Usual Suspects
監督・製作:ブライアン・シンガー
出演:ガブリエル・バーン、ケビン・スペイシー、スティーブン・ボールドウィン、チャズ・パルミンテリ、ベニチオ・デル・トロ、ピート・ポスルスウェイト
1995年アメリカ/105分/配給:アスミック

 カリフォルニアの港で、アルゼンチン・マフィアの船が襲撃され、爆発。現場に生き残っていた詐欺師キートンを刑事クインランが事情聴取する。キートンは、銃器強盗事件の容疑で集められた5人の男たちが、船の襲撃するまでの経緯を語るが、そこにはカイザー・ソゼという名の謎の男が暗躍しているという……。
 なんというか、この手の映画はとりあえず観てみないと。最後に「騙された!」と思うかどうかは、観客次第? 僕は自慢するわけではないですが、ちょっとオチの予想がついてしまったんですが、それにしても語り口や構成は上手だと思います。あー、とにかくしゃべったら何の意味もないので。上質なサスペンスがお好みの方は是非。


UFO少年アブドラジャン
Abdulladzhan, Ili Posvyaschayestya Stivenu Spilbergu
監督・脚本:ズリフィカール・ムサコフ
出演:ラジャブ・アダシェフ、トゥイチ・アリポフ
1991年ウズベキスタン/88分/配給:パンドラ
公式サイト http://www.pan-dora.co.jp/UFO/ チラシ 1

 ウズベキスタンのとある田舎の村にUFOが墜落する。それを目撃したバザルバイは、墜落現場に駆けつけ、そこに倒れている少年を見つける。どうやら少年はそのUFOに乗っていた異星人らしい。バザルバイは、その少年をアブドラジャンと命名し、自分の息子として家に連れて帰る……。
 まー、ウズベキスタンの映画なんてそうそうみられるもんじゃないってとこですが、この映画は10年前の作品にしても、素晴らしいくらいにローテク全開。ヘロヘロのUFOや合成丸出しの映像が、レトロな作風とあいまって、なんとも言えないほのぼの感を与えてくれます。アブドラジャンの起こす珍騒動そのものも面白いが、一癖ある村人たちが笑えます(特に議長さん。まさか、あそこまで追い詰められていたとは!)。爆笑するというよりも、くすくす笑うような感じでなんでうすが、そのへんの微妙な加減がこの作品の特徴でしょうか。レトロでローテクなわりに、実は旧ソ連軍が撮影にも協力したりしていて、本物の戦車や装甲車、戦闘機もでてきたりする。まぁ、難しいこと考えずに観ましょう。おもろいから。で、最後はちょっとほろりとする人情物語でもあるのです。すごく温かい。それから、この映画、ナレーションがスピルバーグ監督に向けて語られてすすんでいくんです(原題にもスピルバーグの名が)。これもある意味ですごい。


■2006年5月27日公開■
夢駆ける馬ドリーマー
Dreamer: Inspired by A True Story
監督・脚本:ジョン・ゲイティンス 撮影:フレッド・マーフィ 音楽:ジョン・デブニー
出演:カート・ラッセル、ダコタ・ファニング、クリス・クリストファーソン、エリザベス・シュー、デビッド・モース、フレディ・ロドリゲス、ルイス・ガスマン
2005年アメリカ/105分/配給:アスミック・エース
公式サイト http://yumekakeru-uma.com/

 競走馬のトレーナーをしているベンは、スペイン語で“ドリーマー”を意味する1頭の雌馬ソーニャドール(ソーニャ)を調教していたが、ソーニャがレース中に転倒し、骨折。オーナーから安楽死を命じられるが、自分の具ギャラと引き換えにソーニャを引き取ることに。これがきっかけで家計は苦しさを増すが、娘のケールはソーニャに愛情を注ぎ、ベンたちの介護でソーニャも順調に快復していく。
 骨折した競走馬が驚きべき再起を果たした実話を映画化した感動ドラマ。細部の設定は異なるようだが、おおむね筋は同じらしい。なにやら『シービスケット』の姉妹版といった感じだが、そんな話だけあって作りは丁寧で好印象。『シービスケット』よりは家族ドラマとしての色合いが強く、全体としての力強さは感じないが(でもレースのシーンはちゃんと迫力ある)。ストーリーも予定調和と言っていい具合で、サプライズもなにもなく、全て予想通りだが、見終わったあとの心地よさこそが、この映画の良心のなによりの証拠でしょう。
☆☆★★★


許されざる者
Unforgiven
監督・製作:クリント・イーストウッド 脚本:デヴィッド・ウェッブ・ピープルズ
出演:クリント・イーストウッド、ジーン・ハックマン、モーガン・フリーマン、リチャード・ハリス
1992年アメリカ/131分/配給:ワーナー・ブラザース映画

 かつては荒くれ者として恐れられていたウィリアム・マニーだったが、家庭を持ってからはすっかり落ち着き、今は農夫として貧しくも静かな生活を送っていた。そんな彼の元に若いガンマンが訪れ、娼婦の顔を切り刻んだ無法者を倒しにいかないかと誘いをかける。1000ドルの賞金が懸けられているというが、最後に人を撃ってから10年以上がたっていたウィルは、その申し出を断るが……。
 クリント・イーストウッドが、恩師であるセルジオ・レオーネとドン・シーゲルに捧げた“最後の西部劇”。アカデミー賞の作品賞、監督賞など、数々の映画賞を受賞した傑作。「許されざる者」とは誰か? 誰が悪で、誰が善なのか? この物語に登場する人物は皆、それぞれが善と悪を抱えている。この世の中に、簡単に割り切れる人間などいない。また、それ故に、人間は哀しい。西部劇といっても、ド派手なガンファイトがあるわけでもなく、どちらかといえば淡々と静かに語られていく。正直言って、この映画の真の良さを体感するには、これ以前のイーストウッドや、ひいてはレオーネ、ドン・シーゲルにまで思い入れのある人でないと無理だと思う。僕もまだまだ不勉強なので、そこまではわからなんだけど、世間でここまで称えられている映画ということに対する敬意は払いたい。