とんでもない職場話1:


1.求人案内

「夢を与える仕事を一緒にやりませんか?」
「やりがいのある職場で貴方の夢を叶えましょう」

とある求人情報誌で見つけたこんなフレーズ。

働く女性社員たちの充実した(ように見える)笑顔のスナップとともに、
「外国人による語学無料レッスンあり」
「海外研修あり」
「語学力不問」
などというフレーズも目を引く。

なんと魅力的な職場なのだろう。

就職活動に苦戦していた当時のawineの脳裏には、
「アメとムチ」
という言葉など浮かぶはずもなかった。

また、
この会社の求人案内を月に1〜2回は見かける、という事実も
純粋なawineの目にはただ
「チャンスが多いからOK」
としか映らなかった。

だが、そんな理想の職場など存在するはずなどないのである。



2.採用試験

1次は筆記、2次は集団面接、3次は個人面接という流れで進められた採用試験。

1次2次で、
「この会社がいかに社員を大切に思い、
社員の成長のために惜しみない援助をし、
頑張る社員のために広く門戸を開放しているか」

ということをことごとく強調。

応募者たちの気持ちを盛り立てる。

くどいようだが、
そんな理想的な職場など存在しないのである。

事実は以下のようである。

「この会社がいかに数字を大切に思い、
数字の伸びのために惜しみない企画を用意し、
辞めたい社員たちのために出口をかた〜く閉ざしているか」

これが真実の姿であったことを
awineは強調せねばなるまい。



3.3次試験

この職場には社員として、転勤を伴う総合職と、伴わない一般職とがある。

短期間で効率よく花嫁資金を貯めなくてはいけないawineは、
履歴書に「自宅勤務希望」と明記。
すなわち、一般職を希望した。

そんなawineへの会社からの質問が。

「どうしても自宅勤務でなくてはならないような何か特別な理由があるんですか?」

この不況下、こうたずれられては、
まさか「花嫁資金を貯めなくてはいけない」
などとは
誰が言えようか...


4.研修にて@

それは、研修が始まって2日目の朝のことだった。

とある新聞にこんな記事が!
○○会社に、元社員ら原告の訴えを受けて、×××万円の損害賠償支払い判決下る

さらに、原告側の弁護士のコメントにはこんなフレーズが!!
「○○社の社員への待遇は類を見ないほどひどい。まさに現代の女工哀史だ!」

それは、まさにawineたちが研修を受けているその会社のことであった!

もしもし〜!


5.研修にてA

電話の対応の練習。
第1声は一番大事ということだ。
明るく、上品に、でも親しみのある最高の第1声を!
ということで特訓させられる。

「はい、○○○△△△校でございます」

「全然ダメ!」
「暗い!」
「感じ悪い!!」
「印象よくない!」
「声が低い!!」
「もっと声のトーンを1オクターブくらい上げて!!」

などとawineの場合、幾度となく繰り返しを余儀なくされた。

でも声の低さははっきり言って地声。
1オクターブ??無理だって!

なのにやり直しの連発!

繰り返しやらされていくうち、
声のトーンは上がっていないというのに
それでも何とか一生懸命上げようとして
awineは、
眉毛ばかりが上がっている自分に気づく。



6.マネージャーの仕事

校舎の掃除(トイレも含む)
学校経理
学校宣伝
電話対応(またの名を勧誘)
受付(またの名を営業)
生徒管理
生徒カウンセリング
教師管理(邦人・ネイティブ講師)
バイト管理
在庫管理
学校内のレイアウト
転校、退校手続き
各種事務処理

などなど


これらを全部一人でやる。
しかも恐ろしいことにすべて手作業
学校にはコンピュータというものなど存在しない。
手元にボールペンと計算機は必須だ。

当たり前だが1日24時間ではとても足りないのである。



7.数字が悪いとき

a.電話口で個別に叱られる
b.TELミーティングでみなの前で叱られる
c.本社に呼び出しをくらう
d.会長のいる東京へ呼び出し
e.会長の故郷で本部のあるT県へ呼び出し
f.休日返上で出勤
g.休日返上で研修



8.ニュース

この会社ではしばしばこんなニュースがマネージャー中をかけめぐる。

「○○校のマネージャーが逃げたらしい」
「本社の人間が血まなこになって探しているらしい」
「本社が、実家の親にTELして先手を打ったらしい」
「つかまったらしい」


「今度は××校のマネージャーが出社拒否らしい」



9.山

先述の通り、この会社の各学校の業務はずぇ〜んぶ手作業(だった。少なくともawineの時代は!)。
PCというものなど存在しない。
では、8県にもまたがって散らばる学校を、本社はどうやって統括しているのか??

それはTEL&FAXだ。

とくにFAXは大活躍で、業務連絡や書類上の伝達のみならず、
「××校新規5名GET!!」
「○○校△△△万円売上!!」
などという途中経過も流れてくる。

したがって、ちょっと油断するとえらいことに!

なんだか部屋の中暗いな〜と思ってふと見てみると、
窓際にあるFAXの周囲に山が!!
くるんくるんと丸まった感熱紙たちが、山積みとなって日当たりをさえぎっているではないかい!!

大部分は、一瞬で捨てられる運命の途中経過たちだ。
だが、山に埋もれてたま〜に提出用の重要書類があったりする。
他の業務に追われてうっかり気づかず過ごしていると、本社からお怒りのTELが。

山積みのFAXの山から必死に該当書類を探すときの気分など、
まるで宝捜し状態だ!

こうして今日もマネージャーたちの余分な仕事が増えていく。



10.ある日のTELミーティング

宣伝担当者より。

「今月のノルマを達成するためにしなくてはならないこと、
それはまず第一に人を呼ぶことです。
いくら中途解約が少なく、継続者が多いといっても新入生が入ってこない限り、学校の経営が向上するはずがありません。
ですので、新入生となりそうな人をたくさん呼ぶ、訪問者を増加させるということがいかに大切であるか、ということにかかってきます。
そのために宣伝活動をしっかり行ってください。
ポスターは心を込めて丁寧に、そしてとにかく目立つように作成すること。
また、バイトの数が足りないといってくるマネージャーがいますが、そういうときは自らがチラシ配りに行ったり、ポスターを貼りにいくぐらいしましょう。
それぐらいの心構えがなくては、人などきません。
マネージャーにとって何よりも最優先しなくてはならないのは、
宣伝をして訪問者を増やすことです
。」


受付担当者より。

「せっかく宣伝で頑張って人を呼んでも、契約を取れないまま帰してしまっては、何の意味もありません。
新入生が入学してこそ、学校の活気も雰囲気も良くなっていくものです。
一件一件丁寧にカウンセリング(別名:営業)して全員獲得していきましょう。
せっかく英語に興味を持って、英語を話せるようになりたいと思って説明を聞きに来てくださっているわけですから、その方たちの夢の実現の第一歩を形にして差し上げましょう。
カウンセラーとして、また学校経営者として新入生獲得は、マネージャの仕事の中で何よりも大切な仕事です。」


教務担当者より。

「語学の取得というのは一朝一夕でできるものではありませんね。
求めるレベルにもよりますが、一年でさえ、望むレベルには到達しないでしょう。
また、人間の欲求はどんどん膨らんでいくものです。
当社の契約は最長1年。
一年のレッスンを終わられた方が、初めの目標のレベルに到達しているのでしょうか。
そんな方というのはよほど、もともとのレベルが高かったひとか、もともとの目標がそれほど高くなかったか、いずれにしてもごくわずかです。
生徒さんに、御自身の目標の語学力をつけてもらうまで、しっかりサポートし、サービスしていくことが、私たちの存在意義であり、大切な仕事ですね。
語学の勉強というのは長く続けてこそ実り有るものになっていきます。
そのためにも、次の契約時にもレッスンを続けていただくように
働きかけていかなくてはなりません。

新入生獲得ももちろん大切ですが、内部の生徒さんに更新してレッスンを引き続き続けていただくことも、先生にとっても励みになりますし、ひいては学校運営においても、重要なことになってきます。
学校経営者として、そして講師を束ねる責任者として、内部生への更新カウンセリングは、マネージャーの仕事の中で最も重要な仕事なのではないでしょうか


営業管理担当者から。

「最近中途解約が目立つ学校があります。
いくら頑張って新入生を獲得し、既存生に更新していただいても、解約されてしまっては何の意味もありません。
生徒さんご本人のためにもならないことです。
せっかく語学への夢を持って始めたというのに、どんな事情であれ、その夢をあきらめさせてしまっては私たちの存在意義そのものが疑われてしまいます。
日頃から、生徒さんとはまめにコミュニケーションをとったり、担当講師をコンタクトを図るなどして、こまめに生徒さんの不安材料を把握しておき、取り除くよう、日々のケアをしっかり行ってください。
夢を与えるカウンセラーとして、これがマネージャーの仕事の中で一番求められている任務なのではないでしょうか


総責任者から。

「ひとりひとりがマネージャーとしての
自覚をしっかり持って仕事に取り組むように。
間違っても売り上げ0の報告などしないよう、気合をいれて1日を過ごすこと。
全員、業務終了時にTELにて結果報告するように!」


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