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■焼石岳縦走 2000年10月21・22日曇りのち晴れ
【中沼登山口より焼石岳、経塚山を経て夏油温泉へ】

 仙台では紅葉が始まる頃となると川辺で「いも煮会」が始まる。
紅葉を楽しむとともに、豪華なごちそうで山上のいも煮会を楽しもうとのかけ声で、焼石岳への山行が決まった。
 焼石岳は奥羽山脈の中程で水沢市の東に位置し、花の山として名高い。
しかし秋には直ぐ南の栗駒山とともに、素晴らしい紅葉で登山者を喜ばしてくれる山でもある。
 今回は夏油温泉に下り合わせて温泉も楽しむこととしよう。

(注)いも煮会=東北風バーベキュー。仙台では里芋と豚肉その他を味噌味をベースに煮込む。一方山形は里芋と牛肉を使い醤油味をベースとしている。お国自慢でどちらも自分のところが旨いと言う。
 
一日目

 柴やんと金ちゃんと私の三人は、仙台から新幹線で水沢江刺を目指す。水沢江刺では水沢市に住む幸さんに車で迎えに来てもらった。
そこから1時間ほどかけ中沼登山口に着いた。途中林道を走っているときはサスペンションのへたったセダンに大の大人4人が乗車していたため、四六時中石で車の腹をする音が続いていた。
 9時10分出発。30分ほどで中沼を経過し10時7分に上沼に着く。
中沼からは湿地帯を歩くため長く木道が続く。たまたま木道の修理工事中だったため、10mおきぐらいに木道に使う枕木が山積みされており、障害物競走のようになってしまった。
 紅葉だけを楽しむのであれば、上沼まででも十分だ。
 しばらくするとつぶ沼コースと合流し更に登って10時50分に銀名水小屋に着く。銀名水は名水として名高い。登山道脇にある水場からは冷水がこんこんと湧き出ており、しばし喉を潤して休憩する。

 銀名水避難小屋は建て替えたばかりだ。小さいながらも白木で作られた小屋の中は登山靴のまま入るには躊躇するほど美しい。その時も地元の山岳会の人が小屋のメンテナンスに泊まり込んでいた。いまだに今まで見た山小屋の中で一番綺麗な小屋だ。タバコが切れていたらしく少し分けるとすごく喜んでくれた。
ゆっくりと一時間ほど休憩し再び姥石平を目指す。岩のごつごつした沢状の道を登り12時45分に姥石平に着く。





生憎ガスで視界は利かない。
姥石平に荷物をデポし山頂を往復する。一瞬霧の合間から紅葉に輝く姥石平を見ることが出来たので満足することとしよう。

 幸さんは翌日用事があり日帰りのためココで別れた。
残る三人は今日の宿である金明水小屋を目指し再び歩き始めた。残念ながら相変わらず視界は利かない。晴れていればさぞ爽快な縦走コースであろうと想像する。

 東焼石岳、六沢山を経て15時過ぎに金明水小屋に到着する。金明水小屋は古い小屋ではあるが掃除、整理整頓が行き届いており居心地は最高だ。鍋包丁類も豊富に取り揃えられていていも煮会に不自由はない。

 しかし今日のメニューはすき焼きなのでした。

 小屋の直ぐ近くにある金明水の水場は、銀名水に比べれば野趣溢れ豪快だ。よくどちらかの水の方がまろやかで旨いなどとのうんちくを耳にするが、生憎こちらはそれほど繊細な舌は持ち合わせていない。つまりどちらの水も大変旨いのだ。

 日が沈むと直ぐに冷え込んできた。小屋には薪も用意されており、暖をとるため少し使わせてもらう。幸せなひとときを過ごす。しかし世の常幸福は長くは続かなかった。

 外の風は急に強くなり、暖をとるためのストーブの煙突は、外気の取り入れ口となって逆流し小屋の中は薫製状態となってしまった。あわてて火を消して窓を開け換気するも時既に遅し。寝袋にはその後1年ほど金明水特製薫製のにおいがこびりついてしまった。

 結局宿泊者は自分たちだけであった。
すき焼きを肴に、ビール、ワイン、ウィスキー、日本酒を楽しみ、夜が更けるとともに各人眠りについていった。

二日目
 翌日は丁寧に小屋を掃除し7時15分に出発する。
小屋の脇から続く経塚山に向かう登山道は、背丈以上に深くえぐられている。しばらく急登が続くがなだらかになり少しすると展望が開けてくる。起伏が大きい稜線が続きうんざりした頃にサイの河原に着いた。そこから経塚山への最後の登りを頑張ることとなる。8時35分に山頂に着く。やっと天候が回復してきた。

 経塚山から夏油に向かい下り始めた頃、朝夏油を出発した登山者達がポツポツと現れ始めた。9時30分お坪の庭に到着。このあたりの様子は、わざわざ人が手をかけて作った日本庭園のようだった。

 夏油川に向かい先を急ぐ。川の近くまで下りるとよく目立つ赤い橋が見えてきた。河原に下りるために10m程の鎖場がある。そう言えば今回の山行では難所と呼べるような場所は唯一ココだけであったかもしれない。
河原では靴を脱ぎゆっくりとコーヒーを楽しんだ。

 川を渡ると林道に出くわす。林道の途中で止まっている車はきのこ取りの人たちの車だ。急な斜面であるが頑張っているようだ。ちなみに自分たちのホームグランドは栗駒山である。ブナの倒木にびっしりと張り付いたナメコを見付けたときには興奮しますよ。私の得意料理はムキタケを使った甘辛炒めです。これはビールが進みます。(脱線脱線、失礼しました。)

 夏油温泉に下る前に特別天然記念物である石灰華を見に行く。標識のあるところでザックを置いて林道をはずれ枯松沢の方向に下る。夏油温泉から石灰華までは観光ルートとなっており沢山の観光客がカメラを抱えて行き来していた。
ザックなど置いてこなければ良かったと後悔しても始まらないため、急いで登り返すことにした。

 恥をさらせば下ってきた道を登り返すだけなのに何故か道に迷ってしまった。
30分ほど道無き斜面を登り歩きやっと林道に戻ることが出来た。
その後反省するも、何故迷ったのか、どこを登っていたのか未だによく分からないのだ。三人で狐につままれたようであった。

 その後林道から夏油温泉の標識に従って進むが、途中で2mほどの土の崖になっている所があったり明らかに普通とは違うところを歩んでいるようだ。
説明できない状態のままどうにか夏油温泉にたどり着く。

 夏油温泉の入り口は有料ゲートが設置されているが、自分たちが着いた場所は露天風呂の直ぐ脇だったのでそのまま温泉で汗を流させてもらうことにした。
いくつかの露天風呂をハシゴした後、風呂に通じる坂の上のよろず定食屋で昼飯を食べることにした。紅葉シーズン真っ盛りだったので店内の混みようはすごい。北上行きのバスにはまだ余裕があったため、料理を注文し(何を注文していたか忘れてしまったが)3人でビール6本アッという間に空けてしまった。近くでは待ち切れぬ客が「もう40分も待っているのにどうなっているんだ。」と怒りだし席を立ってしまった。するとその直後にさっきの客が注文していたラーメンが運ばれてきた。困っている店員を見て「俺達それでいいよ。」と声をかけ、さして待つことなく昼飯にありつけた。おまけに店からサービスのビールがもう一本出てきた。夏油温泉はついているのかついていないのか最後まで分からない所であった。

                                              以上


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