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河童橋周辺は、都心並の混雑であった。 |
登山道から岳沢ヒュッテ |
今日は岳沢ヒュッテまで着けばよい。
登山口で水を汲み、ゆっくりと岳沢沿いを登る。
パラパラと雨に降られるが、気持ちがよい程度。
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岳沢ヒュッテの晩飯は、メンチカツをメインにおいしくい。
生ビール800円×2杯、日本酒400円×1.5杯飲む。
布団は1人1枚で余裕のある配置。
ただし奧の人が夜トイレに出るときには、通路側まで人をまたいで行かねばならない。 |
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小屋着後、雨が本降りとなったが、夕方には霞沢岳が綺麗に見えていた。 |
二日目 |
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翌朝は快晴。
朝4時半に出発し、重太郎新道をカモシカ立場まで一気に登る。ここは見晴らしも良く、弁当で頼んでいた朝飯とした。
鮭弁当で、これもおいしくいただく。 |
前穂山頂 |
紀美子平には7時前に着いた。
今日の行程は、最後に奧穂〜北穂への難所が控えているため、体力の消耗は避けたかった。
前穂への往復は約1時間かかるため、ガスっていたときはパスしようかとも考えたが、快晴のため選択の余地無し。
自分にとっては、初めての3000m体験。登っておいて良かった。
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前穂への登りで初めて槍が見えた。山頂では北穂から南岳まで見渡せたが、残念ながら槍は雲に隠れてしまった。 |
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前穂の山頂は広い。しかし周囲は切り立っており、下を見るとゾクゾクと快感(?)が走る。 |
前穂から上高地 |
上高地が見渡せる。
当然向こうからもこちらがハッキリと見えているのだろう。 |
吊り尾根から奧穂を臨む |
紀美子平に戻ると、下山者達が大勢いた。
先を急ぎ吊り尾根から奧穂を目指す。 |
吊り尾根から涸沢を見下ろす |
涸沢側のガスも晴れ、吊り尾根からは涸沢の小屋やテントが見渡せた。 |
奧穂はハングルに占領された |
9時45分奧穂着。
山頂の祠に座っていたら、ハングル集団に追い出されてしまった。その後彼等は、息ぴったりに歌を歌ったり、歓声を轟かしていた。
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奧穂からジャンダルム |
ジャンダルムからは、こちらに2人歩いてくるのが見えた。(あそこ行こうとは決して思わないことにしよう。) |
小屋から奧穂登り口 |
穂高岳山荘への下りは、最後に急なハシゴが待っている。しばらく順番待ちとなった。
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穂高岳山荘前のテラス |
ほぼ予定のペースで、10時半穂高岳山荘着。
小屋の前のテラスでは、沢山の人が休憩していた。
ここまでは、特に困ることもなく辿り着いた。
しかしここから大丈夫であろうか。だいたい、岩だけゴロゴロしている所を歩く経験は、過去鹿島槍から五竜まで歩いた時しかない。
今回は、荷物を極力小さくし、昼飯も小屋で食べる計画としていた。穂高岳山荘では800円のラーメンを食る。旨くはないが、大変ありがたい。 |
涸沢岳から穂高岳山荘 |
涸沢岳まで単調に登る。穂高岳山荘が小さくなる。
ここまでは今回山行のエピローグ。
山さんも自分も、快調に進んできた。
これからの難路に不安と期待が混じる。
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涸沢岳から北穂へ(最初) |
涸沢岳山頂から北穂への登山道を進むと、いきなり右の絶壁から、若い男の人が飛び出してきた。
その先は絶壁にしか見えない。
「うっそーだろー。」と2人で目を合わす。
若い男の人は、「よし、やった。」と声に出し、1人でガッツポーズを作っていた。
ここでひるんでは何のためにここまで来たかわからない。山さんは意を決し鎖にしがみつきながら絶壁と思われたところを降り始めた。
落ち着いて上から見直すと、鎖も足場もしっかりしたものが設置されていた。
「なんだ、これなら簡単に降りられる。」
やっと落ち着きを取り戻し、さして鎖に頼ることなく下まで降りた。
山さんは、若干高所恐怖症気味のため、ここからは自分が先に進むこととなった。
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コルから涸沢岳側を臨む |
D沢のコルまでは、余裕もなく夢中であった。
今思い出そうとしても、あまり思い出せない。
かなり緊張していたのであろう。
涸沢のコルに辿り着き、やっと一段落。
振り返ってみると、よくあんな所降りてきたもんだという感じであった。鎖を頼りにジグザグに降りる。コースさえ外さなければ何とかなる。
涸沢のコルでは何人かが休憩していた。
ここも北穂側から奧穂を目指す人が多いようだ。 |
奧壁バンド |
ここから先は後半戦、滝谷側を通る奧壁バンドと呼ばれる所だ。滝谷の上をトラバースするコースが多く、神経を使う。涸沢のコルから北穂側はあまり鎖は張られていない。雨で岩が濡れているときには通りたくない所だ。コース目印を追いかけながら、早く難所が終わって欲しいと願う。 |
へろへろの山さん |
奧壁バンドが終わり、連れの山さんはヘトヘトに変わり果てていた。
途中何人か心配な人達とすれ違う。
その1−足元のあやしいおじさん
曰く「気持ちの悪い山だねえ。北穂から友人は涸沢へ降りていったのだけど、私はバテているから奧穂に向かうことにしたよ。」「えっ、逆じゃないの。」
すれ違った後も気にかかったため、もう一度呼び止めこれから先更に難路が続くことを説明したが、進んでいってしまった。
その2−ドーム近くの若いカップル
女性が先頭、男性が後で進んでいたが、何でも無さそうなところでも、女性はとてつもなぐ難儀していた。
岩ひとつ越えるのにも四苦八苦している。
こちらは、余計なお世話なので声はかけなかった。
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北穂山頂 |
13時50分 やっと無事に北穂山頂着。
山さんと思わず握手する。
昼からはガスが出てきていたため、展望は得られなかった。
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北穂から前穂 北穂から常念 北穂から槍
夕方になるとガスが晴れ、北穂高小屋テラスからは、前穂、常念、槍が見えた。 |
北穂高小屋の夕暮れ
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北穂高小屋では、2階の区切ってある所、布団2枚に3人であった。自分たち2人と写真撮影のために登ってきた男性1名。その人は夜も星を撮影していたため21時頃まで戻ってこなかった。掛布団をひとつ残し、その日はシーツカバーで寝る。(それでもすごく暑かった)
食事は噂通りおいしい。夜はブタの生姜焼き、朝は目玉焼きとソーセージであった。 |
三日目 |
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常念と日の出 |
太陽は6時頃にやっと常念岳の上の雲から顔を出す。 |
北穂から槍 大キレット1 大キレット2 小屋横の滝谷
本日はまたまた快晴。
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テラスで記念撮影
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北穂高小屋テラスから槍をバックに記念撮影。
コーヒーを一杯頼む。ひょっとすると、人生最後のコーヒーになるかもしれない。
気持ちを引き締め、いざ大キレットへ。
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雷鳥と槍 |
北穂からの急な下りで雷鳥に出会う。
槍をバックに雷鳥を撮影。 |
北穂から大キレットへ |
北穂からの下りはこんな感じ。
南岳から来た人は、小屋が見えた後この最後の登りがきついと言う。
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飛弾泣き手前1 |
飛弾泣き手前のトラバース。
この先から滝谷側に下る。
次はどんなところなのかと、ドキドキが続く。
急なところを下り、ザレ場を通り過ぎた次が飛弾泣き核心部。
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飛弾泣き手前2 |
飛弾泣き手前のトラバース(反対側から)。
鎖が張ってある上に、足元にステップまであり、ここは安心。 |
飛弾泣き |
飛弾泣き核心部。
しかしここは、鎖・ボルトががっしり付いていて、正直全く不安は感じなかった。
むしろ、前後の鎖のない場所を通過するときの方が、緊張感があった。
A沢のコルまでの下りは落石が多い。
自分たち2人の後に居た人に、間を開けるように頼み下っていたが、案の定「ラーク」と叫ばれてしまった。
大きな石は離れたところを転がっていったが、小さな石がちょうど自分の靴に当たる。再度気を付けるよう頼み慎重に進む。しかし今度は自分が石を落とす。幸い下には人は居なかったが、怖いところだ。
やっとA沢のコルに着き一安心。
山さんは、あれだけ事前にコースを研究していたのだが、何処が飛弾泣きかわからぬまま通過してしまったらしい。でも済んだことで安心していた。 |
長谷川ピーク(A沢コルより) |
次は長谷川ピーク。
A沢のコルから短い木の橋を渡るところが怖く見える。
実際に行くと足場は広く心配するような所では無かった。
長谷川ピークへの滝谷側からの登りは、鎖もあり心配ない。(鎖も使わず登れるところ)
最後に涸沢側に越えるところが、唯一の難所か。
ここは南岳から来て下るときの方が怖いかもしれない。
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長谷川ピーク頂上 |
「Hピーク」と書かれた最上部は、広くて見晴らしもよく、怖いと言うよりとても気持ちよい所であった。(人によりけりとは思いますが。) |
大キレット底部 |
長谷川ピークを下り、大キレット底部を歩く。
花も多く、もしここを挟む難所がなければ、大人気エリアになっていてもおかしくないところ。
ピクニック気分で進む。 |
獅子鼻 |
南岳への登り、獅子鼻が見える。
がっしりとした岩の要塞のようであった。 |
南岳からの下り |
梯子2カ所と急な岩稜を登る。
ここですれ違う登山者達は、これから向かう大キレットを思い、一様に引き締まった顔をしていた。
ひょっとすると自分たちは、すでににやけた顔になっていたかもしれない。 |
大キレット終了
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急登を終わると、「難所終了、南岳小屋まで10分」の看板が見える。
やった、大キレット制覇。
じんわりと満足感がわきあがる。
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槍遠望 |
南岳を過ぎ、再び槍が顔を出す。
あそこまでは3時間。
ゆっくり稜線散歩を楽しみながら行こう。
南岳、中岳、大喰岳と3000mの稜線を進む。 |
槍の穂登り |
槍ヶ岳山荘には12時着。
雨がぱらついたが、幸い雷はまだ来ない。
槍ヶ岳山荘でからあげうどんを食べた後、急いで槍の穂に登る。
槍の穂など誰でも登っているところと、安直に取り付く。
しかし登りで一カ所、一枚岩にボルトを打ち込んでいるところは、しがみついて登らなければならなかった。
なめるのはやめて、その後は慎重に登り下りする。 |
槍山頂 |
山頂では展望無し。
先があるので、さしたる感慨も無いまま、下ることにした。 |
東鎌尾根の雷鳥 |
槍からは、風呂のある槍沢ロッジを目指し、まずは東鎌尾根をヒュッテ大槍まで向かう。ここが有名な表銀座なのかと、これまた散歩気分で歩いていると、次から次へと切り立った危なそうな所が現れてくるではないか。東鎌侮るべからずと再度気を引き締めることにした。
再び登山道脇に雷鳥の親子がいた(雷鳥の親子を見るのは今日三回目)。
ヒュッテ大槍のすぐ近くで登山道を誤ってはずれ、ガレ場を進んでしまった。何故か槍ヶ岳山荘を目指している登山者もこちらに付いてきていた。
おかしいと思い、ガレ場を登り返して元の道に戻る。
ヒュッテ大槍からは、一気に坊主岩小屋跡まで下る。
その後も今日の終わりのビールと槍沢ロッジの風呂を楽しみにひたすら下る。
槍沢キャンプ地の手前で土砂降りになってしまった。雷も鳴り出した。急げどもなかなか着かない。
雨もまた良しと開き直っていたら、やっと槍沢ロッジが見えてきた。16時45分小屋着。
槍沢ロッジは、朝上高地に着き、翌日槍ヶ岳を目指す登山者で満杯であった。ここもまた布団1つに2人という状況であったので、夜は談話室に避難することにした。
風呂は時間制となっていた。食事の後風呂の様子を見ると2人しか入っていなかったので、すぐに入浴を開始することにした。一度に6,7人入れる湯船が2つ。シャワーはなく水の蛇口はあった。お湯は多少汚れているものの三日ぶりの風呂は最高であった。
(その他の点では、山小屋と山麓の民宿の悪いとこ取りしたような小屋でした。)
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四日目 |
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槍沢の朝 |
朝は槍沢ロッジを6時半に出発。
のんびりと、横尾、徳沢、明神館と下り、10時50分上高地に着。大きな満足感と共に、長くて緊張した穂高・槍縦走(この順番が大切)が終わった。
1、大キレットだけではなく、奧穂〜北穂間も踏破する。
2、難易度が高いと言われる、北穂から南岳を目指す。
3、槍、穂高一帯の3000m以上の山8座を一度に踏破 する。
当初計画は全て達成できた。
天候とパートナーに感謝。
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