「半年に一回ぐらい空気いれないとこうなっちゃうんだ」

それは突然の出来事だった。帰りバイクに乗ると

どうも様子がおかしい、調べてみると後輪がパンクをしていて

タイヤがスポンジのように柔らかくなっていた。

そして、近くのバイク屋に持っていき、修理をお願いした。

その時のおじさんの言葉だ。

ちょっと考えてしまった。いつも一緒にいるぼくのバイク

でもこんな事になるなんて微塵にも感じなかった。

おじさんは続けてこう言った。

「乗らない人だともっとわからないんだけどね」

乗らない人、、、、、、、、、、、、接してない人

冷え切った恋愛、家族という形にはまってしまい

愛が自然に消滅、そして別のものに変化を遂げる。

もしそこに定期的であったとしても熱烈な愛情を

相手に与えていたら、、、、

愛情は何を置いても変わらないのだろう。

それがないと、ぼくのタイヤのように空気がなくなって

方向が定まらなくなる。何もなくなってしまう。

終わりを迎えてしまうのだろう。

死ぬまで連れ添っている人達はそれを知っているのかもしれない

それができなかった人は、あとで後悔するのだろう。

そんなことをふと考えた。

30分後、スポンジのように柔らかかったタイヤは

筋肉のように堅くなりしなやかさを持った。

代金を払ったぼくはヘルメットをかぶり革の手袋をして

お礼を言い、その場を走り去った。

パンクで恋愛永続方法を知る。

日常はまだまだ捨てたものじゃない

注意深く見れば術は隠されている。

 

 

 

 

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