あなたに会うのは
いつも雨雲が広がった空の下だった
傘越しに見るあなたの横顔は
綺麗としか言いようがなかった
雨の音が聞こえる
それと一緒にあなたの
苦しく喘ぐ声が混じる
「名前も知らない男女が愛し合って
最後には女が男を銃で殺すっていう映画知ってる?」
「ううん、知らない」
「私ね、そういう関係ってすごくいいって思うんだ」
「じゃぁ、最後にぼくは撃ち殺されるわけ?」
「まさか」
音を消したテレビの灯りに
照らされたあなたは
かすかに微笑んだ気がした
そしてぼくは撃ち殺されることなく、ここにいる
でも、あなたが微笑んだ瞬間
いやそれ以前から
心を打ち抜かれていた
あなたはそれを知っていたのに
見殺しにしたんだ