「これは昔・・・・・・・・・」

祖父の友人が話してくれた

戦争に行ってその時に右目に十文字の傷を負ったこと

でも、寂しい顔ではなく微笑みながら続きを話してくれる

見れば、とても畏怖を感じさせる

その人は最後にこう言った




「この傷は俺にとって勲章みたいなもの。戦争の痕なんかじゃなく
 その時を精一杯生きた、その証拠となるものなんだ」




そう言って、ぼくの頭をたたいてた。

ぼくにも傷があって、あったらあったで一般人とは違うような感じがして

一線をひく、卑下する、閉じこもる

陰の三拍子がそろう

怪我をすることはよいことではない

もちろん傷跡を残すこともだ

それはちょっとした思いこみで明るく考えることができるんだ






その時を精一杯生きてる証拠







ぼくはさまざまな傷を負って生きてる

形振りかまわずまっすぐ走っている証拠

誰かを思い走りつづけている

それに気づかせてくれた







ありがとうよ。おじさん



あっちに逝っても笑っていてくれよ




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