ぼくはまったく野菜が食べれなくて

そんな彼女はいつもぼくを叱る

彼女は手を変え品を変え

ぼくに野菜を食べさせようとする

それでも食べれなくて

作ってくれた野菜炒めも水の泡で

彼女の顔にも大雨が降り出しそうなくらい

暗くなった


「ごめんよ」


そうは思っていても野菜は一向に食べれない

あの青臭い葉っぱが駄目なんだ



その日もまた彼女が作ってくれた野菜料理が

食卓に並ぶ

ぼくは出来るだけ野菜と彼女の顔を見ないようにして

箸を運ぶ

彼女は何も言わない

ぼくも何も言わない

そしてまた野菜だけが残った


「野菜食べない人なんて嫌い」


沈黙を破ったのは彼女の言葉

ぼくはその緑色した悪魔に目をやる

悪魔はぼくを待ち構えていた

嫌われるぐらいなら悪魔と手を結んだほうがいい

そう思ってそれを含み咀嚼した

青臭いものが口に広がる・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・それはあまり感じられず

また少しづつ食べてもいいかと思った

驚いたところに彼女の一言


「いつでも工夫してたべれるように作ってるんだから一口でも食べなさい」




あれからあの悪魔のことをそれなりに好きになってきた・・・と思う





キュウリは食べれないけど
トマトなんてもってのほかだけど





彼女の料理が向上するにつれて

ぼくの野菜に対する愛情も

増えればいいかと

思うのであった







彼女と不本意だけど悪魔にも感謝

 

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