日記一覧

2008/04/17

『網走番外地』とコードレーン

前にも書いたように、
現在、わが家では「健さん」がブーム中です。
先日は『網走番外地』を観ました。
鶴田浩二主演の映画の「B面」として製作されたのが
予想を裏切って大ヒットし、
健さんをスターにするきっかけになったといわれる映画です。

冒頭のシーンで、
健さん、田中邦衛、嵐寛寿郎らの犯罪者が縄でつながられて
冬の網走駅に連れて来られます。
それぞれの役どころを一発で説明する秀逸なシーンだ
と私は思うんですが、
「タマの小さい」犯罪者役の田中邦衛の服装が特に「らしくて」いい。

中折れのハットにドットのスカーフ、
そしてコードレーンのスーツを着ています。
冬の網走、なわけですよ。
健さんはヘリンボーンのツイードのコート(当然、衿は立てて)です。
田中邦衛は、「零下20度だってよお」と肩をすくめながら
コードレーンのスーツ。

コードレーンはコーデュロイの夏版といったらいいかな、
縦畝の目立つ素材です。
「コードレーン」自体は商標で、正しくはコード織り。
男性服の夏のスーツの定番素材で、
50年代のアメリカで流行して日本では60年代に流行った。
『網走番外地』は65年の作品。
アイビー好きの団塊の世代の男性とか、よく着てますよね。

私にとって、コードレーンといえば、
洋裁学校を出た叔母が作ってくれたワンピースの素材。
あんまりかわいくなくて私は好きじゃなかった。
今もあんまり好きじゃない。
でも、コードレーンは「いい素材」です。

75年くらいまでは、
街の生地屋さんに「いい生地」が売っていたといわれます。
洋服を作る人が多かったからです。
既製服主流になって洋服の素材はだんだん「悪く」なった。
多くの人に安く普及させるってことはそういうことなんでしょうが、
作る人が減って素材に感心を持つ人が少なくなったのも大きい。

私は子供のころ、
洋裁学校を出た叔母によく洋服を作ってもらいました。
なぜか素材名をよく覚えています。
叔母がいちいち素材名を教えてくれていたんでしょうか。
同世代とかの
手作り服をわりとよく着せられていたという人たちに聞いても
生地の名前で服を覚えている人は多い。

私の想像では、
スクエアネックのワンピースみたいなデザイン名で呼ぶよりも、
コードレーンのワンピースとかって素材名をつけて呼ぶのが
一般的だったせいじゃないかなと思います。
感心がデザインよりも素材のほうにあった、ともいえるかもしれません。
目立たせて売る、ってことを第一にすると、
変わった形にばかり注目して
素材への感心は低くなるような気もする。

子供のころの写真とか見ると、
叔母が作ってくれた洋服の素材ってわりといいものが多い。
コードレーンしかり。
男性用のスーツの素材で子供服、なわけですからね。
大人の服も手作りだったから、
そのあまりが生地屋に多く出回ってたんでしょうね。

ただ、いい素材は技術も必要、
デザインもそれなりにフォーマルなものじゃないと釣り合わない。
それが、カジュアルな洋服に慣れた私たちには
昔の洋服はダサいって感じる理由だったりするわけですが。