No.1 発行2000/03/20


 「第1回 阿南古事記研究会」に参加して
                 坂東孝代

 私が住んでいる見能林町青木・柏野地域が、実は日本最古の歴史書「古事記」に書かれている「橘の阿波岐原」になるかもしれないと聞いては、神代の物語に関心がなくても古代への興味が湧くものです。
 古事記の中に阿波古代は、どのように書かれているのか。その場所はどこなのか。古代阿波へ夢の広がりを感じる第1回研究会でした。




古事記と地理学
              澤田 俊明

 以前より、古事記という名前は聞いていましたが、実際に古事記の文章に触れるのは、3月1日の本会での経験が始めてでした。
 私自身の継続した興味は、都市及び地域の環境デザインにあり、その一貫として本会に出席させていただきました。
 人文地理とよく言われますが、私自身の、主として地域環境デザインの恩師の一人であった建築評論家の浜口隆一氏(故人)は、地域を考える上での視点として、『地・人・文(文化・歴史など)』の順序で考えることの大切さを指摘しています。
 私は、古事記が、まさに地域を『地・人・文』で見る情報を多く提供しているもの、として捕らえています。
 阿南と古事記を考える上で、重要な視点の一つに、地理学の知見の活用があります。既に、寺戸恒夫先生(地理学者・元徳島文理大学、元阿南高専)により、阿南・那賀川平野の形成プロセスの地理学的知見が明らかになっています。
  (この研究の原文がちょうど手元になく記憶で記しますが)ここには、約5000年前・西暦1100年頃・1800年頃などの阿南・那賀川平野の成立の過程が示されています。那賀川をはじめ、多くの河川は堤防等により「治水」管理される近年まで、毎年、その川道が一定でない状態が繰り返されてきました。そうすると、阿南地域における古事記時代の主要舞台は、不安定な三角州に代表される沖積平野ではなく、洪水時にも比較的安定した山際の地域、いわゆる縄文時代の集落地域とかなり重なっているのではないかと、いろいろと思いを巡らせています。
 このあたりの議論が、次回にできないだろうかと、今から楽しみにしています。どうぞ、今後ともよろしくお願いします。




 平成12年3月1日に阿南古事記研究会は、発足しました。
 自己紹介の後、古事記の輪読から始まり、各自の感想や意見が発表があり、活発な意見交換がありました。
 「古事記の序文に、「南山に蝉蛻(せんぜい)し、人事共給(そな)はりて、東国に虎歩(こほ)したまひき」、現代語悪訳(出家のため吉野山にこもり、兵も集まったので、東国に勇ましく進出されることになった)とあるが、これは、阿波の板野群吉野町から東に行ったという考え方も一部の研究者の中にあるので、今後、古事記を読む上に問題となるかもしれない」と横田さんが発表された。

第 1代 神武天皇 大和一帯を平定した。
第11代 垂仁天皇 伊勢神宮を創建する。
第12代 景行天皇 景行天皇が日向に行った時、日向と名付けた。
第15代 応神天皇(日向国風土記)
第16代 仁徳天皇
第17代 履中天皇 阿波国和那佐のシジミを食べる。「播磨国風土記」
第19代 允恭天皇 男狭磯 阿波国長邑之海人也 「日本書紀」
第21代 雄略天皇 伊勢外宮 豊受大神宮鎮座
第30代 敏達天皇
第33代 推古天皇(592〜628)
第34代 舒明天皇(629〜641)
第37代 斉明天皇(661〜671)
第38代 天智天皇(661〜671)
第40代 天武天皇(673〜686)(大海人皇子)稗田阿礼に撰録の勅語
第41代 持統天皇(690〜697)
第42代 文武天皇(697〜707)
第43代 元明天皇(707〜715) 712年 古事記が撰上される。
                   翌年風土記編纂を命じる。
第44代 元正天皇(715〜724) 720年 日本書紀が撰上される。
第45代 聖武天皇(724〜749)


阿波倭国古事記研究所 

阿南古事記研究会 誕生

陶久敏郎

 普段、何気なしに近くを通り過ぎている古い神社が、実は、古事記の舞台だったりして!!論語に温故知新という言葉があるが、古事記と共に古の阿波を旅すれば、そこには今までと違う新しい阿波の世界、古代日本の世界がどんどん拡がって行く。

 徳島に住んでいることが楽しく嬉しくて、そして誇らしくなってくる経験をあなたも一緒に体験しませんか。阿南古事記研究会は、そんな旅人の集いなのです。





第2回 阿南古事記研究会へのお知らせ
4月5日(水) 富岡公民館 図書室
午後7時30分より 参加 無料

第1回 阿南古事記研究会の参加者
平成12年3月1日 富岡公民館にて
阿南市 陶久敏郎 計盛幸雄 坂東康宏 坂東孝代 三村清嘉 三村隆範
羽ノ浦町 澤田俊明
徳島市 蜂谷やす子 蜂谷海文 横田奈美枝


編集後記
阿波の文化は、阿波に住む人が作るものです。自己紹介をするように、阿波のすばらしい所を知っていなければ、自分をうまく表現できません。古事記は阿波の文化です。
(M)