No.4 発行2000/06/20


[オカリナを演奏するときは、岡江リナの名前です。]

               川田 吉子

 私の生まれた村では、当時60〜90歳位のおじいちゃんたちが、阿波の驚くべき昔話を当然のことのように語り聞かせてくれました。
 それはトンデモない話でしたが、淡々と静かに厳(おごそ)かにひょうひょうと語ったものでした。それが、どれ位トンデモない話しかというと「阿波から日本全国へ出ていって日本人になった。航海術も漁労術も製網術も造船術も全部教えて回ったんゾ。」という壮大なものです。
 ところが、そういう話を当たり前の話として村中のお年寄りから聞いていた私にとっては「とんでもない話」との認識の方が後だったわけで、又、私達の地域へは、全国各地の沿岸から阿波への挨拶まわりに一代か二代に一人は来ていたという過去の実績、実証もあって、あながち奇異な話しでもなかったのです。
 人間小さなウソはつくけれど、老人が何の得もしない大ウソをつくわけがないことを、中年となってみると身をもって知りました。三人の子育て期間中に立ち寄った県内各地、そして子育てを終了してみると県内各地いたる所に阿波の伝承が残り、息づいていることがまとめられるようになってきました。漁村、農村、山村の相違はありますが、正に古事記を地でゆく伝承です。何百年、何千年と引き継いできた昔語りと阿波弁(万葉ことば)が、いま途絶えようとしています。何としてでも引き継がねばと思っています。「やまと心」とは何か、それは阿波の心です。
 一県の内に完全なる四季・恵みがあることが重要です。世界中の他神教圏との最大の相違は一神教ではないこと。放牧・狩猟民族は命を支配し統率します。それゆえに人間らしい精神を純化させる方向に制御しなければ、精神を保ちえないともいえます。日本、特に阿波のように見事な四季に恵まれていると、感謝の心で生きることになります。稲は瑞穂、水と火、水と太陽の調和の賜です。大宜都姫(おおげつひめ)以来、農民の苦心は山のようにありましたが、何といっても、自然のかもす調和への祈りを捧げる生活です。それを「感謝と祈りの文化」と、同時に、外国の足の文化に対して「手の文化」と呼ぶことにしています。手をかけていつくしみ育てる文化です。自然こそが、神でありあらゆる所に偏在し、空気中・素粒子・無の中にさえ畏怖(いふ)すべきものを認める精妙なる文化です。多くの方が足場阿波の歴史に目からウロコ、ひいては阿波の先祖の「人類繁栄と平和への願い」がさらに広まればと期待してやみません。
 徳島古事記研究会の発足が嬉しい限り!!




古代の話に花が咲くと浮き世を離れてワクワクする反面、 阿波に住んでいることが誇らしくなってまいります。


三村草切屋社長
三村清嘉 84歳

 私が歴史に興味を持ちだしたのは、私の生まれた加藤家のルーツを調べ始めたことからでした。
 どなた様もそうですが、自分の前には両親がいます。その二人の両親をたどっていくと10代で1,024人の親がいたことになります。
 16代でなんと65,536人、阿南市の人口を越してしまうのです。40代では、1,099,511,627,776人になる。こうなると「人類、みな親類」と思えます。1代を25年に換算すると10代で約250年前、16代で400年前、40代で1000年前のことである。みんなで勉強している古事記の話は、2000年を越える昔の話です。
 その古事記・日本書紀に書かれた物語は、「阿波を舞台として書かれている」と息子が言う、「そんなバカな話、聞いたことない」と思いながらも読んでみると、昔聞かされた出雲や九州の高千穂の話ではなく、阿波に生き生きと今も生きづく話だったのです。
 そして、息子の案内で、佐那河内や神山町等にでかけてみると、そこには、予想もしていなかった古代の息吹が生きづいていたのです。
 ぜひ、あなたも7月9日(日)には、高天原めぐりに参加して、神山町元山へ行き、自分の目で確認して下さい。 



4回 研究会メモ

◎ イザナミ命を祀る延喜式内社は、阿波国のみにあった。
◎ 黄泉の国脱出の物語に、高越山〜上勝〜相生〜鷲敷〜阿南に至る地域に符合する。
◎ 古事記は、「筑紫」と「竺紫」に書き分けている。
◎ 「筑紫」の語源は、日本の西に「尽きる」からきている。
◎ 古事記のいう、「竺紫の日向の橘の小門の阿波岐原」とは、阿南市見能林町である。
◎ 日向とは、ヒムカ・ヒムカシ・ヒンガシ・ヒガシ(東)と変化した。
◎ 「竺紫の日向」とは、九州を指すのではなく、東に尽きた地。阿南。
◎ イザナギ命が禊ぎをしたときに、天照大神が生まれた。
◎ 同時に、スサノオ命とツキヨミ命が生まれた。
◎ 宍喰町の八坂神社(御祭神、スサノオ命)は、日本三大祇園の一つである。

◆◆◆お知らせ ◆◆◆
7月 9日(日) 高天原めぐり散策会
 多家良町〜佐那河内〜神山〜国府の予定 山歩きのできる服装
 朝8時集合 四国セント歯科 弁当持参
7月10日(月)より 徳島古事記研究会 発足します。
 昭和町公民館 午後7時30分〜9時30分

第4回 研究会の参加者 
平成12年6月7日 富岡公民館にて
阿南市  陶久敏郎 坂東泰宏 天羽達郎 天羽菜美 三村清嘉 三村隆範
羽ノ浦町 澤田俊明
徳島市  横田奈美枝 蜂谷海文 蜂谷やす子