No.8 発行2000/10/20


古事記を読めば、日本の歴史が見えてくる

山上 初恵

 私の故郷は、伊予の道後です。子供の頃は、祖母や母に連れられて氏神さんの伊佐爾波(いさには)神社(式内社)の宮出しに暗い内から起き出して神興を見に言ったものです。10月初なのに、寒かった朝の身支度を懐かしく思い出します。祖母の古い家の記憶と共に、神社の歴史は知りたいものです。
 この春に主人と訪ねた神山の神社の参道に咲く野の花の美しかったことや、大きな樹木に囲まれてそれは良かったのですが御神木の大杉が見あたらず分からず終いで帰ってきてしまいました。会員の方にお尋ねしましたら目の高さの上に御神木は有ったのだそうです。やはり、何でも知っていたいと思いました。蜂谷さんから、古事記を読む会にお誘いを受けた時も同じ様な気持ちでした。県内の古い事も勉強できると思いますので皆さんよろしくお願い致します。




盃状穴が彫られた板碑

   阿波ペトログラフ協会 林 博章

盃状穴とは

■盃状穴とは、日本の考古学界では全く知られていないものである。出版されている本としては、梅光女学院大学地域文化研究所教授である国文直一氏監修の「盃状穴考」がわずか1冊あるだけである。しかしながら、世界の国際岩石芸術学会ではペトログラフと共に主流の研究対象となり、世界の主要な大学で研究が進められている。

■では盃状穴とは一体何であるのか。それから解説を進めていきたい。盃状穴とは、先史時代からペトログラフと共存し、祭祀やまじない等に使用されたとされるもので、世界中の先史祭祀遺跡等から発見されている。特にハワイ諸島やポリネシアに数多く見られ、英語ではカピュール(Cupule )と言い、ハワイ島のワイコロア熔岩原には数キロに渡ってペトログラフと共に刻まれている。盃状穴は、ユネスコ岩石芸術学会連合日本代表である吉田信啓氏により、日本各地にも古代祭祀遺跡と見られる場所で多数確認され、IFRRO 等のユネスコ傘下の国際会議で報告・発表され国際的に評価を受けている。現在、盃状穴は、その使用目的・意義・製作方法等が論議されている。

盃状穴が彫られた板碑の謎
【写真・盃状穴のある板碑  石井町石川神社 境内】
 盃状穴が彫られた板碑の謎板碑とは、板石塔婆とも呼ばれ、鎌倉時代に起こり室町時代には形式化し、ほぼ中世に限って製作されたものである。また、当初板碑は、板状の石を用いて卒塔婆の一種として発生した供養塔として作られ、副次的には、墓石の意味を持つようになっていた。徳島県内でも中世において大量に板碑が製作され、約1,700〜2,000基が、徳島市国府町を中心として、現存しているといわれている。阿波には、国府町を中心として、中世の遺跡である板碑の表面に、先史時代の祭祀状態である盃状穴及びシュメール系のペトログラフの彫られたものが多く発見されている。また、板碑の中には、全く梵字が彫られた形跡が確認できないもの、盃状穴が彫られた上に梵字を彫り加えたものがある。以上の事実からは、盃状穴は子供達が遊びでつついたとか、雨だれの跡であるとの説は写真から判断しても納得できることではない。現在までの所、盃状穴を伴った板碑は次のものが確認されている。

1.四国霊場常楽寺 3本
2.四国霊場国分寺北側地蔵横 1本
3.宮谷古墳北側 1本
4.四国霊場井戸寺 1本
5.石川神社境内 5本
6.勝間の池 1本
7.四国霊場井戸寺南庚申塔横 2本
8.桜間の畑の畔 1本
9.城福寺 1本
10.神の池 1本
徳島市国府町延命
徳島市国府町矢野
徳島市国府町矢野
徳島市国府町井戸
名西郡石井町市楽
徳島市国府町観音寺
徳島市国府町井戸
名西郡石井町桜間
徳島市国府町早淵
徳島市入田町神ノ池
 徳島市国府町には、矢野神社と呼ばれる気延山があり、その東側には西日本最大級の縄文矢野遺跡(約4,000年前〜)が広がっている。その一帯を中心として、盃状穴群及び盃状穴を伴った板碑が数多く発見されている。一体なぜ、板碑に盃状穴が彫られているのだろうか。今後、そのことについて考察していきたい。

12月16日(土)〜12月25日(月)
ドクタ−エンド−徳島にて開催
「阿波の超古代遺跡」展
それにともない、上記、地点の
盃状穴観察会
を年末か年明けに予定しています。
盃状穴を見つけたらお知らせ下さい。




大麻町萩原カネガ谷発掘現場
山をおおう青いシ−ト あれは、何 ?

 鳴門池田線(県道12号線)を西に車で走らせ四国巡礼1番札所、霊山寺(大麻神社)の1kmほど手前、つまり池谷トンネルをくぐるとまもなく右手に山一面を青いシートでおおった発掘現場が見える。これは、高速自動車道建設にともなう予定ルート上の開発調査現場である。写真では、小さく見えるかもしれないが現地に行ってみれば、その大きさに驚くものである。山上に小さく見える白いテント、点にしか見えない発掘作業員のみなさんです。あの大きさ、あれは何かと想像を膨らませます。来年になれば、現地説明会がなされるのでしょうが、何がでるのか楽しみです。また、大麻町周辺では、いたる所で発掘現場が見えます。
 21世紀は、続々と新発見が発表されることと今から胸をワクワクさせ待ちたいと思います。ぜひ1度、鳴池線へ車を走らせて見に行ってください。その大きさにきっと驚くことでしょう。大麻比古神社へ初詣する際に見ようというなら、初詣は、神山町の上一宮大粟神社と国府町の八倉比売神社にお参りしてからにしましょう。
 上一宮大粟神社には、阿波の祖神、大宣都比売神(おおげつひめがみ)が、八倉比売神社には、大日靈貴(おおひるめむち)(天照大御神)が祀られています。大宣都比売神(おおげつひめがみ)は豊受大神と同一神ですから、神山町の上一宮大粟神社と国府町の八倉比売神社にお参りしたならば、伊勢神宮の外宮と内宮にお参りしたと同じ事です。というより、阿波は、元宮ですからその御利益は想像を超えるものが有ります……。
 驚くようなことがあれば、編集部までお知らせ下さい。




◆◆◆ お 知 ら せ ◆◆◆
11月1日(水)  阿南古事記研究会  富岡公民館 図書室
毎第1水曜 午後7時30分〜9時30分
11月8日(水)  徳島古事記研究会  昭和町公民館 2F
毎第2水曜に変更 午後7時30分〜9時30分