古事記〈上巻〉の話は、すべて阿波の話で、それを色濃く残している所は、島根県〈出雲〉でも、宮崎県〈日向〉でもありません。
 
次号から、いよいよ古事記の物語に入ります。黄泉国の話が繰り広げられた出雲と日向とは、阿波のどこにあるのでしょうか?
 いままでの古事記の読み方は、出雲と日向を現在の地名にあてて読んでいるために、つじつまが合いません。そんな、おとぎ話にもならない、夢の中のような時間と空間を無視する支離滅裂な読み方が、不思議なことに現在まで実
(まこと)しやかに続いているのです。古事記などには「阿波から始まった」と書いてあります。それらの文献と阿波や他の地方に残る痕跡とを照らし合わせてみました。すると、それらに書かれている事と痕跡とが一致し、日本は阿波から始まり、阿波は古い倭国だったことが、浮かび上がってきました。
 真実は一つです。事実かどうだったかは分からないとしても、古事記の正しい読み方は一つです。従来の教えにとらわれている方々も、もう一度、古事記を素直に読み返し、日本の歴史を考え直してみましょう。