天の岩戸が開くとき 人は神に帰る 24
大人になろう 三村 隆範
手帳にメモした。
「もっと大人にならなければ…」と。
物心がついてから,それなりに努力してきた。気がつくと大きくなっていた。大人になる努力をしてきたと言えるほど,意識して大きくなったわけではないが,身体は大きくなっていた。
心は大きくなったかといえば,まだまだ,子供のままであったと還暦も過ぎてから気がついた。
物心がつくと自分の好き嫌いを自覚するようになり,年齢を重ねる毎に,それがますますハッキリしてくる。自分の気に入ったことが起こらないと腹が立ち,気に入ったことが起こると喜ぶ。
広大な庭園の広がる大きな邸宅に住み,毎日,朝昼晩と好きなものを食べて,邸宅の前に広がるゴルフ場の1番ホールのティーグランドからボールを打つ。
「ナイスショット!」 ホールインワン。
2番ホール,3番ホール・・・18番ホール,すべてホールインワン。
街に出て,宝くじを5枚買ったら,5枚とも3億円の大当たり,やることなすこと,すべてが思うとおり,うまくいく。こうなってくると,
「こんな所にいても面白くない。
これだったら地獄にいた方が面白い」
と言いだす始末。
近くを歩いていた老人が
「君は,何処にいるかわからないのだね」とつぶやいた。
自分の思うとおりのことが起こらないから,この世は面白い。
「やるぞ!」と思うことは,
いつでもどこでも誰でもが,
すぐ思うことが出来る。
ただ,それが実現するかどうかは,
「おおいなるもの」のみが知る。
おおいなるものは,万物を生み育て育んでいる。
その中の一つである私も,大(おおいなる)人であり そのおおいなる変化の中を, いつも よろこんで 歩んでいる。
|