対地レーダーモードについて

 

◎対地レーダーモード概要

Realistic radar 設定の Falcon4.0 では、3つの主な対地レーダーモード −GM(Ground Map〜地上地図モード=対地上固定目標モード)、GMT(Ground Moving Target〜対地上移動目標モード)、SEA(対海洋上目標モード)− がサポートされている。更に Steerpoint/Snowplowモード、各種 FOV オプション(NRM・EXP・DBS1・DBS2)等が存在し、目的を達成するためにそれぞれのモード・オプションを組み合わせて使用する。

"F2"キーによりレーダーは対地モードになり、繰り返し "F2" キーを押すことで、メインの3つの対地レーダーモード −GM・GTM・SEA− が切り替わる。

対地レーダーモードでは、レーダーディスプレイには扇形のインジケータが表示される。自機は扇形の頂点におり、自機を真上から見下ろすように表示される。扇形より下の部分はレーダー照射されず、レーダー反応を得ることは出来ない。

画面中央にはHUDに表示されるピッチラインのような人工水平儀があり、この線は常に水平線と平行である。また、この水平儀は機首を上げるとレーダースクリーン下方へ、機首を下げるとレーダースクリーン上方へ動き、機体のおおよそのピッチ角も表現している。

○レーダー反応

レーダー反応があると、それはレーダースクリーン上で小さな■で表される。扇形の頂点に対するレーダー反応の位置・距離は、それぞれ自機の機首からの位置、距離に相当する。各レーダー反応は、自機の動きに従ってレーダースクリーン上を移動する。

○レーダーカーソル

対地レーダーモードにおけるレーダーカーソルは、レーダースクリーン上縦方向と横方向に伸びる直線の交点で表現される。後述の Steerpoint モードにおいては、レーダーカーソルは自動的に選択中の目的地の上に表示される。もし選択中の目的地がレーダーレンジ外にあるか、或いはアジマス±60度の範囲外にあるのなら、レーダーカーソル中心はMFDの縁に貼り付いている。

○レーダーレンジ

対地レーダーモードに用意されているレーダーレンジは、10,20,40,80nm の4種類である。(GMTモードでは10,20,40nmの3種類)

レンジの切り替えは対空レーダーモード時同様 "F3"(レンジ縮小),"F4"(レンジ拡大)で行えるが、レーダーカーソルをスクリーン下端・上端に持っていくことでも、自動的にレーダーレンジが縮小/拡大する。レンジ10nmの状態から更にレンジを下げようとすると最大レンジに、レンジ最大の状態からさらにレンジを上げようとすると10nmのレンジになる。

20,40,80nm のレンジ選択時には、レーダースクリーン下辺中央の同一点を中心とする、等間隔な3つの円弧が表示される。これらはそれぞれ、現在のレーダーレンジの25%,50%,75%の距離に相当する位置を表す。スクリーン上端が、選択しているレンジ100%の位置となる。

10nmのレンジ選択時には1つだけ円弧が表示されるが、これは自機から5nmの距離の位置を意味する。

○レーダー感度調整

レーダーの感度調整は、Shift+"F3"(感度低下)、Shift+"F4"(感度増加)で行える。

感度を十分に上げるとレーダーディスプレイ上にレーダー反射物の輪郭を見ることが出来るようになる。レーダーの干渉エコーが酷くて目標を上手く分離出来ない場合は、感度を下げる。設定した感度は、次のレーダー走査時には元に戻る。

○SteerpointモードとSnowplowモード

Steerpoint モードと Snowplow モードの切り替えは、Shift+"↑"キーで行う。
以下、それぞれのモードの意味を解説する。

  1. Steerpointモード

まず重要なことに、Steerpointモードでは現在選択中の目的地(=予定航路上の次の経過点)周辺地域をレーダースキャンするようになっている。このふるまいは選択中の目的地までの距離と無関係に働く。(次の目的地を進めるには "s"キーを、戻すには Shift+"s" キーを押す。)

このため選択中の目的地が、自機の前方(レーダー走査可能な方角)にありながらも、レーダーレンジ内に入る距離にないとき(例えば、選択中の目的地が60nm離れていて、レーダーレンジが20nmであるとき)、レーダースクリーンにはレーダー走査されない領域が発生する。このときレーダーカーソルは、レーダースクリーン上の選択中の目的地に最も近い辺上にはり付いている。目的地までの距離がレーダーレンジ内で、自機の機首の向きが目的地の方角と全然異なっている場合は、機首を目的地の方向に向けてレーダーアンテナが目的地を捉えられるようになるまで、レーダースクリーンにレーダー走査域は表示されない。

選択中の目的地がレーダーレンジ内に入る距離にあって、レーダーアンテナが目的地を捉えられるように機首を向けているとき、レーダー感度を上げ(Shift+"F4")下げ(Shift+"F3")して調整し、レーダースクリーン上に地勢を含めた目的地周辺の地上情報を表示することができる。多少機首の方向を変えても、ちゃんと目的地周辺の地形情報が表示される。目的地から十分に大きく機首の向きを変えると、レーダー画像は削り取られる。このため、レーダー画像の一部に描画の欠落が生じることがある。

レーダーカーソルが現在の目的地にセットされているとき、カーソルは"↑","↓","←","→"キーにより自由に動かすことが出来る。カーソルを動かすと、その移動先を中心にレーダースキャンするようになる。

  1. Steerpointモード

Snowplow モードでは、現在選択中の目的地と切り離してレーダースキャンの方向を決めることが出来る。初期状態では機首方向のアジマス±60度の範囲をスキャンする。飛行プランに沿ってプログラムされたどの目的地の近くでもない地上ターゲットを見つけるときにこのモードを使う。

このモードでは、"↑","↓","←","→" キーにより自由にレーダーカーソルを動かすことが出来る。レーダーカーソルをレーダー反応のある所に合わせ、テンキーの "0" を押すと、その地上ターゲットがレーダーロックされる。地上ターゲットをロックすると、レーダースクリーン上ではロックされたターゲットに◇マークが付き、自由にレーダーカーソルが動かせなくなる。ロックの解除は対空レーダーモードと同じく、テンキーの "."(ピリオド)。

一旦ターゲットをロックすれば、マーベリックミサイルやレーザー誘導爆弾(LGB)は自動的にその地上ターゲットを標的とするようになる。

○FOV(Field of View)オプション

FOVオプションとは、対地レーダーモードにおいて、何らかの付加価値をくわえたレーダー画像を得るためのオプションである。

FOV オプションには以下の4つがあるが、4つ全てをサポートしているのは GM モードだけである。GMTモード・SEAモードは "NRM" と "EXP" の2オプションだけをサポートする。

FOVオプションの切り替えは、"F9"キーを押下することで行う。

  1. NRM

何もオプションを付けない、通常の状態。

  1. EXP

NRM 時のレーダースクリーン上において、レーダーカーソルに直行する短い4本の線("EXPANSION CUE MARKERS"…マニュアル 21-30 上図を参照)で囲まれた範囲を拡大して表示する。NRM表示に対して4倍の拡大率となる。すなわち、レーダーレンジが10,20,40,80nmの時、それぞれ 2.5×2.5nm,5×5nm,10×10nm,20×20nm の範囲を表示する。

スキャンにより1枚の絵を得るのにかかる時間は、NRM 時より長い。

  1. DBS1

レーダースクリーンに表示される範囲は EXP 時と同じ。しかしスクリーン上に更に EXPANSION CUE MARKERS が現れ、このキューで囲まれた範囲を NRM 時に比べて8倍の解像度で走査する。1枚の絵を得るのにかかる時間は、EXP 時より更に長い。

また、レーダーレンジが 80nm のときはこのオプションは使えない。

  1. DBS2

NRM 時の8倍の拡大率で、64倍の解像度のレーダー画像を得る。1枚の絵を得るのにかかる時間は、DBS1 時よりも更に長い。

また、レーダーレンジが 80nm のときはこのオプションは使えない。

FOV を NRM から切り替えたとき、拡大率と解像度の増加の他にも、細い十字線(THIN CROSS−マニュアル 21-31 上図を参照)がレーダースクリーン上に加わる。

最初この細い十字線はスクリーン中央にある。"↑","↓","←","→" キーを押すと細い十字線が動き、スクリーン中央を中心に、点対称に地面の映像が動く。レーダースキャンが1回終わると地面は元の位置に戻るが、細い十字線の位置は戻らない。

この細い十字線は、NRM モードにおけるレーダーカーソルの中心位置を示している。試しに NRM 時にレーダーカーソルをスクリーン中央に置いておいて、EXP に切り替え、細い十字線を中央から左斜め下に移動させ、NRM に戻してみるとレーダーカーソルが前より左斜め下に移動している。

FOV を NRM 以外に切り替えたとき、レーダースクリーン左上に "┌┐" 型のマークが表示される。これは水平線表示であるが、同時にレーダー画像の縮尺も兼ねている。マークの長さは1/4マイル(1500フィート)を表す。

○主要な対地レーダーモード

  1. GM(Ground Map)モード

GMモードは、ビル、橋、空港等の人工建築物を発見するためのモードである。レーダーはこれら人工建築物を自然物から分離し、強いレーダー反応のあるターゲットをロックすることが出来る。また、道路や川、森林などの主要な地形構成要素も見ることが出来る。

GM モードにすると、Steerpoint モードで且つ選択中の目的地が機首からアジマス±60度の範囲内にあればレーダーカーソルが選択中の目的地の位置に、Snowplow モードであればスクリーン中央に表示される。

ロックしたいターゲットがある場合、"↑","↓","←","→" キーを使ってレーダー反応のある位置にレーダーカーソルを移動し、テンキーの "0" を押せばよい。ロックが完了すると、ターゲットを示すレーダー反応の光点の上に◇マークが表示される。ロックの解除は、テンキーの "."(ピリオド)。

GM モードでは、全ての FOV オプションが使用できる。

 

  1. GMT(Ground Moving Track)モード

GMTモードは移動する車両の追尾に向く。このモードでは、100mph以下の速度で走る地上ターゲット−戦車やトラック−を発見できる。

GMモードでは橋等の建築物が発見できるが、GMTモードでは橋上を走るトラックは検出出来ても、橋自体は見えない。

GMTモードは地形の描画は行われず、レーダーレンジも最大40nmまでとなっている。また、前述の FOV オプションの DBS1・DBS2 はサポートしない。

GMTモードのデフォルトは Snowplow モードになっており、走行ターゲットのロックオンは GMモードの Snowplow モードにおけるやり方と同様に行う。

  1. SEAモード

SEAモードは海面によって作られるレーダー干渉ノイズを除去し、海上の艦船を発見しやすくするためのモードである。FOV オプションの DBS1・DBS2 をサポートしていないことを除き、GMモードと同様の機能を持つ。

○OSBラベル

MFDの回りには1辺につき5つずつの機能選択ボタン(Option Select Button −"OSB"− マウスでクリックできる。キーボードでも押下可能。本ホームページの「キーコマンド一覧」のページの終わりあたりを参照のこと)があり、ディスプレイ内周にはそのボタンの機能がラベル表示されている。(各ボタンの機能はMFDのモードによって変わり、その都度ディスプレイ内に表示されるラベル名も変わる)

対地レーダーモードの時の各OSBラベルの意味は以下の通り。(説明の順番は、各OSBに付いている番号の順)

・MFD上辺−左から

1番目:"GM","GTM","SEA"

現在選択中の主要な対地レーダーモード(前述)を表す。
"F2" キー押下でトグル。

2番目:"MAN"

Falcon 4.0 においては、ここは "MAN" という表示で固定されており、何も機能しない。

3番目:"NRM","EXP","DBS1","DBS2"

現在選択中の FOVオプション(前述)を表す。
"F9" キー押下でトグル。

GMモード時のみ、4つ全てのFOVオプションがトグル表示される。GMT・SEAモード時は NRM と EXP のみ。

4番目:"OVER"

防御目的のため、レーダーを待機モードにし、レーダーエネルギーの放出を止める。
Ctrl+"r" キー押下で on/off。

5番目:"CNTL"

レーダー操作のためのコントロール画面が、現在使えるようになっていることを示す。
表示のみ。ボタンを押しても何も起こらない。

・MFD右辺−上から

1番目:"BARO"

気圧記録を行うが、Falcon 4.0 では機能しない。

2番目:"FZ"

このボタンを押すとフリーズ・サブモードに入る。
このサブモードでは、レーダースクリーンはボタンを押す直前の画面で固化し、レーダー波の放射が止まる。地図情報の更新も止まる。
レーダースクリーン上には自機の位置を示す"T"型のシンボルが表示され、これはリアルタイムに更新される。
"F10" キー押下でこのモードの on/off。

3番目:"SP"

このボタンを押すと、前述の Snowplow モードに切り替わる。このラベルがハイライトされている時は、Snowplow モードになっている。
Shift+"↑" キーで Snowplow モードと Steerpoint モードを切り替えられる。

4番目:"CZ"

レーダースクリーン上で、レーダーカーソルを動かしてあれこれやったことを、初期化する。Steerpointモードでこのボタンを押せばレーダーカーソルは現在選択中の目的地に戻るし、Snowplowモードで押せばレーダースクリーン真ん中に戻る。
Shift+"↓" キー押下でも実行される。

5番目:"STP"

このボタンを押すと、前述の Steerpoint モードに切り替わる。このラベルがハイライトされている時は、Steerpoint モードになっている。
Shift+"↑" キーで Snowplow モードと Steerpoint モードを切り替えられる。

・MFD下辺−右から

1番目:"DCLT"

レーダースクリーンに現れる目標以外の物体による干渉エコーを取り除くボタンだが、この機能は Falcon 4.0 では押しても押さなくても自動的に行われている。

2番目:"SMS"

MFD画面を「搭載物管理システム」画面に切り替える。
"Backspase" キーにより使用する対地兵器を選択した時点で右MFDが搭載物管理システム画面になっているため、このボタンで左MFDまで搭載物管理システムに切り替える必要性は殆ど無い。

※";"キー("L"キーの右横)は、搭載物管理システム表示のページ切り替えの為のキーであり、MFDを搭載物管理システム表示に切り替えるキーではない。

3番目:割付無し

4番目:"FCR"

このラベルがハイライトされていることは、現在MFDが「火器管制レーダーシステム」の状態であることを示す。このボタンを押すと、火器管制レーダーシステムのメインメニューページへ戻る。

5番目:"SWAP"

このボタンを押すと、左右のMFDの表示内容が入れ替わる。

・MFD左辺−下から

1番目:割付無し

2番目:割付無し

3番目:(縦に並んで)"A","b"

アジマス・バー表示。
対地レーダーモードではアジマス±60度、1バーに固定されており、ボタンを押しても切り替えは出来ない。

4番目:"▼"

レーダーレンジを狭める。
"F3"キーの押下に相当する。

5番目:"▲"

レーダーレンジを広げる。
"F4"キーの押下に相当する。

 


99/01/24(日) HUQ(RXL03123)
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