振り返れば奴が居る
InterTrax2 + Cy-visor DH-4400VP
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◎2002.09.07-08 お面OFF会
羽柴誠三秀吉やら山火事やら田中知事やらで祭りの最中な長野から、元ヘリのパイロットでもある現役 AceHigh腕利きプレーヤーの『じっちゃん』こと ZEKE 氏を迎え、関西在住の splash 氏、okamasa 氏、AERO氏と共に、3回目のVR体験 OFF 会を行いました。
今回は一泊二日の日程で、その間フルに VR システムを活用出来る環境があり、またオンラインフライトシムの現役バリバリのプレーヤーも揃いましたので、各プレーヤーが VR システムにある程度馴れた状態で、これを使用して LAN 対戦を行ったり、ネットに繋いで AcesHigh の Online Play を行ったりすることが出来ました。
今回は、ZEKE 氏と AERO 氏のインプレを中心にお送りします。
◎当日の様子
◎ZEKE氏のインプレ
HMDでの F-sim を "リアリティー" に関して追求すると、色々と出てくる問題の列記になって、キリがなくなってしまうのですが…(笑)
今回は非常に有意義な体験をさせていただきました。めったに味わえない "至高の仮想現実" ってものを味わえました。
HUQさん本当にありがとうございました。
【ZEKE の VR体験 F-sim : AcesHigh、MigAlley、IL2、FlightSimulator2002】
視力保護を目的としたヘッドマウントディスプレイの連続稼動時間制限(2時間)や、センサーの上下方向の可動範囲制限(±80度)を歯がゆく感じました。センサーの可動範囲の制限は、ある程度までは目の動きでカバーできましたが、それも一定以上は敵機や目標物の追従で限界を感じました。
全体的にボヤケたというか、通常のディスプレーを少し遠めの距離から見たような感じになり、慣れるまで自機から地上、空中オブジェクトまでの距離感をつかみにくかったです。
索敵は、4〜8 時方向(自機後方)以外は、通常の F-sim での視界移動キー や HATボタンを使うときと同程度の時間で、違和感なく目視確認できました。その一方、4〜8 時方向(自機後方)の策敵では、通常の F-sim において視界移動キーを使うよりも長い時間を要しました。F-sim 馴れしている私は、F-sim での視界移動のやり方に十分に慣れているため、そう感じたのだと思います。
ピント位置が比較的良好なポイントに HMD を装着するのが難しく、装着に慣れるのが大変でした。また、HMD の使用中は目が疲れやすいです。
以下、特に慣れたAcesHigh(以下 AH と呼称) 中心になりますが、使用感をざっと列記してみたいと思います。
4〜8 時方向(自機後方)以外の視界での索敵は、通常の視界移動キー使用時にも劣らない迅速さで策敵出来る。ただし、文字やアイコン情報(オブジェクトのラベル名や敵味方識別マークなど)がボヤケて見えるため、敵機の向き(エネルギー方向)がわからない。
4〜8 時方向(自機後方)、及びその上方(Six High の位置)の索敵頻度が、通常の視界移動キー使用時より怠りがちになる。これはセンサーの上下方向の可動範囲が、上方向に+80度までしか無いことや、スティックとスロットルを両手に握ったまま首だけ真後ろを振り返るのは困難なことなどから、仕方のないことでもある。
しかし、見にくいだけに自機後方に対する警戒意識が通常の視界変更キー使用時よりも高くなるため、慣れればある程度は 4〜8 時方向における敵機の機動パターンを予測し、これに対応することができるようになる。
しかし、次の 3. に述べるような旋回格闘戦に入った場合、敵機位置の確認が間に合わず、敵機の機動を把握できなくなり、判断ミスを犯しやすい。
AH で戦闘するにあたり、エントリー時に自機が優位位置にさえあれば、HMD使用時も通常の視界移動キー使用時と同様に一撃離脱系の攻撃を行うことができる。
旋回格闘は訓練次第。しかし、敵機数が多く、パイロットのスキルも高いMAで勝利するには大変な困難を伴う。
ヘッドオンで勝負をつけるのが、通常の対戦パイロットと一番近いレベルで勝利できる方法だが、賢い戦法ではない。(敵機が自機前方いて、射撃だけに集中出来るヘッドオンという状態を作ることが出来れば、射撃精度こそ通常の視界移動キー使用時より落ちるものの、一応は HMD を使用してスキルの高い敵機とも戦えるようだ。ただし、敵機までの距離を示すラベルがよく読めないため、敵機までの距離感がつかめない。そのため発砲タイミングがつかみにくいという問題がある。)
一般的なスキルの敵機ならば 6 時をとるポジションにつける自信はあったが、敵機数が多くパイロットスキルがハイレベルなMAでこれを行うのは、非常に困難である。
HMD を使って 1 on 1 の旋回戦で敵機の 6時をとって撃墜する、というのは、相当な訓練時間と、視力を引き換えにする必要があると思った。(笑
旋回戦では、4〜8 時方向の迅速な敵機目視確認が必須なので、HMDを使用して旋回戦を行うのは困難と判断した。
AH のアリーナで生きて基地に帰ろうとするならば、使用機種は高速機に限定し、通常の視界移動キー使用時よりも戦場を慎重に選定しなければならない。
一撃離脱を戦術とするなら、通常の視界操作キー使用時にくらべ HMD 使用時のほうが優位に感じる部分もあるが、いざ射撃の局面ではやはりラベル文字・アイコン等の敵機に関する情報が読みとれない問題があるので、どうしても命中精度が落ちてしまうのは致し方ない。
HMDを使用してMAで戦うには、バルチフィールドもしくは、一撃離脱に限られてしまうのは仕方のないことだと思った。
離着陸・巡航に関しては、通常の視界操作キー使用時よりもリアリティーが一段増したと感じた。
F-sim全体的にいえることだけど、F-sim と実際のフライトの大きな違いの一つに、一度に見れる視野が狭いという点がある。F-sim を楽しむには、まずこれに馴れる必要がある。しかし、HMD を使えば一度に見れる視界の狭さを自由な首および体の動きである程度補うことが出来るため、煩雑なキーボードや HAT による視界移動操作を覚える必要がない。
これは F-sim を初めてやるという人には非常に有益なものだと思った。ただし・・・かなり癖がありそうな HMD の設定方法(ゲーム中におけるセンサーのキャリブレーション方法や、ゲームコントローラIDの設定方法など)を覚えなければならない点を除けば・・・。
設定方法が結構難しそうだという点を除けば、ハットスイッチなどに割り振られてしまっている視界操作のコマンドを省くことが出来、本来の F-sim の意義が活きる事になる。これは大変なメリットだと感じた。
また、4〜8 時方向の視界が見難い点に関しては、後方を見るときだけ首振りの移動量に対する視界の移動量を増やすように調整することができれば、少しの首の動きで大きく後方を見渡すことができるようになり、6時方向の策敵に関する不利と負担を軽減できるとも思った。後述する「視線だけの移動による視界移動が出来ない」点も合わせると、物理的に見辛い視界では、少しの移動量で大きく視界が動くようになったほうが、体感的にはむしろ自然だと思う。 (TM の JoyStick 感度調整ツール "CTFJ" などは使えないかな?)
また、センサー感度調整を軸別に設定できるともっと便利だと感じた。
後は HMD の解像度さえ上がれば、ある程度満足のいく距離感は掴めると思う。
もっとも、HMD を使用してもなお、F-sim では実機に比べいくらかの違和感、とくに距離感に関する違和感が残る。
一つは遠方の景色とコックピット内の計器類が同じピントで見えてしまうことだ。
コックピット内の画像と外界の画像にメリハリがあれば、距離感をつかむための負担が減ると感じた。具体的に言うと、距離感がつかめないというのは外の対象物とコックピット内の計器類が常に同じ距離感で表示されているので、画面の限られた範囲内で同時に表示されると、ミニチュアのジオラマを見ているような感じを受けてしまうのだ。ミニチュアを操作するには、ラジコンの操作を修得するのと同様な独特の訓練と感覚が必要となる。
もう一つは、計器と外界の景色を見比べるとき、視線の移動だけでは見比べることが出来ず、わざわざ頭を動かさねばならないことだ。
車の運転をしているドライバーに喩えると、運転中首を振ってスピードメーターを見ることはしない。体や頭は動かさず、視線だけ移動させてスピードメーターを見るだろう。同様にパイロットも、離着陸時は外界の目印となる対象物と、コックピット内の計器類に何度も視点を移動させる。この視点移動の反復頻度は高く、これを毎度首を動かして見比べるのははやり違和感を感じる。
もうちょっと突っ込めば、上記2点とは別に、もっと科学的な距離違和感の原因があるのかもしれないが、私の表現力にも限界があることですし、すいません、わかりません(゚∈゚;)
計器の部分を3秒見つめたら2Dのコックピット画面を見れるとかなっていれば、いくらか便利かなとも思った。(2Dインパネ視点へ移行するキーを Joyに設定しておくというのも、負担軽減に繋がるかもしれない。今回は時間が限られていたので試せなかった。)
とりあえず HMD の画面解像度のアップが、違和感負担軽減の近道なのかもしれない。
HMDの特性として、AV鑑賞に大いに期待した!
おそらく、及川奈央の超高級●ープ嬢、あなたのオ●ニー助けてあげる、などが最適作品かと思っちゃったりしました。
画像をいくつかマルチ起動して、上見ても左見てもうわーお♪なことになるに違いない!!
しかし、生殺し度120%、素人にはお勧めできない。
後はバーチャ手袋とバーチャこんにゃくかバーチャ片栗粉Xの開発が、アニータ法の施行よりも重要で急務だ!
HMD使用の F-sim は、実機に比べるとまだ若干の違和感こそ残りましたが、非常に意義ある体験でした。HMD を軸に特化したソフト開発っていうのがあるのかはわかりませんが、そういうものにも期待したいです。( 特に5. (゚∈゚)b )
停滞したF-simゲームソフトへのニューアキシスデバイスかもしれないと思いました。工夫のし甲斐があるデバイスですね。
◎AERO氏のインプレ
Y生はHMDを被り、メインアリーナへと進入した。
テイクオフ、辺りを見渡す。
アイコンや計器板がボヤけ、読み取れる情報が非常に少ない事に慌てふためいた。
HMDの画質の限界だった...
首を振って自然に辺りを見まわす事ができるが、ぼんやりとしかみえず、不安を覚える。
「まるで水中メガネの中に水をいれて飛んでいるかのようだ」Y生は嘆いた。
だが、敵は否応無しに接近してくる。勘で接敵行動を起こす。
距離が掴めない。機影がみえたが、一瞬で通り過ぎた。「ヘッドオンだ、旋回のタイミングが遅れた」
急いで上昇を始め、反転する。
見上げると敵のアイコンが二つ見えた。「どっちだ」
機種が、距離が読めない。混乱したまま片方の敵機を追尾していく。
追尾する一方でもう片方の敵を探した。コックピット内後方の頭当てが邪魔で、自機後方の様子が見えない。「くそっどこだ」
Y生は焦った。索敵に焦る余り、機動に集中する事を忘れていた。
その時、被弾音がした。羊が一瞬見えた。
撃墜されていた...
「この空域は我が軍が劣勢だ、場所を変えよう」
友軍機が敵基地に大量に集結している所があった。
vulchできるかもしれない。Y生はすかさず移動した。敵基地上空に達した。少数の敵が上がってきている。
Y生は高度優位の体勢から一機の目標へとズームした。敵機は低空で友軍機と交戦している、チャンスだ。
ガンズームで機影だけを頼りに接近していく。敵機の上面が見えた。いそいで敵機の移動先に照準をあわせ、トリガーを引く。
着弾エフェクトが見えた。初戦果だった...
航空脅威は排除され、フィールドをvulchしにかかる。
友軍機がackを破壊し、完全にvulchフィールドが出来あがった。滑走路周辺を周回飛行する。敵機が出てきた。
「キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!」
Y生の目が輝いた。すかさず攻撃機動を取った。滑走路上に現れた獲物をレティクルに収めた。
その時、画面が真っ暗になった。「アヘ!?」
目標を完全にロストした。目の健康保持の為の2時間タイマーが切れていた...
急いでHMDの電源を入れ直し、画面モードをPCにセットする。敵機は離陸していた。
正対したが、距離が近過ぎ、接触した。戦果がパァだった...
◎本 OFF 会での InterTrax2 利用PC構成
今回のOFF会は、以下の構成の PC で行いました。
CPU Pentium4 2.8G (Socket478) M/B ASUS P4T533-C/LAN-JAY (intel i850E / ICH2) Memory Kingston PC1066 16bit 256MB w/ ECC ×2 Video PowerColor RADEON9700pro (core = 325MHz) Sound Philips Acoustic Edge PSC706 LAN M/B Onboard (Intel PRO/100 VE Network connection) SCSI Host Tekram DC-390U3D (U160 x 2ch) IDE HDD Seagate Barracuda ATA IV ST380021A(80G) SCSI CD-R/RW Plextor PX-W1210TS/BS BP/121032/SCSI SCSI DVD-ROM Pioneer DVD-305S(TS) FDD Sony MPF920-5 3.5inch 2mode JoyStick CH F-16 Fighter Stick USB
Microsoft SideWinder Precision ProThrottle CH Pro Throttle USB Ruddar CH PRO PEDALS USB USB Hub Elecom U2H-C4SID (CH3点セット, InterTrax2 を接続) KeyBoard, Mouse Logicool Cordless Desktop Pro (104, 無線ワイヤレス) Power ENERMAX EG651P-VE(550W) Monitor NANAO T660iJ(20inch) OS Windows ME
環境構築中、InterTrax2 が直接 M/B 上の USB コネクタに接続されていると、電源投入 or リセット再起同時に、BIOS の Plug & Play 開始の時点で起動停止してしまう、という現象が発生しました。
起動停止状態になっても、USB コネクタから InterTrax2 を抜けば、正常にマシンは起動します。起動後再度 InterTrax2 を接続すれば、InterTrax2 は正常に動作します。
この現象は私の環境では FSB = 100MHz、CPU = 2100MHz 時は発生せず、FSB = 133MHz, CPU=2800MHz 時には一旦発生すると、クロックを下げないと解消できません。発生する場合、だいたい FSB = 108〜110MHz, CPU = 2270〜2310MHz 付近以上から起こるようです。
対処法としては、
PC 起動時は InterTrax2 を M/B 上の USB コネクタから抜いておく
InterTrax2 と M/B 上の USB コネクタを直接接続せず、間に 外部から電源を供給するタイプの USB Hub を介して InterTrax2 を接続する。(私の環境では、Elecom U2H-C4SID というUSB Hub で PC が正常に起動することを確認しました。)
などが挙げられます。
この現象は AuCube 社に通知済みです。
もう一点、IL-2 にて V1.03a, V1.1, V1.2 の何れのバージョンの IL-2 でも、JMouse で InterTrax2 を「マウス」としてゲームに認識させることが出来なくなる現象が発生しました。
これは、JMouse が「フルスクリーンモードの DirectX / OpenGL 画面に切り替わった」ことをトリガとして機能し始める仕組みであるのに対し、ビデオカード Radeon 9700 のドライバでは、デスクトップの画面解像度・色数とフルスクリーン画面の画面解像度・色数が一致しているとき、フルスクリーンモードへの移行のイベントトリガを発行しないことが原因でした。
デスクトップ画面の色数設定と、IL-2 側の色数設定を異なる値に設定することで、最新の IL-2 V1.2 でも InterTrax2 をマウスとして認識させることが出来るようになりました。