Athlon64 FX-55 (Single core)
vs
Athlon64 X2 4800+ (Dual core)

◎ Dual core CPU は LockOn を快適にしうるか?

 2005年5月〜6月 にかけて、Intel と AMD から Dual core CPU が登場した。

 Dual core CPU とは、CPU2個分の演算機能を1つの CPU 内に詰め込んだものである。

 UNIX 等のサーバ向け OS では、OS 上で同時に動作している複数個のアプリケーションを、複数個の CPU で同時に処理させることで、各アプリケーションの処理待ち時間を減らすことができる。

 この機能は Windows XP でも実現されている。複数個の CPU を搭載した PC に Windows XP をインストールし、その上で複数個の Windows アプリケーションを同時に実行すれば、単一の Single core CPU を搭載した PC 上で実行するよりも各アプリケーションの処理待ち時間を大幅に低減させることができる。

 Dual core CPU は2個分の独立した CPU として動作するため、Dual core CPU を1個搭載した PC は、2個の Single core CPU を搭載した PC と同等の時間で複数個のアプリケーション処理を完了することができる。

 しかし、複数個の CPU を搭載した PC 上で単一のアプリケーションを実行させた場合、処理を実行している CPU 以外は全て遊んでいる状態になってしまう。つまり、CPU を複数個搭載していても、それが全くアプリケーション処理能力の向上に繋がらないのだ。

 Dual core CPU においても同じことが言える。たとえば Dual core CPU である Athlon 64 X2 4800+ は、その中に Single core CPU である Athlon 64 4000+ と同等性能の core を2個内蔵している。Athlon64 X2 4800+ 搭載 PC と、Athlon 64 4000+ 搭載 PC に、同じアプリケーションを同時に処理開始させたとき、処理完了までに要する時間はほぼ等しい。

 ただし、時間のかかる処理を複数の CPU で同時に処理させるよう設計されたアプリケーションであれば、複数個の CPU を搭載した PC を用いることで、そのアプリケーション1個を高速に処理することができる。

 残念ながら、現時点におけるほとんどの PC ゲームは、複数個の CPU による同時処理を考慮した設計にはなっていない。LockOn も同様である。これらの単一 Single core CPU 専用のアプリケーションを複数個の CPU による同時処理で高速化できるよう変更するには、プログラムを1から設計しなおさねばならない。複数個の CPU の利用を前提とした PC ゲームがリリースされるのは、Dual core CPU、あるいはもっと沢山の core を内包する "Many core CPU" が一般的に普及した後になるだろう。

 では、現時点において Dual core CPU 搭載 PC が PC ゲームを快適にする可能性は皆無だろうか?

 ゲームアプリ単体の処理高速化(フレームレート向上)を考えた場合、前述の理由により高速化する望みは薄い。しかし、画面描画処理中のビデオドライバ処理、音響処理中のサウンドドライバ処理、入力処理中のジョイスティックドライバ処理、マルチプレイにおける通信処理中のLAN ドライバ処理等が、ゲームとは別の「ドライバ」と呼ばれるアプリケーションを介して処理されている点に注目してみよう。ドライバはゲームとは別のアプリケーションであるから、一方の CPU をゲームアプリ処理に専念させ、他方の CPU にドライバ処理を任せることで、もしかすると重めのドライバ処理発生時における急激なフレームレート低下を緩和することができるかもしれない。

 本ページでは、LockOn: Flaming Cliffs 1.1 における Dual core CPU の効能を調査する。

 ここで使用した LockOn: Flaming Cliffs 1.1 は、"Ground Units LODs Fix" と "Client Network Game stuttering Fix" の2パッチ適用済のものである。

 CPU は Single core CPU 代表として Athlon 64 FX-55 (動作クロック 2600MHz, L2=1MB) を、Dual core CPU 代表として Athlon 64 X2 4800+ (動作クロック 2400MHz, L2=1MB(各コア独立)) を使用する。

 なお、定格動作では Athlon 64 FX-55 のほうが 200MHz 動作クロックが高いため、Athlon 64 X2 4800+ は FSB を定格 200MHz から 217MHz まで上昇させ、動作クロックを 2604MHz としている。この 8.5% の FSB 上昇により、こんどは Athlon 64 X2 4800+ のほうがメインメモリアクセス速度の面で有利になってしまっている。本来は FSB を定格のまま、X2 4800+ のCPU 動作クロック倍率を x12.0 から x13.0 に変更するか、FX-55 の CPU 動作クロック倍率を x13.0 から x12.0 に変更して CPU 動作クロックを揃えるべきである。しかし、X2 4800+ の設定可能な CPU 動作クロック倍率の最大値が、当初の目論見に反して x12.0 止まりであったため、このような設定になってしまった。なお、PCI 動作クロックと PCI-Ex 動作クロックに関しては、どちらの CPU での計測時も、BIOS 設定によりそれぞれ 33MHz、100MHz に固定している。

 

Athlon 64 X2 4800+ (Dual core)

Athlon 64 FX-55 (Single core)

CPU Configration CPU Configration
DRAM Configration
 - Timing Mode
Auto (DDR400設定) DRAM Configration
 - Timing Mode
Auto (DDR400設定)
DRAM Configration
 - S/W DRAM Over 4G Remapping
Disabled DRAM Configration
 - S/W DRAM Over 4G Remapping
Disabled
DRAM Configration
 - H/W DRAM Over 4G Remapping
Disabled DRAM Configration
 - H/W DRAM Over 4G Remapping
Disabled
Hyper Transport Frequency Auto Hyper Transport Frequency Auto
AMD K8 Cool'n' Quiet control Disabled AMD K8 Cool'n' Quiet control Disabled
JumperFree Configration JumperFree Configration
Overclock Profile Manual Overclock Profile Auto
CPU Frequency 217.0 CPU Frequency 200.0
PCI Express Clock 100MHz PCI Express Clock 100MHz
DDR Voltage Auto DDR Voltage Auto
CPU Maltiplier x12 CPU Maltiplier x12
CPU Voltage Auto CPU Voltage Auto
PCI Clock Synchronization Mode 33.33MHz PCI Clock Synchronization Mode Auto
PEG Link Mode PEG Link Mode
PEN Link Mode Fast PEN Link Mode Fast
PEG Root Control Enabled PEG Root Control Enabled
PEG Bugger Length Auto PEG Bugger Length Auto

  

M/B ASUS A8N-SLI Deluxe (nForce4 SLI)
Memory Kingston KVR400X64C3A/1G
(PC3200 1GB/CL3 Non-ECC (3-3-3)×2)
Video SAPPHIRE X850XT Platinum Edition
Sound Creative SoundBluster Audigy2 ZS Platinum Pro
HDD Western Digital Raptor WD740GD x2 (RAID0 by nForce RAID)
(74G/4.5ms/10000rpm/8MB,S-ATA)
DVD-ROM Pioneer DVD-500M
FDD TECH FD-235HG
Case Freeway FWD-2000VWWA 2.0
Power ThermalTake W0049RJ (680W)
JoyStick CH F-16 Fighter Stick USB
CH Pro Throttle USB
CH PRO PEDALS USB
 
○ Sound Driver:1.84.55 (12 May 05) / EAX 4.0 Advanced HD Driver (19 Nov 03)
EAX コンソール
オーディオエフェクト有効 チェック無し
カラオケ有効 チェック無し
CMSS 3D 有効 チェック無し
スピーカ設定
スピーカ/ヘッドホンセレクション 4/4.1スピーカー
コントロールパネルと同期 チェック有り
デジタルアウトのみ チェック無し
バスブースト チェック無し
THXセットアップコンソール
スピーカ/ヘッドホンセレクション 4/4.1スピーカー
アウトプットセレクション アナログアウトプット
デジタルアウトプットサンプリングレート 48kHz
グラフィックイコライザ
イコライザを有効にする チェック無し

○ CH Joystick Driver:CH Control Manager v3.60

map ファイル / CMS スクリプトファイル
こちらのファイルをダウンロード後、Mapped Mode で計測

  

 LockOn: Flaming Cliffs には、以下のパッチを適用済み
 
 ・Ground Units LODs Fix
 ・Client Network Game stuttering Fix

 PC起動後1回目の LockOn: Flaming Cliffs 起動で、QBench4.trk を再生する

 OPTIONS の共通設定は以下の通り

DIFFICULTY
PADLOCK ON
G-EFFECTS Realistic
PERMIT CRASH RCVR ON
UNLIMITED FUEL OFF
UNLIMITED WEAPONS OFF
RADIO ASSIST OFF
EASY FLIGHT OFF
EASY RADAR OFF
IMMORTAL OFF
MINI HUD ON
MISSILE EFFECTIVNESS HIGH
EXTERNAL VIEWS ON
MAP VIEW ON
AIRCRAFT SWITCHING OFF
LABELS OFF
MAP VIEW FILTER - MY PLANE ON
MAP VIEW FILTER - ALLIES UNITS ON
MAP VIEW FILTER - ENEMIES UNITS OFF

 

AUDIO
SOUND ON
MUSIC OFF
RADIO SPEECH OFF
SUBTITLES ON
NATIVE BETTY OFF

 

COCKPIT
HUD IN RUSSIAN OFF
MIRRORS ON
REF:ECTIONS ON
MIRRORS RESOLUTION High

 

 キャプチャは CPU:Pentium4 XE (Gallatin core) 3.2GHz / M/B:ASUS P4C800-E (Intel 875P/ICH5/R) / HDD:Seagate Barracuda 7200.7 Plus ST3400832A (400G/7200rpm, 8.5ms, 8MB, ATA100)  のPCにて、Canopus MTV2000 を用いて行った。キャプチャ時にフレーム落ちしたコマ数は0である。

 画面フレームレートの測定は、FLAPS 2.6.0 を用いて行った。LockOn 内蔵の fps 表示(CTRL+BackSpace)では動画圧縮時に文字が潰れて読めなくなるため、FLAPS を使用した。FLAPS が出す数値は LockOn 内蔵の fps 表示とほぼ同程度である。

 動画のエンコードには、DivX 5.21 を使用している。再生するには、「DivX Play バンドルのみ(Windows 2000 および Windows XP)」の最新版をダウンロードし、インストールしておく必要がある。

比較再生するには、以下のツールを使うことをお勧めする。


 

◎ 描画設定を最高にした場合

Athlon 64 X2 4800+ (Dual core)

Athlon 64 FX-55 (Single core)

 

GRAPHICS 
TEXTURES High
SCENES High
TREE PRLD 100km
CIV TRAFF Yes
WATER Very High
HAZE Advanced
LIGHTS All
VISIB RNG High
EFFECTS High
HEAT BLR On
SHADOWS Full
COLOR 32Bit
RESOLUT 1024x768
FULL SCREEN ON

 

 

◎ プレイ可能なレベルにまで描画設定を落とした場合

Athlon 64 X2 4800+ (Dual core)

Athlon 64 FX-55 (Single core)

 

GRAPHICS 
TEXTURES High
SCENES High
TREE PRLD 100km
CIV TRAFF Yes
WATER High
HAZE Advanced
LIGHTS All
VISIB RNG Medium
EFFECTS High
HEAT BLR On
SHADOWS Full
COLOR 32Bit
RESOLUT 1024x768
FULL SCREEN ON

 

 


2005.06.19(日) 22:52 HUQ
mailto: huq@ah.wakwak.com