対空ミサイル回避
◎レーダー追尾式対空ミサイルの回避
レーダー追尾式対空ミサイルには、その追尾方法に幾つかの種類があるが、基本的にはターゲットの居る方面にレーダー波を照射し、そのレーダー反射の強い所にターゲットが居るものとして追尾してくる。
このタイプのミサイルの追尾を回避するために、守らねばならない2つのポイントがある。
- レーダー波発信源から見た自機の大きさを、出来るだけ小さく保つ。
- ミサイルの進路に対し、自機の進路を出来るだけ直角に保ち、高速で飛行する。
1つ目のポイントは、レーダーの欺瞞として撒くチャフのレーダー反射に比べ、自機のレーダー反射を出来るだけ小さくし、チャフの効果を高めることが目的である。
2つ目のポイントは、ミサイルから見た自機の移動速度を出来るだけ大きくし、追尾を継続することを困難にすることが目的である。
1つ目のポイントから、ミサイルを常に自機の翼面を延長した平面上に置いておけば良いことが分かる。
2つ目のポイントから、ミサイルの進路と自機の進路が常に90度近い角度を保つようにしておけば良いことが分かる。
以上2点を踏まえた実際の回避行動は、以下のようになる。
- レーダー追尾式対空ミサイルを撃たれてミサイル接近警報が鳴る前には必ず、敵からレーダーロックオンされていることを知らせる警告音が鳴る筈である。攻撃MFDを見ると、自機と、自機をレーダーロックしている敵とが白い直線で結ばれている。この段階でミサイルを撃たれるのは確実であるから、レーダーロック警報が鳴ると同時に
EMCON レベルを手動で最高の5に上げる。(自機と、自機をレーダーロックオンする敵との間に山等の障害物がある場合には、EMCON
レベルを上げずに障害物を上手に利用するのが賢明である。−
チャフには数に限り(50パック)があるため)
- ミサイルを撃たれ、ミサイル接近警報が鳴り響き、画面中央下に
MISSILE(R) の表示が現れたら、即座に F3
視点にする。接近するミサイルをパッドロックし、ミサイルがコックピット横に見えるように機体を操作する。(F3
視点で脅威ミサイルパッドロックをした状態で、画面下半分・或いは上半分にコックピットのサイドが見えるような位置をキープする。)
航空機からのレーダー追尾式ミサイルに比べ、SAMサイトや艦船等から撃たれた地対空レーダー追尾式ミサイルは非常にしつこく自機を追尾してくる。航空機から空対空レーダー追尾式ミサイルを撃たれた場合にはミサイルを自機前方45度ぐらいの所に見続けるように飛んでいても回避出来るが、地対空レーダー追尾式ミサイルを撃たれた場合には、可能な限りミサイルを自機の真横に見続けるように飛ぶべきである。また眼下に谷がある場合には(ミサイルを機体の横に見る角度のまま)高度を落とし、地形を利用して早急なミサイル回避を心掛けたほうが良い。(焦りによる接地・墜落に注意! パイロットたるもの、常に冷静に!)
- ミサイル接近警報は鳴り続けるが、速度
600 knot
付近を維持し、ミサイルをコックピット横に睨んで飛び続ける。高高度でミサイルを撃たれ、地形の利用も期待できそうになく、更に速度も低い場合には、背面水平飛行に入り、スロットルを開けて加速する。(逆に、あまり過度に加速し過ぎないよう。
…
チャフを撒いたとき、チャフが流れて密度が薄くなり、効果が半減するため。)
チャフが自動放出されるまでは、手動でチャフを撒かない。
- チャフが自動放出され始めたら、一旦スロットルをアイドル状態にする(速度が400knot
程度までしか上がっていなかったら、アイドルにする必要は無い。そのまま加速を続けること)。更に手動でチャフを数発連打し、再度スロットルを開けて加速する。この一瞬の減速動作は、チャフの雲の密度を出来るだけ上げることを目的としている。よって手動でのチャフ連打も、出来るだけ短時間に行うこと。
そして、ミサイル接近警報が切れることを祈る。
- 以上でミサイル接近警報が切れれば一安心である。が、切れなかった場合、再度加速→減速→チャフ溜め撒き→加速を繰り返す。同時に出来るだけ早く高度を下げ、谷等のレーダー遮蔽物のある所に隠れること。速度が上がりきらなかった場合には、背面飛行からスティックを手前に引いて、ミサイルをコックピット真横に睨んだまま急降下に入る。当然猛烈な加速となるから、400knot辺りまで速度が回復したら即座に180度ロールし、空を頭上に戻してスティックを手前に引き、墜落を防ぐ。
(※間違っても、背面のままスティックを「押して」水平飛行に戻そうとはしないこと。機体はスティックを引く操作には敏感だが、押す操作には極めて鈍い。また速度が上がっているため、スティックを引く操作にもかなり鈍感になっている。早めに水平回復を行うこと。)
チャフが切れている時は、回避はかなり絶望的である。せいぜい、レーダー遮蔽となりうるような地形を利用して逃げ延びるしか、手は無い。或いは思い切って350knot
程度にまで速度を落とし、背面飛行にてミサイルを機体の横に睨みながら、防御MFDでタイミングを計って被弾寸前にベクタードスラストを使用した下方旋回を試み、ミサイルの進路変更が間に合わないぐらいの急な機動をとるという手もある。が、これで回避出来る可能性は極めて小さい。
以下に HARD
レベルのAI操縦の F-22 から撃たれる AIM-120R
を回避する ACMIファイル をアップする。
ミサイルを撃たれたのが 18
miles、その直後にミサイルから大きめに軸線をずらし、EMCON
は5をキープ。最初に撒かれるチャフは EMCON
5におけるチャフ/フレア自動散布によるもの。この時点ではまだミサイルは自機をロックオンし続けている。その後連射したチャフは、私が
";" キーにより手動で放出したチャフ。この距離からこの程度の密度のチャフの雲を作ることで、ミサイルは欺瞞され、チャフの方へ吸い寄せられていく。回避が完了しミサイル警報が鳴り止んだ時点で、敵機までの距離は約6miles。10miles
以内の距離までAI機に肉薄すれば、AI操縦の
F-22 は、もう AIM-120 を撃ってこなくなる。AI機に
AIM-120 を撃たせたくなければ、早くAI機の懐に入り込むこと。(実際にはこの後更に
Sidewinder
等の赤外線追尾ミサイルを撃たれるため、そちらの回避も行う必要がある。)
その後は guns
で応戦しているが、いかんせん高度が 35000feet
程もあって空気が薄く、失速せずに空戦を続けるのに苦労している。guns
を何度か外しているのは大目に見て欲しい。(^^;
最後は低空に持ち込み、辛くも勝利した。
AIM-120R
ミサイル回避のACMIファイル
◎赤外線追尾式対空ミサイルの回避
赤外線追尾式対空ミサイルにも幾つかの種類があるが、基本的には機体の発する熱を捉え、それを追尾するように出来ている。或いは自機を赤外線カメラ映像で捉え、映像からターゲットと判断して追尾してくる。
このタイプのミサイルの追尾を回避するために、守らねばならない2つのポイントがある。
- ミサイルから見た自機の大きさを、出来るだけ小さく保つ。
- 機体から発する熱量を最小限に抑える。
どちらのポイントも、赤外線追尾式対空ミサイルの欺瞞として撒くフレアの熱量に比べ、自機の発する熱量を出来るだけ小さくし、フレアの効果を高めることが目的である。
この2点を踏まえた実際の回避行動は、以下のようになる。
- 赤外線追尾式対空ミサイルを撃たれるのは、その短射程からして敵が至近距離に居る場合のみである。よって自分を発見している敵(大概は自機をレーダーロックオンしている)を見つけ次第、用心のために
EMCON レベルを手動で最高の5に上げる。ミサイルを撃たれる前に、出来るだけ敵に対して正対しておく。(背後から撃たれると避けにくい。)
- ミサイルを撃たれ、ミサイル接近警報が鳴り響き、画面中央下に
MISSILE(IR) の表示が現れたら、即座に F3
視点にして接近するミサイルをパッドロックする。速度は
500〜600knot 程度が適当。300knot
以下の速度で撃たれると、かなりの確率で被弾してしまう。
ミサイルが正面から飛んでくる場合には、自機の進路をミサイルの飛んでくる方向から少し(前方視野において、ミサイルを画面の左右端どちらかに見るような要領)ずらし、急いでスロットルを絞ってアイドル状態にする。速度が無い場合でも取りあえずアイドル状態にし、機首を下げて速度の低下を引き延ばす。
ミサイルを後方から撃たれた場合には、急いで左右どちらかに旋回し、ミサイルがコックピット横に見えるように機体を操作する(レーダー追尾式地対空ミサイルを撃たれた場合の対処と同様の角度にミサイルが見えるようにする)。これで速度が無いのはかなり致命的である。谷等の地形が利用できる場合には、そちらを利用したが良い。
- 正面から撃たれた場合、2の操作を行っただけでもミサイルロックオンを外せることがある。外せない場合には、姿勢そのままでフレアを3〜5発程連射する。ロックオンが外れない場合には、レーダー追尾式ミサイルの回避時と同様にミサイルの進路と自機の進路の成す角度を大きめに取り、更にフレアを3〜5発程連射する。
- 無事にミサイル接近警報が解除されても、しばらくそのままミサイル回避行動を続けた方が良い。なぜなら、赤外線追尾式ミサイルは間違いに気付いて自機を再ロックしにくることが多いからである。ミサイルの機動性は
F-22 に比べるとさほど良くないので、ミサイル接近警報が鳴り止んだまま
3mile
程度まで接近したら、再度スロットルを開いて反撃に出て良い(仮に再ロックされても、ミサイルの軌道変更が間に合わない)。
フレアが切れている時の回避は、レーダー追尾式ミサイル回避でチャフが切れている時と同様、かなり絶望的である。うやはりこれも地形を利用して逃げ延びるしか、手は無い。地形を利用して一旦追尾を振り切っても、そのまま真っ直ぐ飛んで顔を出すと、赤外線追尾式ミサイルはちゃーんとこちらの行動を読んで再ロックしてくることが多い。山陰等に隠れたら、急いで減速・進路変更した方が良い。顔を出すのは、ミサイルが通り過ぎてからにしよう。
機体の機動性だけで振り切るのは、もう本当に不可能に近い。ネット対戦等で正面超至近距離(2miles
以内とか)から撃たれた場合に、即座のエンジンアイドル化→ミサイルから見た自機の大きさを広げることなく進路変更、だけで回避出来ることがあるぐらいのものだ。
以下に
HARD レベルのAI操縦の F-22 から撃たれる AIM-9X
Sidewinder を回避する ACMIファイル
をアップする(以前メインページに置いていたものと同じもの)。
ACMI
ではエンジンコントロールの様は分からないが、ミサイルに対する進路のずらし方等は参考になると思われるので、是非TAWの
ACMI メニューで見てみてほしい。
エンジンコントロールとしては、最初のミサイルを撃たれた時が
600knot、その後撃たれる瞬間毎に即座にエンジンをアイドルにしている。3発目を撃たれたときはかなり速度が落ちており(350knotぐらいか?)、前2発より多めにフレアを撒く羽目になっている。速度が落ちている時は下降した方が良いのだが、その後直ちに攻撃に転じたかったが為に、無理して上昇しつつフレアを撒いている。
Sidewinderミサイル回避のACMIファイル
99/02/18(木) 01:23
HUQ(RXL03123)