18トリソミーについて  〜千雪の場合〜

 18トリソミーは染色体異常症のなかのひとつです。
ヒトがつくられていく段階での生殖細胞の分裂の際に何らかの原因で染色体異常が発生します。
 遺伝の情報を伝えるのが染色体の役割ですが、この染色体の数が多くなる、少なくなる、一部が切れる、もしくは切れた染色体が他の染色体にくっついてしまっているなどの結果、正常な発育や発達が妨げられ、様々な合併症を引き起こしてしまいます。18トリソミーの発生頻度は、3000〜8000人に一人といわれています。

― 染色体異常=病気ではありませんがそれによって起こる数多くの合併症があり、その症状も様々ですが18トリソミーでは重篤なものが多いとされています。

ここでは千雪のことについてのみの説明とさせていただきます。

通常18番目の染色体は2本ですが千雪は
(1) 47,XX,+18(18トリソミー)→染色体3本と
(2) 46,XX    (正常女性核型)→染色体2本
この2種類からなる18トリソミーモザイク型です。

 2005年1月20日 2605g 46.7cm 39週0日 普通分娩で誕生しました。出生直後には右母指多指症のみだと思っていました。生後2日目にチアノーゼを起こして大学病院に搬送されてから、多くの先天性心疾患が判明しました。

○ 大動脈縮窄 (CoA)
○ 動脈管開存 (PDA)
○ 心室中隔欠損(VSD)
○ 心房中隔欠損(ASD)
○ 僧帽弁狭窄 (MS)(左心低形成)
○ 心筋障害

 以上が心疾患で、他に左水腎症があります。
生後26生日目に行った1回目の手術で、大動脈縮窄に対して大動脈の縮窄部分を拡大するためのサブクラビアンフラップ術、動脈管開存に対しての動脈管結紮術と肺動脈バンディング術を行いました。

今後2回目にグレン術そして3回目に根治術としてのフォンタン術を予定していましたが、2006年4月の心臓カテーテル検査で肺高血圧症の値が悪く、フォンタン術に適さない為、手術の見通しがついていません。今後、左心室がわずかでも成長し働きが良くなること、肺高血圧症が落ち着いてくれることに希望を持ち続けています。

現在は24時間在宅酸素を使用しながら、発達もゆっくりとした千雪なりのペースで、確実な成長を見せてくれています。