ケルズの書

アイルランドのバー

3〜4日目(交通)

おにいちゃんの見たアイルランド

こちらでも二階建てバス

観光はお姉ちゃんに任せるとして、僕は交通機関について、と、 雑感を書いておこう。


ヒースローからダブリン空港から市街迄

僕は相変わらず早起きだ。
シャワーを浴びて、7時に食堂に行くと、もうとっくに賑わっている。
旅行者は皆早起きという訳だ。さっさと食事を済ませて、出かける事にした。

まずは(ロンドンでの我が家)Strand Palaceに近い、Charing Cross駅まで歩く。
ここから国鉄でPaddington駅へ行き、そこから空港直通のHeathrow expressを使う計画だ。
地下鉄だけでも空港には行けるが、各駅停車の小ぶりな地下鉄に1時間も揺られるのは ツカレルと判断し、急遽予定を変更したのだけど。
ところが国鉄の券売機には、Paddingtonの名前が無い。
Infomationで聞けば、地下鉄に乗れという。
どちらの駅も、国鉄/地下鉄乗り換えの駅のはずなのだが・・・  遠回りなのか、路線が違うのかは分からないが、ともかく地下鉄を使うことにする。

Paddington駅からは、Heathrow expressがわずか15分で空港まで運んでくれる。
券売機は日本語でも表記してくれるので便利だ。
地下鉄から降りて、人の波についていくと、券売機にも改札にも行き着かずに 国鉄のホームに出てしまうことが無ければ、もっと便利だろう。 (あやうくチケットを買いそびれるところだった。車内で買えるのかも知れないが。)
電車は快適。客は少なく、座席は立派。片道10ポンドもするから、(どちらも) 当然か?

さて、Heathrow空港では、アイルランド便は国際線扱いされていないので、ターミナル1に向かう。
リコンファームの必要は無いと聞いていたBritish Midland Airのチケットカウンタで、 JTBで予約したチケットを見せた。
併せて、荷物は機内持ち込みしかないと伝える。
ここまでは上々。
が、彼女が更に何か問い掛けるので、ゆっくり喋ってくれとお願いすると、確かにゆっくりには なるのだが、全く聞き取れない。
暫く話した後、ようやく、
「予約した便よりも早い便に乗れるが、変更するか? と訊ねている事、」
「いわゆるCockneyだと思うのだが、彼女の発音が訛っていた事」
が分かった。一寸、前途多難な気分になる。

さて、さっき貰ったチケットには80−84といった感じで、 ゲート番号が幅を持って印字されていた。
出発直前に決まるらしい。
そのあたりへ行っておこうとしたら、X線チェックはあったが、 税関も出国審査も免税店もなかった。このあたりは流石、国内線扱いである。

ゲートも決まってアナウンスがあり、乗り込んだ。
順調と思って機内で待っているのだが、mistが云々との機内放送があり、 どうも離陸する気配が無い。
隣に座っていたおばあちゃんが話し掛けてくれるのだが、困ったことに、これも全く聞き取れなかった。 僕の英語のヒアリング能力にも問題があるのだろうけど。

結局2時間程後、今日は飛ばないなと思った頃、一旦全員降ろされ、別のエアバスに乗せられる。
こちらはすぐに離陸した。
前の機体は、待機中に燃料切れでも起こしたのか、機体自身のトラブルで mistは関係なかったのか。全く分からないまま、わずか1時間程で、Dublin空港に、着いた。

さて、Dublin空港でも、Heathrowと同じで入国も簡単かと思っていたが、正規の入国検査があり、EUとNotEUに分かれている。
ここで、英国から来たのだからEU側だろうとそちら側でパスポートを見せると、 審査官にNotEUに行けと言われて、並び直し。
パスポートを見せずにEU側をすいすい流れる人の列を見やりつつ、更に1時間程度並んだのに、 スタンプも押して貰えなかった。
パスポートを見せずに通ったら? 通過できたと思うが、合法かどうかは不明。

空港からDublin市街へは、黄色と緑のツートンカラーのAIRLINKバス(3ポンド)で20分程。
混んでいたが、ジャケットの胸にシャムロックの刺繍をつけた青年(学生? バス会社の人?)が 席を譲ってくれた。つかれた顔をしていたからかは不明。(おねえちゃんは、単にLADY FIRSTだと思っているけど。)
確かに、アイルランドの人は噂どおり良い人たちのようだ、と気をよくする。(単純)

いくつかのバス停を通り、最終的にはバスは中央ステーションに着いた。
後は、地図を見ながら、曲がりくねった道を迷いながら、でこぼこの深い石畳を歩けば、 Dublinの我が家、Temple Barに到着する。
比較的新しいホテルだった事もあって、室内はきれいだった。
チェックインはJTBで予約したチケットを見せるだけでOKだし、 その他フロントとはそれなりに会話も成立したので、英会話力に少し自信が戻ったのだ、が。

一寸横道に入ると、すぐに古い石畳になる。スニーカーだと足の裏がイタイ。
また、この国は排ガス規制をしていないに違いないと思われるぐらい、 大通りでは年代もののトラックやバスが、黒々とした煙を巻き上げて走っている。
それを避けて脇道に入れば、石畳の道が待っているという訳だ。

朝御飯を食べ損ねた

翌朝。普段は電動髭剃りをつかっているのだが、少しでも荷物を軽くしようと使い捨ての剃刀にしたのが失敗だった。
こちらの水は硬水で、石鹸が泡立たない。安物の道具を持っていったせいもあって、 いくつか切り傷を作ってしまう。(英国でもそうだったのだが。)
血止めの薬(これは日本から持っていっていた)を塗って、気を取り直して朝食に向かう。

さてここはカフェテリア方式だが、オートミールとパンぐらいで、品数が少ない。
こんなものかと思っていると、ウェイトレスが何か話し掛けてくるが、早口でさっぱり分からない。
辛うじて紅茶を注文出来て、喜びながら隣を見ると、机の上にはハムや卵が乗っていた。
どうも注文できたらしい。

前日に機内で話し掛けてきたおばあさんもそうだが、どうやら、こっちが「分からない」 「もう一度」等言えば、会話をしようと努力してくれるのだが、英語が良く分からないんだ、 と言った途端に途端に会話を打ち切ってしまう様だ。筆談でも使って頑張れば良かったが。

尤も、オートミールだけでも充分腹は膨れたけどね。

ところで、観光ネタはおねえちゃんに任せて、ここでは触れないつもりだったけど一寸だけ。
この日は、国立博物館National Museum of Irelandに行った。
8世紀に作られたタラ・ブローチの本物と並び、独立戦争にまつわる品々が並んでいた。
苦労して勝ち取った独立である。
そう言えば、英国にも戦争博物館が存在した。
日本では負け戦の展示しか見ないのだが、日露戦争(厳密には勝ち戦ではないかも知れないが) 等の歴史も、もう少し大切にしてはどうだろうか?

ヒースロー空港からロンドン市街迄

こちらはフィッシュ&チップス

空港でのチケットカウンタは、今度はスムーズだった。
訛っていなかった事もあるが、何を言っているのかあたりがついた事が主な原因かも知れない (必要なのは、英会話力よりも経験という訳か。)。
空港に着いてしまえば特に予定も無い。 今朝の天気予報では雨という事だったので、彼女の提案通り、ひとつ早い便に変えて貰う。

先へ進むとX線検査(今回の旅行では、すべての空港でカメラもフィルムも大丈夫だと 言われ、実際大丈夫だった。対X線保護ケースに入れていたからかも知れないが)を受け、 出国審査があるのかと歩けば、もう免税店だった。

免税店(手元のレシートを見ると、AER RIANTA DUTY FREE SHOPとある)は、 スペースこそ小ぶりだが、品揃えは豊富だった。(これは、ガイドブックの言う通り。)
ピンバッチやウォーターフォードの花瓶などのお土産を買う。
ところで、こちらの人は英国のコインを受け取らない(無理を言って使った事もあるが)のに (不慣れな外国人=僕)の財布の中には、気がつけばそれが入っているのが面白い。
(英国では逆のパターンもあり、この二つの国の経済的な結びつきを感じる事になる。)

帰りの飛行機は順調に飛んだ。
行きもそうだったのだが、短距離をジェット機で飛ぶために、急上昇&急降下となり、 水平飛行は殆ど無い。
その中で、スチュワートとスチュワーデスにより、飲み物とサンドウィッチが配られる。
配ったと思ったらゴミを回収するので、大忙しとなる。
よって、機内には免税品のパンフレットがあるものの、注文するいとまも無く、航空会社の ロゴが入ったボールペンを手に入れそびれる事になったのは残念。

そして、やはり1時間程で、Heathrowに到着。
日本へ帰国するチケットとパスポートを 出しやすい内ポケットに入れて順路を進んだのだが、気がつけばそのまま外に出ていた。
ここでも、入国審査はないらしい。

曇り空の下、二階建のAir bus(こちらは正真正銘のバスだ)があると聞いていたので、 うろうろして探す。
ターミナル2の前から、それらしきものが出ていたのだが、ガイドブックで見た Russell Square行きでは無く、待っている客に訊ねても行かないと言う。
パンフを探して読んでみると、Route A2はKings Cross行きとなっているが、 Russell Squareも通るらしい。
それ程離れている訳でもないので、まあいいや、と乗ることにした。

二階からの眺めはなかなか良い。
雨に濡れ、身体から湯気をあげながら草をはんでいる馬を見ることも出来た。
しかし街中に入ると渋滞につかまり、余りにも道路沿いの建物をゆっくりと観光させてくれる ものだから、Baker Streetで地下鉄に切り替える。
だから、本当にRussell Squareに行ったかどうかは分からない。

ちょっと雑感

あわただしい一泊旅行だった上に、行きの飛行機がトラブルに見舞われたお陰で、 当初予定していた郊外への小旅行を中止する事になり、Dublin市街の観光だけとなった。
この街は思っていたよりもとても賑やかで、車も沢山走っていた。
鄙びた田舎を想像していた・・・と言っては、一国の首都に失礼だが・・・が、 日本の、一寸した地方都市並(これも失礼か?だが、都会であると言う事が良い事かどうかは 分からない!)の都会であった。

次は、もっと時間をかけて、アイルランドを回ろう。
世界遺産にも登録されているニューグレンジの巨大古墳、ゴールウェイのバンドネオン弾き、 そして、何処かに潜む妖精達に逢うために。

飛行機