舩木 伸児
 宍道湖の湖畔で作陶されている布志名舩木窯六代舩木伸児氏の個展です。
 武蔵野美術短期大学デザイン科を卒業後、田部美術館「茶の湯の造形」展優秀賞など多数受賞
されています。
 バーナードリーチから伝えられたスリップウェアの西洋的感覚と和の伝統の調和が氏の作品の魅力
です。 
布志名 舩木窯
 布志名焼舩木窯は島根県松江市のすぐ近く、宍道湖南岸の湖畔にあります。
 元禄時代(1695年頃)舩木次兵衛村政という人物が布志名の地に移り住み延享元年(1744年)
きっかけにその三人の子がそれぞれ窯元を形成します。
 
 そのうちの一家が弘化二年(1845年)に分家してできたのが現在の舩木窯です。(舩木平兵衛)
 以後、浅太郎、浅太郎雲平と続き、大正時代には国内外の博覧会に出品して受賞することも多く、
全国にその名をアピール。量産による欧米への輸出もさかんに行われました。

 四代 道忠(1900〜1963)は柳宗悦、浜田庄司、河井寛次郎、バーナード・リーチといった人々と
の交流を通じて個人作家活動に転じ、また光沢のある黄釉を完成させて島根県無形文化財指定保持
者に認定されました。現在の舩木窯にとってその基礎を特徴づけた道忠の功績は大きいものといえる
でしょう。

 五代 研兒(1927〜)は英国中世の陶器や17〜18世紀頃に盛んにつくられた化粧泥をほどこした
スリップウェアに魅せられ、バーナード・リーチのすすめで1967年に渡英したのを機にこれらの技法を
本格的に取り入れました。
 大鉢やハンドル付のピッチャーなど代表作は多く、英国ビクトリア・アルバート・ミュージアムなど各所
にパブリックコレクションされています。

 現在は六代 伸児(1960〜)が舩木窯の伝統や持ち味を踏まえながら独自の意匠で制作を続けて
います。その趣味性やスリップウェアの技法、やわらかな光沢のある黄釉、緑釉、深い色調の鉄釉などが
おもな特徴といえます。