レビュー:星空ぷらねっと らすとあっぷでーと:12月19日
星空ぷらねっと[D.O](Win)
ゲーム概要  選択式のアドベンチャーゲーム。主人公の今村正樹は、かつて宇宙飛行士を夢見る少年だったが、いつしかその夢を失っていった。一年前、子供時代を過ごした天美市に帰ってきた正樹はかつての旧友と再会した。しかし、別々の時間を過ごした仲間達は、以前のように付き合えなくなっていた。
システム  キャラの場所を選択して移動、アドベンチャーパートで選択肢を選んでいく、恋愛系としてはオーソドックスなシステム。基本的にキャラを追いかけていけばクリアーできるので、難易度は低い。
 既読スキップや音声調節、自動クリックなどの機能もあるがやや使いにくい。既読スキップは週毎の移動選択で解除されてしまうのでいちいち設定しなおす必要がある。そして、キーボード操作ができないのはかなりのマイナス。今時のアドベンチャーなら当たり前の機能だと思うのだが。セーブ数は30個とボリュームから考えれば丁度良い。セーブ時の画面がウィンドゥに表示されるのも分かりやすくて○。
グラフィック  数はそこそこあるのだが、原画のばらつきが気になる。大体、広告の絵とパッケージの絵からして違う。個人的には、パッケージや立ち絵で採用しているアニメっぽい絵の方が好み。クオリティ自体はそこそこレベルが高いだけに残念。下手すれば別のキャラかと思うくらい絵が違う時もあるので。立ち絵がころころと良く変わったり、移動選択でキャラがアニメーションしたりするのは芸コマで良し。ちなみに、主人公は顔出しあり。可愛い系なので、個人的には好きですが(笑)
シナリオ  全体的には瞳を中心にラブコメチックな展開だが、シナリオの流れは主人公あるいはヒロインの過去のトラウマを克服していく“過去モノ”の物語。
 瞳は序盤はドタバタラブコメのノリなのだが、中盤は盛り上がりに欠け、後半の展開はやや唐突とメインヒロインとしては今一つ。これだけ序盤から主人公にベタベタのノリなら中盤以降も続けて欲しかった。
 相馬蘭子は主人公を拒絶するタイプのキャラ。いわゆる、序盤冷たく後半は……のシナリオ。中盤から後半のストーリーはこの手のシナリオが好きな人ならお勧め。その分、ラストの展開が印象に残る。
 真田恭子はぼんやりお姉さんタイプ好きのためのシナリオ。展開もキャラ設定もKanonの舞っぽい(笑)シナリオもそれなりに完成してはいるのだが、どちらかと言えばキャラで楽しむタイプのシナリオ。
 山本ゆかりは完全にキャラ主導。あまりシリアスなシーンも無い。明るくあけすけな遊び人、という典型的なタイプ。会話のテンポがかなり良いので、楽しめればハマれる。
 サーシャは、これまたヘンな日本かぶれという典型的キャラクター。特に序盤のストーリーはギャグ全開。一方、後半はそれなりにシリアスな展開が用意されていて、キャラクターの明るさと対照的な展開を見せる。ギャグとシリアスがうまく融合していて、どちらの観点からも楽しめる。
 藤原佳多奈は全編を通してほぼシリアスに進む。同じシナリオライターが書いた加奈〜いもうと〜に通じるような、病気ネタ。今回は先天的障害を持つ天才児という、なかなか恋愛ゲームにしにくそうな題材なのですが、その根拠となるところがうまく主人公とからめてあってポイント高し。また、後半の佳多奈は展開が変わってくるのですが、この辺から佳多奈の問題から主人公の問題へと変わっていく。最終的な終わり方がややあいまいなのは気になるが、感動系というより恋愛ゲームとして面白くしているのが良いと思う。ただ、エピローグが長すぎ(というより、エンティング曲が流れるのが早すぎる)
 会話全般として「話し言葉」らしさが良く生きていて、読んでいて違和感が少ない。特にどうでもいい女性キャラの軽い会話などがいかにもいそうなのでリアリティあり。
 勿体無いのはエンティングの流れ。エピローグがいきなり切れてそのままタイトル画面に戻ってしまい余韻を楽しむ余裕が無い。その他、シーンとシーンの繋がりが強引な所も見受けられる。演出面は多少考えて欲しいもの。
キャラクター  キャラクターは全体的に立っていて、キャラゲーとして優秀。ヒロイン、脇役、敵役がはっきりしていてそれぞれが役割を果たしている印象。
 主人公の今村正樹は弱気だけどノリが良く、会話のテンポがいいので恋愛ゲーの主人公としてはなかなか良いタイプ。過去モノらしく、それなりのトラウマも抱えているし、シリアスシーンでは頑張るし。焦った時のボケは好みによるかな。
 星見瞳はボケ、ドジ、頑張りやさんの典型的タイプ。ラブコメらしいお約束展開を誘う能力があるのか、常にバタバタしている。わざとらしさを感じるかどうかは好みか?
 相馬蘭子。寡黙なスポーツ少女。山本ゆかり。遊び人。サーシャ。ボケ外国人。真田恭子。舞(Kanon)(爆)。って、一言で説明できてしまうキャラが多い……
 つまり、キャラは立っているけど、設定的には凡庸。ただ、どのキャラも会話のテンポが良いので、キャラの性格が反りに合わない、という人以外、会話シーンが飽きるということも少ないのではないだろうか。
 多少、設定的な珍しさのある藤原佳多奈。自閉症。ONEの椎名繭に近いところもあるが、佳多奈は喋らないし反応もあまりないので、無口キャラとはまた違う。周りのキャラでコミュニケートしている。恋愛ゲームとしては無か無そうな設定だが、シナリオ後半はまた少し違う。ネタバレなので書きにくいが、後半の佳多奈箱人的に一番好きだったり。
 その他、朝末先生、慎太郎、部長、ジョン、デュネイと個性的なキャラが揃っており、ドタバタ漫才ネタにはこと欠きません。特に名前は凡庸だけど立ち絵の可愛い田中さんを推します!(笑)
サウンド  サウンドプロデューサーに浜崎あゆみなどのバックも務めている野村義男氏を起用し、なかなか力の入ったサウンド周り。全体的にポップなノリでまとめつつ、重要な場面での落ち着いたサウンドも好感度高し。
 初回版にはショートサウンドトラックが付属。でも、どうせならフルのボーカルを聴きたかった。キャラクターのテーマソングだけショートバージョンなんだよね。サウンドトラックは同時発売されているとはいえ、できればなぁ。やはり商売……
総評  システムこそ使いにくいが、それ以外のレベルは概ね高くトータルバランスの良い作品。感動系っぽい感じがあったのだが、内容はむしろラブコメ的。会話のテンポの良さで勝負している。必要以上に突飛な設定は使っていないし、凝ったシステムも採用していない。加奈のシナリオとはまた違ったさわやかなノリを楽しませてくれた。とにかく、趣味に合わないのでなければ、どのシナリオでも十分楽しめるレベル。多少地味なのは否めないが、十分良作と言える作品。さすがは10周年記念ソフトか?

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