レビュー:まじかる☆アンティーク らすとあっぷでーと:6月19日
まじかる☆アンティーク[リーフ](Win)
ゲーム概要  骨董屋の経営をするシミュレーションパートとストーリーを進めるアドベンチャーパートで構成されているSLG+AVGタイプのゲーム。
 主人公の健太郎は、両親が海外へ商品の買い付けに出かけたために、一年間骨董屋を任されることになった。そこに魔法の国から来たというスフィーが現われ、奇妙な共同生活を始めることになる。
システム  基本的なシステムに関しては、総じてプレイしやすかった。特にゲームパッドに対応したのが良い。メッセージ送り、スキップ、メッセージ戻しなどが手元で操作できてなかなか快適。セーブ数が少ないのは多少マイナスだが、セーブ時の細かいデータが表示されるので久しぶりにプレイし直す時は便利。アドベンチャーパートでもシミュレーションパートでも操作性の良さは変わらない。骨董屋の商品整理等も一括して変更できるので、ストレスはほとんどない。動作も軽く、細かなアニメーションを使っている割に快適にプレイできた。
 経営パートは、それぼどオリジナリティがあるという程でもない。安く骨董を買って状態を良くして売るの繰り返し。お金を稼ぐという目的が希薄なのが残念。例えば、お金を稼ぐことで何かご褒美があったりゲームが別の展開をしていったりすれば良かったのだが。ただ売り買いするだけでなく、○○を探してくるなどの特殊な条件を付けて、情報を探して目的達成するなどの深みがあっても良かった。
グラフィック  「リーフらしい」という評。いわゆるロリロリした絵というやつ。このゲームの明るい気楽な世界観にはマッチしていたと言えそうだ。全体的にクオリティは高い。特に背景やCGの塗りがレベル高し。立ちCGも種類・質と共に満足できた。ここら辺はさすが大手の実力か。ただ、一枚絵のCGがやや少ないようには感じられた。
 はぎやまさかげ氏はこのゲームが原画デビューだが、十分魅力的。好みに合えば特に問題はない。多少体のデッサンの狂いが気にならないでもないが……
 シミュレーションパートのチビキャラアニメーションは、PCゲームの中でもかなりレベルの高いもの。地味になりがちなシミュレーションパートを上手く盛り上げた。
シナリオ  シナリオパート最大の欠点はシミュレーションパートとの分離である。キャラ攻略に必要なのはパラメータのみなので、経営シミュレーションは手を抜いても構わない、という作りになっている。せっかく経営パートを作りこんでいても、これでは意味が無い。
 唯一みどりシナリオだけは、経営パートの目標を達成することでシナリオが進むというアイデアが組み込まれている。この点は評価できるのだが、逆にこのシナリオだけハードルが高すぎる。他のシナリオとのバランスが悪かった。また、みどりシナリオに関しては、このゲームのキーボイントであるヒロイン「スフィー」や「魔法」といった要素がストーリーの中心に絡んでこないという致命的な欠点もある。シナリオ自体のクオリティはまずまずだが、みどりシナリオに関しては「まじかる☆アンティークのシナリオである必要が無い」と感じた。
 さて、他のシナリオを見ると大きな難点というのは無いが、今一つ盛り上がりにかけるのは事実。ドタバタが多く、何度も続けられると飽きる。主人公と結花の毎回のようにある漫才気味なやり取りもいい加減食傷気味。もう少しメリハリを付けて欲しかった。終盤ようやく落ち着いた展開も見せるが、前半のドタバタの印象の方が強く、今一つ乗り切れず。
 結花シナリオは中盤〜終盤の話の流れは上手いのだが、エンティングの中心がスフィーになっているという点がやや勿体無い。キャラクターを前面に押し出しているゲームなのに、結花シナリオで結花というキャラが目立たなくなるのは問題。
 さらに、Hシーンの表現のレベルが低い。慣れていないのがバレバレである。
 シナリオのマイナス点が目立つ中、一人奮闘しているのがなつみシナリオ。このシナリオはリーフの人気ライターである高橋龍也氏が担当しているらしく、頭ひとつ抜けた良さがあった。世界観とシナリオ展開が合っているし、少しずつシナリオの謎が解けていく巧妙さ、選択肢の意味の持たせ方なども秀逸。エンティングへの持って行き方も感動的でさすがと思わせる。Hシーンの濃さも特筆(笑)
 それにしても、せっかく新人シナリオライターの椎原氏を起用したというのに、サブキャラを一人担当した高橋氏の方に注目されてしまうのでは本末転倒もいいところである。
キャラクター  発売前からシナリオ担当の椎原氏が「スフィーは可愛いと思ってもらいたい」と言っていた通り、スフィーがどのシナリオでも話の核に絡んでくる。
 その割に、スフィーは自分のシナリオで今一つ魅力を出し切れていない。というより、メリハリがないからただスフィーと遊んでいるだけ……という感じを受ける。シナリオの量が一番多いにもかかわらず、展開に飽きているからさっぱりスフィーの魅力を感じられない。
 やや皮肉ではあるのだが、スフィーの良さは他キャラのシナリオで感じられたりする。どのシナリオでもスフィーは主人公を好きになるので、他キャラシナリオの時には身を引くオンナという役割を与えられてスフィーの人の良さが見えたりする。なんとなく同社作品WHITE ALBUMの由綺みたいな良さがあった(由綺は主人公に振られることでキャラクターの良さが見えるというやや哀しい役回りを持ったキャラだと思う)
 それ以外の各キャラはシナリオ内ではそれなりに魅力を発揮しており、キャラクターを前面に押し出したゲームとして、それなりに良さがあった。しかし、今一つオリジナリティが無いのも事実で、新鮮味は無い。
 唯一、なつみだけはおとなしい系統というのでも明るい系統というのでもなく、自然体なキャラクターとして面白さを感じた。ギャルゲーのキャラというのは、やたらとはっきりした個性を持っているパターンが多い。逆にこれがステレオタイプな印象を与える。なつみは一言では言いにくい、多角性のあるキャラクターとして仕上がっている。際立った特長が無い=地味なキャラ、となりがちな所をしっかりした個性を持たせた辺り、さすがは高橋氏というところだろうか。
 主人公の宮田健太郎はプレイヤーが付いていける程度には個性もあり、ゲームの中で違和感は無い。ただ、シナリオライターによって性格が違うような気がするのだが。高橋氏が書いた健太郎はどうもTo Heartの浩之っぽい(笑)なんかおせっかいだし。なぜか主人公の名前が変えられないのだが、深い意味があるのか?
 その他のキャラはあまりいないのだが、長瀬源之助はなかなかおいしい場面で登場して活躍しまくる。さすがはリーフお馴染みの長瀬一族である。
サウンド  定評のあるリーフサウンドチームだけあり、どの曲も場面に合ったクオリティの高い曲を提供している。OP&EDもきっちり作っているし、これといって穴もない。ただ、4人いる音楽マンの担当量がバラついているのが残念。中上氏の曲が好きな身としては、もう少し曲数が多ければな……と思わないでもない。作品の色からか、明るい曲、ポップな曲に良い曲が多いと思う。
 このゲームにキャラクターボイスが無いのは残念。容量が多くなるのを嫌ったのかもしれないが……内容的には合って然るべきな気がする。シナリオに頼らないゲームを目指したのなら、尚更付けて欲しかった所。
総評  ゲームとして楽しめるゲームを目指したようだが、結果的には中途半端に終わってしまった感がある。リーフ伊丹としては、シナリオの魅力をメインに勝負する、というスタイルを打破したかったのかもしれない。しかし、ユーザーの多くはシナリオ面に期待しているのだ。ライターは定評のある人をメインで起用し、新人ライターをサブで起用した方が良かったかもしれない。細かな面の作りこみはさすがだが、システム、シナリオ、グラフィックといったところが上手く噛み合わなかったと言えそう。ゲーム作りの方向性として否定はしないが、シナリオを期待するユーザーを納得させるには、完成度の高いゲームを提示するしかないはずだ。

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