| システム | |
基本システムは選択肢式マルチエンドのノベルアドベンチャー。作品では「超絶対御都合主義的恋愛妹アーカイブノベル」と言っているが。オーソドックスなアドベンチャースタイル。少し変わっているとしたら、アニメ風に話数が区切られていて、次回予告があったり前回までのあらすじがあったりするところか。
既読文章飛ばしやメッセージ履歴といったシステムは完備。ただし、キーボード操作が無い。ENTERキーを押してもメッセージ送りができないというのは辛い。マウスのクリックのみという仕様は、最近の作品ではほとんど見られない。重大な欠点である。セーブ数は20個弱。ゲームの長さを考えると、もう少しあってもいいか。CG閲覧、音楽鑑賞といった基本的なおまけモードあり。静止画ムービーなど、一枚絵を使った動きのある演出が多いため、動作が気になったがそれほど負担は無い模様。
システム上の難点はルート管理が適正でない事。シナリオの中で起こっていないイベントが起こっている事になってしまっている場面が多々見受けられた。例えば、某キャラの名前が判明していないのに、しばらく進んだシーンでは名前が出てきたりする。正直な所、シナリオを楽しみたいのであれば攻略サイトでも見て進めた方が良いかもしれない。
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| グラフィック | |
原画にやまとなをゆき氏を起用。頭が大きく、体が小さいアニメっぽいキャラクターデザイン。全キャラ等身は低めでロリ風味である。CGの塗りは鮮やかでツヤのある色使いで、これまたアニメっぽい。絵によっては多少ボディバランスが悪い気もするが、この辺は絵の味という事でもあるので好みか。
立ちCGはそこそこ豊富。オーソドックスな立ちCGの他にデフォルメの絵が多くギャグパートでよく使われていた。立ちCGを左右にスライドさせる演出が多くあり、飽きさせない。
一枚絵CGでは、絵の構図が秀逸。とかく18禁作品のCGは主人公視点でのヒロインのアップという構図ばかりということも多い。それに比べると、本作はアニメよりのスタッフの正か随所に工夫が見られる。例えば、上空から見下ろすような構図があって立体感がある。CGの数はキャラクター数が少ない事もあってか、多めに感じた。実際は100枚+おまけシナリオで20枚ほど。
注目点は静止画ムービー。OPや次回予告などで挿入されているのだが、切り替えのテンポが速く、声優の演技とも相まってスピード感のあるムービーに仕上がっていて格好良いと感じた。
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| キャラクター | |
キャラクターはメインヒロインが3人、サブキャラが数人と少な目の構成。しかし、キャラ分けがしっかりしている上にどのキャラクターも個性豊かなので飽きる事がなかった。
主人公。名前が無く目出しも無い(前髪を下ろしている)主人公なのだが、そのおかげで名称を“お兄ちゃん”などと音声入りで呼んでくれたので声優の演技が光る本作ではむしろ良かった。それに、名前は無くとも個性は豊か。記憶喪失という設定にも関わらず、不安そうな様子があったのは序盤だけ。生活に慣れてくると突拍子も無い行動や言動でギャグシーンを引っ張りまくり。恋愛パートなどの多少シリアスなシーンでは多少違和感があった。あまりにもふざけてスケベでアホな主人公なので、ヒロイン達がこの主人公に惚れている事に疑問を感じたほど。
メインヒロインで主人公の妹である流菜。よく喋りよく世話を焼きほどほどに主人公に惚れている、母親的な妹キャラクター。序盤で主人公と二人だけの生活の時は可愛い妹という感じなのだが、他のヒロインが集まって来るとイライラも手伝ってツッコミ役となっていた。主人公と二人の時と、他の家族がいる時で二面性があり、その辺りが魅力か。家の中では一番の常識人なのに被害を受けている事が多く、多少不幸なキャラかも。
記憶を失う以前、主人公と流菜の知り合いであり、主人公達の家に転がり込んでくる真美。奥手で引っ込み思案という設定なのだが、ひとり言と思い込みが激しいため感情が高ぶると、主人公に対してとんでもない発言をしてしまったりする。主人公への好意を隠そうとしているらしいが、バレバレなので流菜がよくツッコミを入れていた。「……なんて!なんて!」等と言葉を繰り返すのが口癖。一人で暴走している事が多く、個人的には鬱陶しかった。料理がすごく下手、というのはオーソドックスで面白味に欠ける。
主人公のメイドとなったMM−ox(大文字のエムの二乗まるばつ)。通称メム。以前の記憶を失っていて、なりゆきで主人公が新たなご主人さまになった。感情が豊かでとにかくよく喋る。人の話を自分流の解釈で受け止めてはとんでもない行動をする。記憶力が悪く忘れっぽい。メイドロボなのだが、あらゆる所が未熟で何をやっても失敗する。特に料理は酷く、台所を爆発させる。それでも主人公のために何か働こうという意志は強い。戦闘能力が高く、ゴキブリ一匹退治するのに部屋を滅茶苦茶にしたりと、要はトラブルメーカー。たまに悩んだりもするが、すぐに立ち直る。終盤のシリアスな場面が似合わないという点が主人公と似ているかもしれない。
番外編の「みりめ〜とる」で登場するmm−06(小文字のエムの二乗ぜろろく)。通称ミリ。試験目的で主人公の家に派遣された。小学生のような見た目、きっちりとした喋り方、そして戦闘仕様なのですぐに発砲する。メムの後継機であるので未熟な所も受け継いでいるらしく、台所はきっちり爆発させる。普段は比較的のんびりしているのだが、緊急時と勝手に認識すると暴れ始める。メムとのコンビで暴走ぶりに拍車がかかるとより面白い。
その他。主人公の父親の助手、藤。知的な見た目とは対照的に慌てっぽく失敗が多い。それから珍しい日本食を食べるのが好きで、ヒマさえあれば何か食べに行っている。登場の場面は多くないが、一人で騒いでいてキャラの印象は強かった。
謎の神父。唯一のシリアスオンリーキャラ。ノリが他のキャラと全く違うのでキャラクターが際立っていた。少々キャラの説明が不足気味だった感はアリ。
たまに主人公の前に現れる謎の少女、深月。小さな見た目と対照的に精神年齢が高く主人公の相談に乗ったりする。反面、喋り方がませた小学生のようなので信用がおけない感じもする。主人公にからかわれて反論する辺りも可愛い。
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| シナリオ | |
シナリオライターは連悠太氏。監督・演出も兼ねているので本作の中心的なスタッフなのだろう。
全体の構成は各キャラの登場に合わせてアニメ風に話数が区切られている形。1〜3話が全キャラ揃うまでの導入部、第4話が中盤となり、第5話が個別シナリオになる。各話の最初に前回のあらすじ、中盤にアイキャッチ、最後に次回予告が流れるようになっており、ここもアニメ風の作り。
個別シナリオに入るまでの共通シナリオはほぼギャグオンリー。奇妙な共同生活でのドタバタ劇を描いている。この辺りはキャラクターの魅力とアニメ風の演出が生きていて、プレイしていて飽きない。ラブコメの標準程度にあるえっちな展開も、萌えるというより笑える。このパートはキャラクターへの愛着を持てるという点で優秀だが、イメージが強烈過ぎて後々の恋愛パートに違和感を感じてしまう副作用があったかもしれない。
流菜シナリオ。流菜の場合、序盤から主人公と二人きりになりたいのに邪魔されて……という展開なので、後半の個別シナリオへの繋ぎは悪く無い。ただ、後半の展開が予想と大分違ったので驚いた。なぜ流菜が在住しているドイツから帰ってきて主人公の世話をしているのか、その伏線の答えとしては納得いったのだが、あまりにも共通シナリオのノリと違ったので付いていき難かった。ネタとしてはありがちなのでそれほど意外性は無し。えっちシーンが地味ながらしっかりした描写で好感を持った。エピローグも意外性があり面白かった。
真美シナリオ。流菜と対照的にアニメっぽい、現実性の無いシナリオ。それでいてバックには真美の過去を絡めたりしている。細々とした設定がきっちりしていて芸が細かい。他のシナリオでの真美を見た後で真美シナリオをプレイすると、意外な真実がわかるのようになっていて上手い。
メムシナリオ。ロボットの感情について描いたもので、メイドロボのシナリオとしてはそれほど意外性は無い。“主人公の前のご主人様”の存在を上手く活かしていて恋愛パートに深みを持たせていた。メムシナリオは最後までノリが明るく、共通シナリオとの違和感がないという点でも良かった。ただし、バッドエンドはさらりとした表現なのに展開が重く、喪失感があった。
みりめ〜とるのシナリオ。メムと同じくメイドロボのシナリオなので、切り口は異なるがやはりロボットの感情に関するシナリオ。話の重さはあまり無く、ミリの成長を描いている。戦闘型のメイドロボということでドンパチのシーンがあったりして豪快で楽しい。キャラクター面白いのだがなにぶんシナリオが短いのでミリの話が少なめで残念。
感心したのは、序盤に引いたなにげない伏線が後になってしっかりと活きていること。各シナリオにおいてそれぞれ伏線がきちんとありながら、物語の先を読みにくいのも優秀。
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| サウンド | |
音楽はPCM。独自のサウンド調節機能があり、ボイスをじっくりと聴けるのが嬉しい。BGMは全体的にポップで、ギャグパート向きの音楽が多い。また、強く残る音が多く、長く聴いていると邪魔に感じる事も。恋愛パートのシーンでユーモラスなBGMが流れるなど、選曲には多少疑問も残った。曲単体としては悪く無いだけに、メリハリが必要だと感じた。
OPムービーは歌入り。曲自体は悪くなかったが、歌手の香澄が落ち着いた声なので多少雰囲気に合っていないような気がした。全体的にアニメっぽいのだからもう少し派手にした方が良かったのでは。
ボイスはこのゲームの魅力の一つ。草柳順子、長崎みなみ、小泉ボビン(春野日和)といった人気声優がヒロインを担当、しかも演技指導が良いのか抜群の出来の良さを見せてくれた。声優事務所のロックンバナナがスタッフロールなどでたくさん出てくるので、かなり関わっているようだ。キャラクター同士の会話がしっかりと掛け合いになっている感じがあり、声が付くとはこういうことだ、と改めて確かめられた。
特に良かったのは早口での捲くし立て。長台詞を一気に喋っていくシーンが度々あってこれが抜群に面白い。アニメではよく使われる技法だが、ゲームで生かしているのはまれ。特に小泉ボビンの演ずるメムが延々と説明台詞を話すシーンなど一般声優顔負けの演技である(漢字交じりで約300文字ある文章をワンセンテンスで読ませたりしていた)
一方、少々残念なのがサブキャラの藤の声が本編には無いのに、おまけシナリオにだけ付いている事。収録が間に合わなかったのか、容量が入らなかったのか。声優にこれまた人気のある歌織を起用しているだけに残念。
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