システム 8点 | |
基本はオーソドックスな選択肢式のノベルアドベンチャー。セーブ数は15個。他にクイックセーブが3つあるとはいえ少ない。拡張セーブで外部にセーブする事もできるが面倒。ゲーム自体がそこそこ長いので倍は欲しい所。CG閲覧、音楽鑑賞、シーン回想モードといった基本的なおまけモードあり。音量の調整、オートモードなども装備。どこにでもあるありがちなスタイルの作品だけに、基本的な所でストレスが無いのは嬉しい。特筆すべきは文章スキップの快適さ。スピードの速さもさることながら、非アクティブでスキップできるのは嬉しい。共通イベントが多いだけに何かの作業をしながらでも話を進められる。既読・未読の判定が細かいので、台詞が少しだけ違うようなシーンでも既読の台詞はスキップできる。
|
グラフィック 7点 | |
原画は西又葵氏。漫画っぽいデザインで独特のクセがある。好みか。
立ちCGのバリエーションは豊富。面白いのは崩した絵がちょこちょこあり、ヒロインでもジト目のCGがあって楽しい。一枚絵CGは100枚ちょい。平均的な数字だろうか。
良い点は服装のバリエーションが豊富な所。夏冬の制服に体操服。私服のパターンも季節に応じて数種類あり面白い。現実のブランドをモチーフにしているのもちょっとした遊び。ただ、いまいち現実離れしているデザインが多いのも事実。キャラとマッチしているとも言い難い。リボン娘が多いのも特徴的なのだが、少し飽きる。キャラクターのイメージをしっかりと考えてデザインしてくれればもっと面白かったと思うのだが。
OPムービーは静止画ムービー。シナリオ内での印象的な台詞を映像に散りばめていて、シナリオの展開を楽しみにするような演出だった。
|
キャラクター 9点 | |
メインヒロインは5人と多くない。各キャラクターは珍しい設定ではないもののキャラクタ分けがしっかりしている上に描写がしっかりしているので飽きさせない。見て分かる通り、キャラ名が新幹線の車両名になっている。
主人公の桜井舞人。本作のギャグパートを引っ張っているはちゃめちゃな性格。突飛な行動とおかしな言動が持ち味の変人タイプ。ヒロインに対しても暴言を吐きまくっているのだが、後を引かない。ただし割と気が弱かったりもする。故にヒロインとの関係が進むと弱気な面が出るので、そこら辺はもっと強気にギャグで押して欲しかったかな、という気はする。
メインヒロインの星崎希望。学園ではプリンセスと呼ばれるほどの美貌の持ち主。それでいて気は優しく呑気。一見すると優等生タイプのキャラクターに見えるが主人公の舞人の滅茶苦茶ぶりにギャグで合わせられる柔軟性がある。たまにキレてみせるキャラクターの壊れっぷりが楽しい。恋愛モードに入るとやきもち焼きっぷりがいい感じにギャグになっているし、天然に可愛らしい事も言ってくる。主人公とのコンビが最初から最後まで楽しい。
主人公の幼馴染の雪村小町。郷土の雪国から舞人を想って引っ越してくる行動派。早口&主人公並みにネタに突っ走るボケや切り返しが楽しいキャラ。最初から主人公が好きなキャラなのに相手に合わせて友達チックになっている印象。一点、恋愛モードに入ると大人し目で少し残念な気がしたが、好みだろうか。
主人公と一年生時から友人の八重樫つばさ。掴み所の無い独特のノリ。冷めていたりテンション高かったりと変幻自在。頭脳明晰で運動も出来て男にもモテる。趣味が多様で純文学からヒーローアニメ、カラオケもボーリングも上手いとある意味なんでも屋。主人公のボケには冷めたツッコミで対応するものの、くだらない事に付き合ってみたりもする。雪村と同じく、後半のキャラクターが落ち着いてしまうのが残念。
文芸部の先輩である里見こだま。背が低く見た目も幼いので先輩には見えないが、本人は大人らしくありたいと思っている。主人公のダメな行動に説教をかましたり、逆に言い込められてしまったりと生真面目な性格。恋愛モードでは年上っぽい所も見せてくれるのでまた楽しい。
主人公の隣の部屋に住んでいる森青葉。典型的妹タイプのキャラ、寝坊の主人公を起こしに来てくれたり、たまに料理を作りにきてくれたりする。家事が得意で気も優しいが勉強も運動もいまいち。父子家庭で父親が不在気味だからか寂しがり屋の一面がある。恋愛モードに入ってから素が出てきて甘えたり主張したりするので面白くなった。
サブキャラから一人。青葉の同級生の芹沢かぐら。サブキャラとは思えない突っ走りっぷりが印象的。見た目は綺麗でクールっぽい印象なのに中身はリアクション王で、主人公に会う度に緊張しつつもボケた発言をする。非常に面白いキャラなのだが、最初から主人公好き、舞人に合わせてボケる、という性格が雪村小町と被ってしまったのだろうか。メインになれるだけの面白さがあった。
この他、サブキャラ達が個性豊かで人数も多い。主人公の男友達でさばけた性格が楽しい相楽山彦、熱血教師で多少空回り気味な浅間弥太郎、強力なノリツッコミが楽しい結城ひかり、主人公の母親の後輩で思い込みの激しさと強引な性格が持ち味の佐伯和観などなど。和観の息子である和人、その友人の女の子たちも数人登場するなどサブとは思えない個性を発揮していた。
|
シナリオ 9点 | |
シナリオライターは王雀孫氏、あごバリア氏。メインは王雀孫氏のようである。選択肢はあるが、分かりやすい選択肢なのでオンリープレイをすれば分岐するのは簡単。
シナリオ全体の流れとしては中盤までコメディータッチの日常描写のシーンがあり、途中からヒロインルートが確定して恋愛シナリオにシフトしていくというもの。この日常描写シーンのレベルが非常に高い。前半は徹底的にコメディーで攻めている。ギャグ、ダジャレ、パロディーとパターンも様々。主人公の舞人を中心に各キャラクターの切り返しがそれぞれパターンが違っていて楽しい。それでいて後半の恋愛シーンの描写も悪く無い。シナリオによって多少の差はあるが前半の雰囲気を残しつつも恋人同士のラブシーンに持ち込んでいて、気安い関係でありながらヒロインの可愛さも失わないようにしている。
終盤は舞人に関する設定が明らかになり、話が急展開する。この辺の描写が急過ぎる上に、展開として最近のエロゲ・ギャルゲにありがちなのでせっかくの楽しさが冷めてしまう感覚がある。落ち着いたシナリオに波乱を起こすにしても、もう少し意外性が欲しい。本作は一見ベタに見えるのに中身は個性的という所が魅力でもあるのだから。
それでは各シナリオ評。
星崎シナリオ。友達関係から恋人へ移り変わる描写を丁寧に描いたシナリオで、終始主人公と希望のやり取りが楽しい。イベントシーンも他シナリオに比べて豊富。友達同士の馬鹿なやり取りも面白いが、やはり恋人関係になってからのシーンが見物。可愛さはしっかり表現するが、過剰にベタベタしまくるわけではない、という辺りのさじ加減が良い。友達感覚からの延長線上、という印象で無理をしていない感じがあった。
雪村シナリオクリア。キャラとしての個性は強いものの、中盤以降のエピソードが少し弱いように感じる。ゲーム内時間でしばらく出てこなかったりもする。それに恋愛話にシフトしてしまうと雪村のオモシロキャラっぷりが鳴りを潜めてしまう感じなのが残念。序盤の早口まくし立て&ぶっ飛んだ発言といったはっちゃけっぷりが面白いのであまり失って欲しくはなかった。もちろん、幼い頃から想い続けていた相手に振り向いて貰えた、という展開に好感を持てばまた違った印象を持つかもしれないが、個人的には中盤までの展開の方がテンポが良くて面白かった。
八重樫シナリオ。これも雪村シナリオと同じく中盤までの気の抜けた楽しさと後半のシリアス気味な展開のギャップをどう感じるかがポイントになるだろうか。八重樫の性格が掴みづらいのは序盤からそうなのだが、恋愛シナリオに入るとますます分かりにくい感じ。八重樫との距離をどう詰めるかがシナリオのポイントだと思うのだが、その距離を詰めたプロセスが今一つ伝わってこなかった。
こだまシナリオ。これといったコンセプトが見えず、その分ラブコメ度が高いシナリオか。もう少し終盤のボリュームが欲しかったがキャラが好きなら全編通して楽しいかと。オススメイベントは告白シーン。生真面目な性格故の可愛さが良く出ていた。
青葉シナリオ。こだまシナリオと同じくシンプルなシナリオだが、こちらはコンセプトがはっきりしていた。青葉との楽しい生活が描かれていて終始楽しい。誰かがいる安心感、家族が待っているという雰囲気が味わえる展開。青葉は典型的な妹キャラなので、好きな人ならかなり評価の高くなるシナリオかもしれない。
えっちシーンは意外に豊富。複数回のえっちシーンがあるキャラも多くシチュエーションもそれぞれ工夫がある。できれば豊富な服装ラインナップを生かして欲しかったが、そこまで言っては贅沢だろうか。シリアスもコメディーもあり、どちらも出来は良い。
|
サウンド 8点 | |
音楽はCD-DA。ボーカルもOP・ED共にあり、BGMもポップな曲調からバラードまでバラエティ豊か。服装と違ってキャラクターのイメージを反映した曲になっている。
ボイス。声優陣のレベルは特に高いというほどでもないが、演技指導がしっかりしていて好印象。棒読みのシーンや抑揚の付け方、一人芝居のシーンなどに上手さを感じる。雪村小町の演技が典型的で終始飽きさせない。
|