レビュー:Unbalance らすとあっぷでーと:8月5日
Unbalance(アンバランス)[ちぇりーそふと](Win)
ゲーム概要  選択肢によるマルチエンティングを採用したオーソドックスなノベルタイプのアドベンチャーゲーム。主人公は、大手ファミレス会社の長男。外見はほがらかだがその内面は歪んでいる。学生時代に結婚した妻に先立たれた過去がある。ある日のこと主人公は父親に呼ばれ、夏期休暇の間、最近急成長している敵会社「ハングリーベアー」に 敵情視察に行くように言われる。主人公は先立たれた妻の妹、美香と共に「ハングリーベアー」の短期アルバイトとして店に潜りこむ。
システム  典型的なノベルアドベンチャータイプのシステムを採用。……とはいえ、これだけ快適なシステムは無いだろう、というほどの良質な出来。基本の既読スキップや読み返しなどは当然。ゲームパッドの対応、クイックセーブ&ロード、一つ前の選択肢へ戻る機能、自動でメッセージ送りが出来るオートモードなど至れり尽くせり。もう少しセーブ数が多くても良いが、1プレイが短いので問題は無いだろう。
 ヒント機能も充実。どの選択肢を選べば良いか、ヒントで大体わかるようになっている。それゆえゲーム性というものをほとんど無視しているが……とにかくユーザーが快適になるように、という事を重視しているらしくこだわりはないようだ。個人的には好感。
 鬼畜エロゲーらしく、Hイベントを履歴で見られる。この機能は便利だろう(笑)
グラフィック  もちろん原画は社長であり、脅威の枚数の原画をこなすあきら氏。昔よりバランスは良くなりました(タイトルはアンバランスだけどさ(^^ゞ各キャラの描き分けがあんまり出来ていないのは問題か。ちぇりーそふとは発売ペースが早いため、何作も買っていると飽きてきそう。女の子、しかもHなCGしか描かない!というこだわりなのか、男キャラは一枚絵でもほとんど映っていません。そのため、アップの構図が多くなってしまったようです。そこまで無理しなくても良いと思うけど……CG枚数は確かに多いけど、細かい変更(パンツ有り無しとか)まで数に入れているので実質的には少し減ります。それでも多いけど。100枚くらいはある?
 シナリオのぶっ飛んだシチュエーションにグラフィックの方も頑張っていて、ヘンなHCGが盛り沢山。どちらかというとお笑いっぽいのもありますが、それはそれでいいような気もする。
 HなCGが多いのはいいけど、もう少し普通の一枚絵も増やせないもんかな。実際、筆者の一番好きなCGは美香のハッピーENDのCG(別にHじゃないやつ)だったりしますし。
 背景も手抜きは感じられず。立ちCGは数がもう少しあればよかったけど。男キャラのCGはある意味気合が入っていたような気もします(笑)
シナリオ  ファミレスのライバル店に潜入して云々、というのはあまり生かされていなくて、どちらかというとファミレスという舞台ありきの設定のようだ。だから、エンティング近くになると結構強引にストーリーを締めにかかります。だから、大きなストーリーラインよりも女の子との個人的な関係を描くのがメインになっていると言えそう。律子はほとんどHシーンで繋いでいる印象だし、さやかは思わせぶりな設定こそあるものの、基本的にはHシーンの連続。強引なまでに続くストーリーで、Hシーンを楽しんでね、という感じのストーリー。
 Hシーンが続くだけあって趣向も様々で、女体盛りからテレホンセックスまでなんでもござれ。やたらと連発させるピー音付きのエロワード。ほとんどアダルトビデオのノリです(^^ゞさて、これを受け入れられるか、情緒もへったくれも無いと切り捨てるか。かなり個人的嗜好が影響してくるかと。筆者としては、エロが滑稽さすら感じて面白かったのですが……とりあえず、濃いエロシーンが好きでない人にはお勧めできないかも。
 ストーリーとなると、美香シナリオだけの評価となる。ここでは、主人公の過去のトラウマを美香とのやり取りの中で解消していく、というテーマが感じられる。退廃的な考えを持つ主人公を、彼を愛する美香がなんとか救おう、というのは献身的でなかなか面白いと感じた。しかし、この辺の語りが1シーンでまとめて語られてしまっている。せっかく死んでしまった恋人との回想シーンなども盛り込んでいるのに勿体無いと思う。主人公の退廃的思考はどこから生まれたのか(恋人が死ぬ前から曲がった性格らしいので)、美香が身を削って主人公に尽くすのは何故か。こういう足場固めがしっかりしていれば、エロゲーとしても人間的なテーマを持ったシナリオとしても、両立できたと思うのだが……
キャラクター  キャラクターに関してはあまり書くことが無いですね。どのキャラも典型的な、ありがちなキャラクターにわざとしている感じがあるので。Hな事をとにかく前面に出すため、キャラはむしろ分かりやすい方が良いと考えたのではないかと推測します。
 ヒロインである美香は弱気な義妹、律子は生意気なお嬢様、さやかは引っ込み思案な娘、とステレオタイプ。敢えて言えば美香は弱気な妹でありながら一本芯が通っている、そんな感じはあります。それが分かるのも美香だけがシナリオに深さがあるため分かる事ですが……
 むしろ面白いのは主人公で、外面が良く八方美人。一見優しく、喧嘩も強く、さまざまな策謀を張り巡らし、常に人の一歩先に回りこむ。それでいて、性格的に破綻しており、人間的な情に欠け、刺激を求めて様々な変態行為に及ぶ……と、まるで超人的な悪役。ちょっと改心するシナリオもあるのだが、基本的な変態志向は変わらず。女性から見たら暴虐無人なキャラかもしれないです。男性から見ると痛快な感じを受けるかも。
 その他で面白いのはヘンな男キャラ達でしょうか……見た目も言動も気色悪い蛭川。暴漢役には飽き足らず漫才で笑わせてくれるスダ&イズミなど。女性キャラが凡庸な分、より目立ちました。
サウンド  音楽自体のクオリティはなかなか高い。しかし、如何せん曲数が少なすぎ。10曲以下では繰り返し聞かされる曲が多すぎて……特にシナリオ内でHシーンがかなりの分量を占めるのだから、シチュエーションによって何曲もあっても良かったと思うが。
 声優陣はかなり健闘しているのではないかと思う。Hな声に関してもいい感じだし、シリアスなシーンでもそれなりに演じていたし……エロワードをしつこいほど言わされてさぞ大変だっただろう(笑)
 Hシーンで入るに生々しい効果音(例えるならグチャグチャとかギチッとか)は賛否両論だろう。アニメ絵にリアルなSEを持ってこられても……思わないでもないが、これはこれで結構面白い、と思った。プレイヤーの趣味にかなり左右されそうだ。
総評  ただのエロゲーに終わらず、一つ伝えるべきテーマを盛り込もう、という姿勢は感じたのだが、やや中途半端な出来に終わってしまった。せめて美香シナリオだけでもしっかりしたストーリーを完成させて欲しかったのだが……更に言うなら、他のキャラでも同様のクオリティを期待したい。
 一枚絵CGに関してはレベルが高い。シナリオが合えばエロゲーとして優秀。そして、完成度の高いシステム。ノベルアドベンチャーとしてはPS版To Heartにタメを張れる出来だと思う。

まほさろゲームレビュー
電脳めにゅ〜
ほ〜む