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グリーンフィンガーズ
GREENFINGERS
2000年イギリス 監督・脚本ジョエル・ハーシュマン 撮影ジョン・デイリー 出演クライヴ・オーウェン/ヘレン・ミレン/デビッド・ケリー/ナターシャ・リトル ●91分 ギャガ配給 2001年4月7日よりシャンテ・シネにて公開予定 ●オフィシャル・サイト●http://www.gaga.ne.jp/ (c)2000 Greenfingers LLC all rights reserved |
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イギリスのコッツウォルズ。18歳のときに恋人を寝取った弟を殺し、15年間の刑務所暮らしを送ってきたコリン(オーウェン)は、塀も監視カメラもないエッジフィールド更生刑務所で残る刑期を過ごすことになった。自分の人生に何の希望も抱かず、ただ服従するだけの日々を無気力に生きてきたコリン。しかし、同室の老人ファーガス(ケリー)から花の種をプレゼントされたことをきっかけに、花造りに開眼。刑務所長(ウォーレン・クラーク)のはからいで、ファーガスを含めた4人の仲間たちと刑務所のなかにリッパな庭園を作り上げる。それがガーデンニングの大家ジョージナ(ミレン)の目にとまったことから、コリンたちは、由緒あるハンプトンコート・パレス・フラワーショウに出場するチャンスを得るのだが……。 ★★★ (2001/02/19 ビデオ) 刑務所の受刑者が、女王陛下もやってくるガーデニングのコンテストに挑戦する。このお膳立は、失業した鉄鋼マンが男性ストリップに挑戦する『フル・モンティ』や、炭坑町の少年がクラシック・バレエに挑戦する『リトル・ダンサー』と同種のニオイを感じさせます。「受刑者」と「園芸」のコンビネーションは、「鉄鋼マン」と「ストリップ」、「炭坑の少年」と「バレエ」と同じくらい、アンバランスなおかしさをかきたてますからね。でもって、鑑賞前の私めは、「またそのテを出しますか」というやや意地悪な先入観を持っておったのですが、ドラマが進むにつれ、映画のウェルメイドな味わいに驚かされることしきり。これは、決して柳の下のドジョウを狙っただけの志の低い映画じゃないと、確信を抱くにいたった次第であります。 主人公のコリンは、青春の花の時期を刑務所の中で過ごした男。弟の命を奪ったことから家族に見放された彼は、希望を抱くことも夢を抱くことも放棄して、毎日をただやり過ごすだけの人生を送っている。彼には、「お前を赦す」と言ってくれる人間も、「お前を愛してる」と言ってくれる人間もいない。だから、自分で自分を赦すことも、愛することもできない。正真正銘の孤独のなかに生きているのが、このコリンという男なのです。 そんな彼を、人生最後の相棒にしようと決めた同室の老人ファーガス(『ウェイクアップ!ネッド』の鶏ガラ体形のジイさんだよ)。彼の導きでガーデニングの才能を開花させたコリンは、命を育てる喜びを知り、愛し愛されることに目覚め、自分自身を赦すことを学んでいく。という心の成長の物語が、ここでは周囲の人間模様とともにユーモラスに活写されていきます。 コリンの植えた花にサッカーボールが当たり、ケンカ騒ぎを起こしたことから、ガーデニング班入りを命じられる荒くれ男のロウ(アダム・フォガーティ)たち。およそ花のイメージとは縁遠い彼らが、どんどん花造りにハマっていき、園芸本と首っ引きになる姿が愉快。そんな彼らを、「予算ゼロだけど頑張れや」と励ます訳知りの所長のキャラも、ドラマにふくよかな優しさを与えています。 なんて感じでスタートした素人園芸集団が、さまざまな挫折を乗り越え、「ハンプトンコートに歴史を残してやる!」の合言葉のもと、フラワーショウ出場に漕ぎつけるまでの展開は、『ロッキー』や『ブラス!』に通じる興奮を呼ぶノリ。その間には、コリンとファーガスの友情、コリンとジョージナの娘の恋、仮出所して庭師をめざすコリンが現実の厳しさにさらされるエピソードなどが多彩に散りばめられています。構成の緻密さは、『リトル・ダンサー』とタメをはるかも。たとえば、ガーデニング班で唯一の妻子持ちジミー(パターソン・ジョセフ)が、野菜作りの夢を持つことで心の通わない息子の尊敬を勝ち得ていくエピソードとかね。ガーデニングを通じて人生の光を得ていく男たちのこまやかな人間描写が実にうまく、すみずみまで神経が行き届いていると感じさせるのですよ。 ヘレン・ミレンが演じるガーデニングの大家のエキセントリックな上流女っぷり(とっかえひっかえでかぶる帽子のコレクションがスゴイ!)や、受刑者の園芸チームを雇う老年のゲイ・カップルなど、いかにもイギリスっぽい脇キャラも映画のムードをうまく盛り立てている感じ。もちろん、イングリッシュ・ガーデンの眺めもたっぷり堪能できるので、ガーデニングにちょっとでも興味を持ってる人なら、間違いなく楽しめるでせう。 いや、そんなひきがなくたって、この映画はぜったいに楽しめる。『ハンニバル』でお忙しいギャガさんは、こんな秀作をろくに宣伝もやらないままサッサと公開してしまうようですが、せめてこの駄文を読んで興味をひかれたみなさまが、劇場に行ってくださればと思います。損はさせませんぜ。 |
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ショコラ
CHOCOLAT
2000年アメリカ 監督ラッセ・ハルストレム 脚本ロバート・ネルスン・ジェイコブズ 撮影ロジャー・プラット 出演ジュリエット・ビノシュ/ジョニー・デップ/ジュディ・デンチ/アルフレッド・モリーナ ●121分 アスミック・エース配給 2001年4月下旬より丸の内プラゼールほか松竹・東急洋画系にて公開予定 ●オフィシャル・サイト●http://www.asmik-ace.co.jp (c)2000 Miramax Films all rights reserved |
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1959年、レノ伯爵(モリーナ)の統率のもと、人々が宗教の戒律を守って生きるフランスの小さな村に、ヴィアンヌ(ビノシュ)とアヌーク(ヴィクトワール・ティヴィソル)の母子が流れて来た。老女アルマンド(デンチ)から閉店したパン屋を借り受けたヴィアンヌは、チョコレート・ショップを開店。そのチョコレートの刺激的な味を知った村人たちは、秘めていた欲望が解放されていくのを感じる。やがて村の船着場にシンティロマの一団が到着、ヴィアンヌは、ギター弾きのルー(デップ)とひかれあう。いっぽう、ルーやヴィアンヌが村人たちに悪影響を与えていると考えるレノ伯爵は、村の議会に働きかけ、よそ者追放運動を展開させるのだが……。 ★★★ (2001/02/19 徳間ホール) その後、ヴィアンヌのチョコレートを食べた村人たちが、官能を刺激され、自由と解放にめざめていくところは、『赤い薔薇ソースの伝説』みたいなマジック・リアリズムの雰囲気も漂う。そうしたファンタジーのテイストと、風刺戯画的なコメディの合わせワザに、ラッセ・ハルストレム監督が熟練の腕を発揮した作品であります。 映画の核になるのは、自由人のヴィアンヌと、コミュニティの秩序を維持することが自分の務めだと考えるレノ伯爵の闘いのエピソード。よそもののヴィアンヌが、断食期間の四旬節にチョコレート・ショップを開店したことで、最初から敵意をむきだしにするレノ伯爵。ふたりの対立は、暴力亭主のセルジュ(ピーター・ストーメアー)から逃げ出す決意をしたジョセフィーヌ(レナ・オリン)が、ヴィアンヌのもとにかけこんできたことで、ますます激しさを増していきます。 ジョセフィーヌにチョコレートの作り方を教え、彼女が自分らしく生きられるように手を貸すヴィアンヌ。いっぽう、女房とヨリを戻したいセルジュに泣きつかれたレノ伯爵は、セルジュを神の力で立ち直らせようと日曜学校に通わせ、「マイ・フェア・レディ」もどきのマナー教育をほどこす。が、その努力も空しく、ある晩、酔っ払ったセルジュは、チョコレート・ショップに殴り込みをかける始末。それでいっそうカリカリきたレノ伯爵は、ちょうど村の船着場に到着したシンティロマの一団とともに、ヴィアンヌも追放しようと運動を起こす。 かくなるふたりの対決を見て私が思い出したのは、『カラー・オブ・ハート』という映画。未見の方のために説明をばしておきますと、『カラー・オブ・ハート』は、すべてが秩序だった'50年代の白黒ドラマの世界に吸い込まれてしまった現代っ子の兄妹が、TVドラマの住人たちに自分で考えて行動する自由を教えたことから、混乱が起こる物語。自由を覚えた人間はカラー化し、それに対して、保守的なモノクロ人間たちが排斥運動を起こす。という点が、『ショコラ』とよく似ているのだけど、そう考えると、『カラー・オブ・ハート』と同じ'50年代を背景にした『ショコラ』も、画一を基本にした'50年代的な価値観に対する風刺の要素を秘めた映画であることに気づかされるわけですね。 でもって、『カラー・オブ・ハート』の場合は、フリーセックスの思想が持ち込まれたことからドラマ世界の秩序崩壊が始まっていったけど、『ショコラ』の場合も、チョコレートが一種の「禁断の媚薬」の役目を果たす形で、レノ伯爵がおさめる村の、宗教的価値観に基づく因習が壊れていく。そこんところが、私がこの映画をおもしろいと感じたいちばんのポイント。 「レノ一世は、異教徒全部を村から追放した。君は、その伝統にチョコレートで挑んでいる」とレノ伯爵自身が言うように、ヴィアンヌは、過去何100年に渡って受け継がれ、誰も疑問に思わなかった村の掟を、チョコレートの持つ官能の力でとろけさせていくのです。つまり、ヴィアンヌのチョコレートが村人たちの生きる情熱が呼びさまし、それによって一種の革命が実現してしまう。ってところが、ひじょうに寓意に富んでいて、私にはおもしろく感じられたわけであります。 で、『カラー・オブ・ハート』との比較に話を戻しますと。『カラー・オブ・ハート』の場合は、すべてが秩序だった世界で生きるのが幸せなのか、誰もが自由に自己主張する世界で生きるのが幸せなのか、みんなで考えてみましょうというオープンなエンディングになっています。 いっぽう、『ショコラ』の場合はどうかと言うと、ヴィアンヌとレノ伯爵の対立する世界に「調和」が訪れます。それは、レノ伯爵派の人々が、ヴィアンヌの体現する「寛容さ」こそが、自分たちが拠り所にする宗教のめざすところでもあると気づくから。そして、そんな村人たちに受け入れられたヴィアンヌも、自身の放浪者の宿命から解放されいていく。というふうに、対立していた者同士のあいだに、寛容と癒しあいの関係が成立していくところは、ラッセ・ハルストレム監督作らしい優しさが感じられる部分でしょう。 ただし、ヴィアンヌがアルマンドと孫の仲をとりもつエピソードなど、ヴィアンヌの行動に『ペイ・フォワード/可能の王国』の親切運動めいたノリがあるところに、少々ひいてしまうものを感じたことも告白しておきます。フリー・スピリットと温かさが匂い立つヴィアンヌのキャラクターを、ジュリエット・ビノシュはモロにハマリ役という感じで演じているけれど、ビノシュが好きじゃない人は、親切とおせっかいの紙一重を行くヴィアンヌのおしつけがましさが鼻について見えるかもしれません。 アンサンブル・キャストのなかで光ってたのは、ジュディ・デンチの娘を演じたキャリー・アン・モス。自分の母親を「下品だ」と言って見下すカタブツ女をイヤミなく演じ、「『マトリックス』のねえちゃんにこんな演技ができたのか?」と、驚かせてくれます。 出番は少ないけど、ジョニー・デップもツボを心得た好演ぶり。あとは、レノ伯爵役のアルフレッド・モリーナ。私は、『アート』の舞台を見て以来、この人のファンなのだけど、妻に逃げられた伯爵の哀しく滑稽な人となりを、今回も実に巧みに演じて楽しませてくれます。インフォメーションとして付け加えると、ビノシュの娘を演じているティヴィソルは、『ポネット』のあの泣き虫女の子だよ。 |
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タップ・ドッグス
BOOTMEN
2000年オーストラリア 監督デイン・ペリー 脚本スティーブ・ワーランド 撮影スティーブ・マンソン 出演アダム・ガルシア/サム・ワーティングトン/ソフィー・リー/ウィリアム・ザッパ ●95分 20世紀フォックス映画配給 2001年4月上旬よりシャンテ・シネにて公開予定 ●オフィシャル・サイト●http://www.foxjapan.com/movies/ (c)2000 Twentieth Century Fox all rights reserved |
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オーストラリアの鉄鋼都市ニューキャッスル。ショーン(ガルシア)は、父や兄と同じ鉄鋼所で働きながら、趣味のタップで成功することを夢見る青年。ある日、オーディションに合格した彼は、3ヵ月のショウに出演するチャンスを得て、シドニーへ旅だって行く。だが、主役よりも目立つステップを踏み、演出家の反感を買ってクビに。ニューキャッスルへ戻って来たショーンには、恋人リンダ(リー)と兄(ワーティングトン)の浮気というショッキングな出来事も待ちうけていた。その傷心を忘れようと、自分たちのタップ・チームの結成に熱中するショーン。やがて彼は、金具を打ちつけたタスマニアン・ブーツで踊る独自のステップをあみ出していく。 ★★ (2000/11/28 20世紀フォックス映画試写室) というドラマの部分は実はどうでもよくって、映画の魅力はダンス・シーンに集中している。フレッド・アステアのエレガントなタップとは対極にあるダイナミックなストリート・タップ。その醍醐味に圧倒されたくて入場料を払った人は、十ニ分に元をとったと思えるはず。タスマニアン・ブーツをはいた鉄鋼マンたちが、トイレの便器の上で、工場の機械の上で、火花を散らしながら踊りまくる姿は、そりゃもう壮観。NYでも日本でも『タップ・ドッグス』のショウを見逃しているYAZAKIとしては、「ドラマ削ってもっと踊りを見せてくれ!」と叫ばずにはいられませなんだ。 いちばんの見せ場は、主人公たちが、閉鎖の決まった鉄鋼所の従業員救済のためにチャリティ・ショーを打つ場面。巨大な工場を舞台に、トラックの荷台に乗って現れたアダム・ガルシア君が、ググッと傾斜していく荷台の上で踊りまくるところからして迫力満点。コーラスのダンサーたちがロッククライミング状態で鉄骨にぶら下がってタップを踏んだり、舞台の下からせりあがってきた水槽の上でブーツメンたちが踊りまくったりと、ケレン味たっぷりな演出は「ビーシャ・ビーシャ」(オーフ・ブロードウェイのパフォーマンス)みたいな感じで、ショウとしても最高に楽しめた。 ま、リアルな目で見てしまうと、資金ゼロのはずの鉄鋼タップ・チームが、なぜこれほど金のかかったセットを用意できたかという点に、ちょいとひっかかるのだけどね。 |
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