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プレイビル テイル・オブ・ジ・アレジスツ・ワイフ

The Tale of the Allergist's Wife

作チャールズ・ブッシュ 演出リン・ミドウ 出演リンダ・ラヴィン/トニー・ロバーツ/ミシェル・リー/シール・バーンハイム
PREVIEW:2000年10月11日 OPEN:2000年11月3日 @エセル・バリモア・シアター

オフ・ブロードウェイのマンハッタン・シアター・クラブでの上演(2/8〜4/16)が好評だったため、オンに昇格した新作プレイ。
ウディ・アレン映画の女性版!?
(2001/01/11)

主人公は、NYのアッパー・ウェストに住むユダヤ人主婦のマージョリー(ラヴィン)。引退した医者の夫(ロバーツ)と暮らす彼女は、世間的には恵まれた生活を送っているかに見えたが、心には隙間風が吹きまくり。セラピストは死んじゃったし、子供たちは他人同然だし……と、オチコミのタネには事欠かない。

そんなある日、間違って部屋を訪ねてきたリー(リー)が、幼なじみだったことが発覚。世界を飛びまわり、奔放な人生を送る彼女に刺激を受け、マージョリーは見違えるようにアクティブな女に変身。夫や、口うるさい母親(バーンハイム)をあきれさせる。

しばらくして、マージョリーはリーをディナーに招待するが、リーはなかなか現れない。「彼女は、君が妄想で作りあげた友達じゃないのか?」と、いぶかる夫。マージョリー自身も、「自分の頭がおかしくなったのかも」と思い始める。が、そこにリー登場。以来、図々しく一家の居候モードになったリーに、夫妻の生活はひっちゃかめっちゃかにかきまわされていく。

以上のような粗筋で進行していくこの芝居は、「熟年の危機」を題材にした都会派のコメディ。ナーバス・ブレークダウン状態で登場するヒロインがユダヤ人であり、その母親が、これまた絵に描いたような威圧的なジューイッシュ・マザーであることから、ウディ・アレン映画の女性版っぽい趣を感じさせる作品であります。

という代物だけに、スピーディな会話に登場するジョークも、ジューイッシュ・ネタやニューヨーカー・ネタが多く、ウケまくってるお客に「これのどこがおかしいんでしょうか?」と、聞きたくなることがしばしば。

そんななかで、私がいちばん笑ったのは、ディナーに呼ばれたリーの登場を待っているとき、ヒロインの母親が「架空の友達ごっこ」をやってヒロインをおちょくる場面。ここは、ジェームズ・スチュアート主演の『ハーベイ』を下敷きにしたジョークだったので、私も爆笑組の仲間入りをすることができました。

最初は「理想の女友達」だったリーが、バイ・セクシャルの本領を発揮し、夫妻にとっての「招かれざる客」状態になっていく展開は、なかなかのおもしろさ。でも、それによって再確認される夫婦の絆のドラマが、私にはちょっと薄っぺらいように感じられ、後味は『ディナー・ウィズ・フレンズ』と同様の「見ているときだけ面白い芝居」という印象。

同じくマンハッタン・シアター・クラブからオンに昇格した芝居では、『プルーフ』のほうが格段に深みがあって好きです。

トニー賞ノミネート:作品賞プレイ部門、主演女優賞プレイ部門(L・ラヴィン)、助演女優賞プレイ部門(M・リー)

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プレイビル プルーフ

Proof

作デヴィッド・オーバーン 演出ダニエル・サリヴァン メアリー・ルイズ・パーカー/ラリー・ブリッグマン/ベン・シェンクマン/ジョアンナ・デイ
PREVIEW:2000年10月20日 OPEN:2000年10月24日 @ウォルター・カー・シアター

昨年の5/23〜7/30にマンハッタン・シアター・クラブで上演され、連日ソールドアウトになった新作プレイのオン昇格公演。
トニー賞はこれでキマリ!
(2001/01/12)

この芝居を見て帰国したばかりのころ、サイトのトップのINFORMATIONコーナーで、「数学の証明問題をめぐって展開する話」と書いたところ、数式がズラズラ出て来る芝居だと思って引いちゃった人もいたようですが、そいつはまったくの誤解。核物理学者を主人公にした『コペンハーゲン』が、その筋の単語の知識を要したのに対し、『プルーフ』は、足し算のできない人間にもわかる内容になっとります。ですので、あたしゃ根っから理科系は苦手という人も、食わず嫌いせずに見てください。

シカゴ郊外を舞台にした物語は、天才的な数学教授の娘キャサリン(パーカー)と、姉のクレア(デイ)、教授の教え子だったハル(シェンクマン)の3人を中心に展開します。キャサリンの父ロバート(ブリッグマン)は、マッド・サイエンティストがかった独創的な数学者だったが、年齢と共に浮世離れの度合いが増し、キャサリンは父の面倒を見るために大学を中退して実家に戻らなくちゃならなかった。そのロバートが死に、遺品めいたノートが出てくる。そこに記された数学の証明を誰がやったのか? が、劇の焦点になっていきます。

まず、一幕目では、入念なキャラクター描写と状況説明がなされていきます。父の葬儀のため実家へ戻ってきた姉のクレアは、NYで成功をつかまえようと家を出ていった現実的な女で、父親譲りの浮世離れ傾向のあるキャサリンとはまったくソリが合わない。父親のことを放ったらかしにしていたくせに、戻って来れば口うるさく詮索し、大きなお世話風を吹かせるクレアのことが、キャサリンにはうっとおしく思えて仕方がない。そんな姉妹の確執と並行して描かれるのは、ロバートの教え子でノートを探しにやって来たハルと、父のお守り役からようやく解放されたキャサリンのあいだにケミストリーが芽生えるエピソード。ハルに心を許したキャサリンは、彼が探し求めていた父の最後の研究のノートが、机の引出しに入っていることを教えてやる。ノートの内容の斬新さに、ショックを受けるハル。だが、驚きはそれだけで終わらなかった。「何よ、何よ、何が書いてあるの?」と、いきなりノートに興味津々になったクレア&ハルの前で、キャサリンは、「その証明は私がやったの」と爆弾発言をするのです。

これが一幕の幕切れ。観客は、「あのノートはホントにキャサリンが書いたんじゃろうか?」と、疑問を持ちながら15分間の休憩に突入。先の展開がどうなるか、ドキドキしながらニ幕目を鑑賞することになる。

というミステリー・チックな構成が、この劇はまことによくできているのです。一幕の最後にポーンと放り出された謎が、ニ幕目のフラッシュバック・シーン(生前の父が例のノートに何か書き込んでいるところへキャサリンがやって来る)を通じて解明されていくという。すなわち、「数学の証明」をネタにした劇全体が、「ノートにまつわる謎の証明」という具合に発展していくわけなんすよ。

で、その謎が明かされるフラッシュバック・シーンが、これまたひじょうに巧妙に作られており、そのシーンが終わるまで、真実がどうだったのかわからない仕組みになっている。

私は、アメリカ人じゃないのでオーバーな反応には無縁だけど、この芝居に限っては、「おおっ!」とか「ああっ!」とか、新たな展開が見えるたび、いちいち声をあげちまいました。ま、それほど感情移入して見られる芝居だってことです。

キャサリンとクレア、キャサリンとハル。そして、キャサリンと父親。それぞれの葛藤を描き出した人間ドラマの部分も素晴らしく、ノートをめぐって、それぞれの関係がグラグラと揺らいでいくところは強力に見ごたえがあります。

それをパーフェクトにしているのが、役者陣の緊張感ある演技。メアリー・ルイズ・パーカーは、『コミュニケーティング・ドア』というオフの芝居を見たことがあったけど、この人は確実に舞台女優として大成しそう。トニー賞もノミネートは確実で、受賞も夢じゃないかもしれません。

ともかく、この5年間くらいで見た新作プレイのなかでは、最もおもしろいと感じられた作品なので、NY来訪の折りはぜひともお見逃しなく。

トニー賞ノミネート:作品賞プレイ部門、主演女優賞プレイ部門(M・L・パーカー)、演出賞プレイ部門(D・サリヴァン)、助演男優賞プレイ部門(L・ブリッグマン、B・シェンクマン)、助演女優賞プレイ部門(J・デイ)

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プレイビル ディナー・パーティ

The Dinner Party

作ニール・サイモン 演出ジョン・ランド 出演ジョン・リッター/ヘンリー・ウィンクラー/レン・カリオウ/ジャン・マックスウェル/ヴィーネ・コックス/ペニー・フラー
PREVIEW:2000年10月3日 OPEN:2000年10月19日 @ミュージックボックス・シアター

『おかしな二人』などでおなじみのニール・サイモンの新作プレイ。
ルーティーンが死にそうに退屈だった
(2001/01/13)

パリの高級レストランの個室に、正装した男女がひとり、またひとりと集まってくる。彼らはおたがいに面識がないし、ホストが誰なのかも知らない。おそらく、自分の離婚を手がけた弁護士がホストなのでは? と思っている。

なんてお膳立てで始まるこの劇は、ステージに現れる登場人物が増えるに従って、全員につながりがあったことがわかっていくという、人間関係の謎解きのおもしろさを感じさせるコメディです。

と書いておきながらいきなりネタばれしちゃうと、最終的に集まった6人は、3組の元カップルだったという設定。で、劇の中盤からは、それぞれの愛憎模様に話の焦点が移っていく。ここからが、私にはおそろしく退屈に感じられてしまった。

まず、元カップルが顔を合わせる場面がやって来ると、他の人間が部屋を出て行き、舞台にふたりだけのシチュエーションが作りあげられる。これが、3組分繰り返される。

次に、最後に現れたホストが、元カップルのそれぞれに「相手のいちばんの欠点」を言わせる。というわけで、必然的にこれが6人分繰り返される。でも、それだけじゃ事はすまなくって、今度は「相手のいちばんの長所」の言い合いっこが始まり、これがまた6回繰り返される。

ってな具合に、中盤以降のドラマは完全にルーティーンの世界に突入。これにイライラさせられどおしだったYAZAKIは、「どーでもいいから早く話を先に持ってってよ!」と、思わず叫びたい気持になってしまいました。

舞台正面と下手にドアを設置しておきながら、人の出入りで客を楽しませる工夫もないなんて……。尊敬するニール・サイモン先生でありますが、YAZAKI的には、評判の悪かった前作『プロポーザル』のほうが2倍くらい楽しめました。

トニー賞ノミネート:助演女優賞プレイ部門(P・フラー)

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プレイビル サーチ・フォー・サインズ・オブ・インテリジェント・ライフ・イン・ザ・ユニヴァース

The Search for Signs of Intelligent Life in the Universe

作&演出ジェーン・ワグナー 出演リリー・トムリン
PREVIEW:2000年11月11日 OPEN:2000年11月16日 @ブース・シアター

1985年にトニー賞の主演女優賞を受賞したリリー・トムリンのひとり芝居の再演。当初限定公演の予定だったが、好評につきオープン・ランに変更された。
英語に完敗
(2001/01/13)

前回のブロードウェイで『フリー・コイミッティッド』を見て、「なーんだ、ひとり芝居だってけっこうわかるじゃん」とタカをくくったのが、間違いのモト。この芝居に関しては、英語に完敗。メザニン1列目のど真ん中という最高の席にすわりながら、私めは完全に取り残されたお客さんと化しておりました。

インテリでシニカルなホームレス、パンク姉ちゃん、彼女の祖父母、ハイパー・アクティブな双子を持つエグゼクティブかあちゃん、「金持ちピープル燃えつき症候群」にかかった有閑マダムなど、総勢13人の登場人物をリリー・トムリンが次から次へと演じ分ける芝居は、「ひとりロバート・アルトマン映画」みたいな雰囲気。

「ここが場面の変わり目です」と合図が入るわけでもないので、最初は、どこからキャラが変わったのかもよくわからない始末。次には、そのキャラがいかなる人物かを「覚える」のに、多大な苦労を強いられました。途中から、入場のときにもらったプレイビル(簡単なパンフレット)に場面ごとの役名と場所が書かれていることに気づき、「つけあわせ」をしつつ見るスタイルになって、ようやく少しは話が見えるようになったのですが。

それでも、「インテリ生活の兆候を探す」というタイトルが、劇の中身と結びつくまでにはいたらず。さまざまな人物を演じ分けながら自分らしさを残すというトムリンの芸風は、さすがアメリカ屈指の名コメディエンヌと感じられましたが、その至芸も、私の英語力にはもったいないモンだったようです。

トニー賞ノミネート:作品賞リバイバル部門

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