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プレイビル タイム・アンド・アゲイン

Time and Again

作ジャック・ヴァーテル 作詞&作曲ウォルター・エドガー・ケノン 演出スーザン・H・シュルマン 出演ローラ・ベナンティ/ルイス・クレアル/デヴィッド・マッカラム/ジュリア・マーニー
OPEN:2001年1月30日 CLOSE:2001年2月18日 @シティ・センター/ステージ2

ジャック・フィニィの小説『ふりだしに戻る』をミュージカル化した新作。
テーマ曲は耳に残るぞ
(2001/01/14)

シティ・センター(マンハッタン・シアター・クラブ)のステージ2は、ステージと地続きになっているフロアの三方に階段状の椅子を並べただけという、いたって簡素な劇場。座席も、早く来た人順に好きな場所におすわりくださいというスタイルなので、チケットを1ヵ月前に買っても前日に買っても席の条件は同じ。で、そのチケットは、マンハッタン・シアター・クラブの会員に優先的に配られるのだけど、99.99%キャンセルが出るので、ソールド・アウトと言われてもあきらめないで。見たい公演の前日とか当日とか、しつこく窓口に行って「チケットない?」と聞いてみてください。

今回の『タイム・アンド・アゲイン』も、会員分だけでソールド・アウトになってしまったプログラム。私も「見られんだろうな」とあきらめていたのですが、金曜日に窓口でたずねたところ「日曜夜の分なら1枚あるよ〜ん」と言われたので、さっそくゲット。『ハンニバル』のプレス原稿の締めきりが迫りくるなか、一発気分転換でもするべえと出かけて行った次第です。

主人公は、広告イラストレーターのサイ・モーリー(クレアル)。女性の肖像イラストで評判をとった彼は、そのイラストそっくりのスケッチ画を持って訪ねて来たダンジガー博士(マッカラム)の導きで、1882年にタイムスリップ。下宿屋で、スケッチ画のモデルになった女性ジュリア(ベナンティ)と出会う。現代に恋人のいる身でありながら、たちまち彼女にひかれるサイ。かたやジュリアもサイに好感を抱くが、彼女には婚約者がいた。実は、この婚約者がとんでもない悪人で、それを知ったサイは事件解決に動き出すのだが……。

と、進んでいくストーリーは、フィニィの原作を上手にコンパクトにまとめた印象。ジュリアの婚約者にまつわる悪巧みのエピソードには、原作どおりのゴシック・ミステリーふうの雰囲気が漂っているし、サイとジュリアの二重のトライアングル・ラブの構造を、ジュリアとケイト(サイの恋人)のデュエット(「Who Are You Anyway?」)で見せる仕掛けも、ひじょうに手だれてる。ミュージカルらしく、華やかめのボートビル・シーンなんかも用意されているしね。

ステージ自体が8畳くらいの広さしかなく、1列目の客(=私)との距離が50センチしか開いとらんみたいなシチュエーションでは、セットったって作りようがないわけだけど、台車を馬車に見たてたりと、厳しい条件下で小道具&大道具をやりくりして見せる演出は、とっても微笑ましい感じがしました。

テーマ曲の「タイム・アンド・タイム・アゲイン」は、鑑賞後4ヵ月たったいまも、つい口をついて出てくるようなキャッチーなメロディ・ライン。ちゃんとセットを組み、照明やなんかで時代の雰囲気を味付けすれば、オン・ブロードウェイでも勝負できそうな演目という気がします。

ダンジガー博士役のデヴィッド・マッカラムは、以前『コミュニケーティング・ドア』で見ていたので、舞台をやってること自体には驚かなかったけど、こんなオフのミュージカルにも出てるのか……と、ややビックリ。小学生のころ、クラスの女の子たち(といっても女子校だったので全員女なのだが)が、ナポレオン・ソロ(ロバート・ボーン)派とイリア・クリアキン派(マッカラム)に分かれ、熱い闘いを繰り広げていたのを懐かしく思い出しましたです。

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プレイビル シェイクスピアの悪役たち

Shakespeare's Villains:A Masterclass in Evil

作&演出&出演スティーヴン・バーコフ
OPEN:2001年1月10日 CLOSE:2001年2月11日 @パブリック・シアター

『ビバリーヒルズ・コップ』の悪役などで知られるスティーヴン・バーコフのワンマン・ショー。『オセロ』のイヤーゴやリチャード三世といったシェイクスピア劇の悪役を、バーコフが解説付きで演じる。
ごっつう勉強さしてもらいやした
(2001/01/16)

ロジー・オドネルの出る『スーシカル』を見るか、キャシー・ナジミの出る『ダーティ・ブロンド』を見るか迷ったあげく、衝動的にコイツを見ることに。リリー・トムリンのひとり芝居にお手上げ状態だったので、「今度もダメかな」と思っていたけど、こっちはモトネタのシェイクスピアをいちおう知っていただけに、すごーく楽しめました。

ネタになっているのは、『オセロ』『リチャード三世』『マクベス』『ベニスの商人』『ハムレット』『コリオレイナス』といった知名度の高いシェイクスピア劇。ま、『ハムレット』の場合、ハムレットによる「ポローニアス殺し」の場面を取り上げて、クローディアスではなくハムレットを「悪役列伝」に加えちゃったところが、ちょいと強引という感じもしましたが。でも、めっぽうオーバー・アクトで演じられるガートルードとハムレットとポローニアスの絡み合い(もちろんバーコフがひとりで演じる)なんぞは完全にパロディのノリで、ゲラゲラと大口あけて笑っちまいました。

構成としては、各悪役の名場面をバーコフが演じ、その後にさまざまな解説をほどこすという仕立て。たとえば、『リチャード三世』の「不満の冬が去り……」というオープニングの名セリフを聞かせたあと、リチャードという悪役の本質が、「誰からも愛されないこと」であり、「平和ではなくカオスを好むこと」であると説明されていったり。『マクベス』のマクベス夫人は、ありとあらゆる女の要素を取り去ったあとに残った「男」のキャラであると解説されたり。

そのどれもが興味深かったけど、『ベニスの商人』のシャイロックの解釈が、時代と共に変化していったという話は、とくに面白かったです。バーコフ先生によれば、シェイクスピアの時代は、悪役が悪ければ悪いほど客は喜んだので、シャイロックも残忍きわまりない金貸しとして演じられていたとのこと。それが、時代を経るに従って「彼も社会の犠牲者のひとりである」的なヒューマンな側面が強調されるようになっていったとか。確かに、いまの時代、シャイロックを悪の権化っぽく解釈したら、シオニズム関係者からレーシストの烙印を押されそうだもんね。

という時代の移り変わりにも絶妙に対応できるシェイクスピア劇って、なんて懐が深いんだ! と、今回のバーコフ先生の講義を聞いてあらためて感心した次第であります。

『リチャード三世』のくだりでは、『リチャードを探して』のアル・パチーノや、ローレンス・オリビエ、イアン・マッケランなどのモノマネも披露され、これがまたソックリ。やっぱし、芸のある人のショウは楽しいです。

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プレイビル フル・モンティ

The Full Monty

作テレンス・マクナリー 作詞&作曲デヴィッド・ヤズベック 演出ジャック・オブライエン 出演パトリック・ウィルソン/ジョン・エリソン・コンリー/アニー・ゴールデン/アンドレ・デ・シールズ/キャスリーン・フリーマン
PREVIEW:2000年9月25日 OPEN:2000年10月26日 @ユージーン・オニール・シアター

ロバート・カーライル主演の同名映画をミュージカル化した新作。
『BB』のペンギンが出てた!
(2001/01/17)

脚本担当は、『ラヴ! ヴァラー! コンパッション!』『マスター・クラス』のテレンス・マクナリー。ミュージカルでは『ラグタイム』なんかも手がけている彼は、今回、怒涛の職人ワザを発揮。正統派の英国ワーキング・クラス映画だったネタモトを、バッファローを舞台にしたアメリカンな話に、巧みに移し変えています。

まず、うまいなと思ったのは、主人公たちを東欧系に設定し、失業中の鉄鋼マンのシチュエーションにリアリティを持たせたこと。また、男性ストリップにチャレンジする男どもの練習シーンに、ショウビズ経験のあるおばちゃんピアニストを参加させ、『Waiting for Guffman』ふうのアマチュア・バックステージものの楽しさを盛り込んだところも、ナイス・アイデアだと思いました。

で、このピアニストを演じているのが、『ブルース・ブラザース』で、ブルース兄弟が育った孤児院の院長を演じているキャスリーン・フリーマン。『BB』をテープがすりきれるほど見ているYAZAKIめは、彼女が出て来たとたん、思わず「あ、ペンギン!」と叫んでしまいやした。

その『BB』つながりでは、ジェームズ・ブラウンふうの踊りを見せる黒人キャスト、アンドレ・ド・シールズが最高。彼がショウ・ストッパーになる「Big Black Man」をはじめ、R&Bやラテンのノリをきかせて曲はパンチがあり、耳に残ります。

最後は、もちろん、男6人のスッポンポン・ストップモーション(!?)。ただし、男たちの後方から客席に向って強力な目つぶしライトが発射されるので、イチモツは見えない仕掛けになっとりますが。

と、私はけっこう楽しんだけど、映画と比べてどうこう言いたくなる人には、あんましオススメしません。ドナ・サマーの曲に合わせて男どもの肩が動き出す職安の名場面は、葬式の場面に統合されているし、サッカーのフォーメーションで振りつけを覚える場面も、バスケットを素材にしたミュージカル場面に変わっているし。

そういうディテールの良さは、映画にかなうものナシ。だから、このミュージカル版はベツモノとして取り扱い、超娯楽アトラクションとしての面白さをみつけるのが、よろしかろうと思います。

トニー賞ノミネート:作品賞ミュージカル部門、主演男優賞ミュージカル部門(P・ウィルソン)、演出賞ミュージカル部門(J・オブライエン)、脚本賞(T・マクナリー)作曲賞(D・ヤズベック)、助演男優賞ミュージカル部門(A・デシールズ)、助演女優賞ミュージカル部門(K・フリーマン)、振付賞(J・ミッチェル)、編曲賞(H・ホイーラー)

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ステージビル 背信

Betrayal

作ハトルド・ピンター 演出デヴィッド・ルヴォー 出演ジュリエット・ビノシュ/リーヴ・シュライバー/ジョン・スラテリー
PREVIEW:2000年10月20日 OPEN:2000年11月14日 CLOSE:2001年1月28日 @アメリカン・エアライン・シアターシアター

1980年に初演されたハロルド・ピンターの戯曲の再演プレイ。演出は、昨シーズンの『ザ・リアル・シング』でトニー賞候補になったデヴィッド・ルヴォー。
ビノシュよ、セリフが聞こえなかったぞ!
(2001/01/17)

同じ芝居をトレバー・ナンの演出でロンドンで見ているし、ビノシュもロンドンで『ネイキッド』の舞台を見ているし、ってんであんまし食指をそそられなかったのだけど、愛人役をリーヴ・シュライバーが演じていると聞いて、がぜんに行く気になった。なにせ、去年パブリック・シアターでやった彼の『ハムレット』を見逃してるもんで。

かつて不倫の関係にあったエマ(ビノシュ)とジェリー(シュライバー)がパブで再会するシーンで幕を開けるこの芝居は、シーンごとに過去にさかのぼっていきながら、エマの夫ロバート(スラテリー)も交えた3人の葛藤を浮き彫りにしていくタイプの三角愛モノ。構成が『ペパーミント・キャンディー』で、内容が『突然炎のごとく』といえば、映画ファンには通りが早いかも。

各々のシーンの頭には、「2年前、密会用のアパート」というような字幕が登場し、時間軸を観客が見失わなくてすむ配慮がなされている。というのも、単純に話が過去へ過去へと進むだけじゃなく、「そのあと、レストランで」ってな具合に逆逆戻りをする場合もあるから。つまり、さっきまでエマといちゃついてたジェリーが、シラっとした顔をしてロバートとレストランで食事をする(男ふたりは親友同士という設定)……なんてシチュエーションに、オトナの三角愛ならではの駆け引きめいたもんが顔をのぞかせてくるわけだ。

以上の芝居自体の面白さは、ロンドンで見たときもたっぷり味わわせてもらったのだけど、それに比べると、今回のルヴォー版は演出がタルすぎ。9つのシーンの変わり目を、ナンの演出が「電光掲示板の字幕+流れるセット」で処理して切れ目なくドラマを見せていったのに対し、ルヴォーは「暗転+セット変え+字幕」で処理。シーンの変わり目ごとに2〜3分の休憩が入って客席がザワつくみたいなことが8回も繰り返される座持ちの悪さには、正直、ウンザリさせられしまった。

それよりも不満に思ったのは、ビノシュの声が聞こえにくかったこと。『ネイキッド』のときは当日券のかぶりつきで見たのでまったく気づかなかったのだけど、今回は、前から5番目の席なのにセリフが聞こえない。ま、私の見た時期が、ちょうどオスカー・キャンペーンの真っ只中で、『ショコラ』でノミネートを狙う彼女は連日TVのトーク・ショーに引っ張り出されてお疲れモードだったのかもしれないけど。シュライバーのツヤっぽい愛人ぶりが見られたのは収穫と思えたけど、この舞台の出来には、ちょいとガッカリさせられてしまった。

トニー賞ノミネート:作品賞リバイバル・プレイ部門、主演女優賞プレイ部門(J・ビノシュ)

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