秋ひとみ

「アンカレッジ経由パリ行き」  仙鉄也/小杉保夫/小杉保夫
  C/W 「季節めぐり」  仙鉄也/小杉保夫/小杉保夫
  テイチクユニオン UC−59

「幸せルージュをつけなさい」  さいとう大三/小杉保夫/若草恵
  C/W 「ふたり坂」  さがらよしあき/小杉保夫/若草恵
  テイチクユニオン UC−68

歌が上手くて可愛い高田みづえという作戦だったのでしょうか?それならば充分及第点
なのでしょう。高音がきれいに伸び、歌唱力も折り紙つき。いかにもテイチクが送り出し
そうなアイドル路線です。但し、きれい過ぎて後に残らない気が…、やっぱ飛行機モノ
で行くのなら離陸音は必要不可欠でしょう。こんなタイトルつけておきながらその辺の
配慮が足りないのもやはりテイチクだからこそ。というかB面のプチ演歌ポップス路線で
行きたかったんでしょうね。B面はB面でそれなりにいい曲ですが、私が彼女に求める
モノではないのでパス。「アンカレッジ〜」をA面に持ってきてくれただけでも感謝するべき
でしょう。なお、当時『ベスト30歌謡曲』のアシスタントを務めていた彼女、この曲が30位
以内にチャートインするという疑惑の曲でもありました。

やっぱりお得意の歌謡曲路線に。本人も気負いなく歌ってるのでこちらのほうがよいの
でしょう。よく聴くとまぁまぁ聴ける曲。当時もデビュー曲よりはこの曲の方が聴く機会が
多かったような気がします。B面もそんな感じかと思ったら大間違い。タイトルがこんなに
合ってないのも珍しいくらいのキャピキャピ(とまではいきませんが)ポップス。サビの
♪今日のふたり ふたり坂〜からの跳ね具合も可愛いのですが、彼女の歌い方がA面
の歌い方と同じなので何だか不思議な感じに仕上がってます。エンディングの安易さも
これまた私好みでけっこう好きな曲です。

「さよならによろしく」  喜多条忠/中山大三郎/若草恵
  C/W 「キャンパスの想い出」  喜多条忠/中山大三郎/若草恵
  テイチクユニオン UC−79

当時は“とうとうやって来たか”という感じの演歌路線。前曲まではとりあえず可愛い部分
を意識した歌唱法でしたがこの曲では前サビから思う存分声が濡れております。逆に
♪想い出くん、って歌詞の方が浮いちゃってるような気もするんですが…。確かに歌謡曲
路線こそがピッタリの彼女ですが何も演歌調にすることはないと思うのですが…。演歌を
歌うにはもう少し専門の歌唱力を身につける方が良いのではないか、そして彼女には
そんなものを身に付けなくても良いモノを持ってらっしゃるハズ。B面も、イントロは期待
させてくれますが曲はクラめでイマイチ。残念なシングルでした。
…というのが今までの印象。久々に聴いてみると、カラオケでネットリ歌ってみたくなる
ようなナカナカの曲ぢゃないの!ホント、聴いてみるもんね〜。

「サマー・メランコリー」  有川正沙子/後藤次利/後藤次利
  C/W 「シーサイド・ファラウェイ」  喜多条忠/小杉保夫/若草恵
  テイチクユニオン UC−87

この辺からが私の好きなところですね。作曲の後藤次利としてはかなり初期でしょう。
確か後藤氏本人も雑誌のインタビューでそう話されていたはず。但し否定的な発言で
したが…まぁ木之内みどりみたいにならなくて良かったかも。その後藤さんの曲、さす
がに初期作品だからか彼女のそれまでのイメージを崩さないような作品に留まってると
いうか、ガンバって歌謡曲寄りにしてるというか。それでも今までの純歌謡曲と比べると
一応ポップス色が強くてその後の展開を予感させてくれます。当時は歌手としてはB級
とも云えない結果でしたがグラビアアイドルとしてはいい位置をキープしてたはずで、初
のアルバムもこの後リリースされました。

「さよならファンキー・ボーイ」  竜真知子/加瀬邦彦/船山基紀
  C/W 「20才のリクエスト」  竜真知子/加瀬邦彦/船山基紀
  テイチクユニオン UC−94

もうジャケットからして今までと全然違うもんね、後藤次利氏との出逢いが原因なら
忌々しき問題だけど加瀬邦彦作品でした。ただ、やっぱどこかに木之内みどりの影は
あるんじゃないかな?レコード売上イマイチのグラビアアイドルだしね。曲は完全な
ポップス歌謡、当時流行のディスコサウンドぽいアレンジも船山基紀氏らしいもの。
詩はいままでの彼女のイメージを崩すものかもしれませんが個人的には賛成です。
♪好きだからぁ〜の部分のファルセットもイヤミなく歌ってて余裕すら感じさせます。
B面はアレンジは好きなんだけどサビの転調がイマイチ、彼女も以前の歌い方のクセ
が残ってる感じですね。

「哀愁BOY」  高梨めぐみ/高梨めぐみ/若草恵
  C/W 「折鶴はとべません」  矢玉四郎/丹羽応樹/若草恵
  テイチクユニオン UC−101

前作でヒットはしなかったもののポップス路線の成功を果たした彼女、気をよくして
BOYシリーズ第2弾をリリース。これはいい曲ですね、本来彼女はどちらかというと
「耐える女」というイメージの方が強いのですが、わざと強がったトコロを見せるという
詩が功を奏したのかキュンと切ない歌声を存分に生かしたものになっております。
彼女の歌唱力を考慮に入れた軽いメジャー調は地味になりがちなのですが、流石
年季の入り方が違うのできらびやかな歌唱を披露しております。こんなに素敵な曲
だったのにレギュラーで出ていた『ゲラゲラ45』でも一回しか歌わせてもらえずカワ
イソウだったなぁ。

「愛のめまい」  たかたかし/鈴木邦彦/竜崎孝路
  C/W 「変身」  たかたかし/鈴木邦彦/竜崎孝路
  テイチクユニオン UC−110

パッと見は前2作がヒットしなかったので歌謡曲に逆戻り、と思うかもしれませんが、
実はこれこそ名曲。60年代後半の歌謡曲を思わせるネットリしたメロディーに乗せて
ひとみちゃんのハニーヴォイスが糸を引くような淫靡な香りを漂わせております。
彼女に♪はじめて知ったの/おんなの秘密を、って囁かれたらそりゃ理性なんてふっ
飛んで愛欲の蜜壷に自ら溺れるでしょう?B面も同路線で、まるでバラを敷き詰めた
ベッドで蜂蜜にまみれているようです。この曲は何度かテレビで見ることができました
が、どれも思い切り斜がかかった画面だった様な気がしてます。きっと私の記憶違い
というか彼女の歌声がそうさせていたのでしょう。

どちらかというと歌手よりグラビアアイドルといった感じの人。でも結局ヌードにもならず中途半端な位置にいた方
のような印象です。テレビでも「ベスト30歌謡曲」のアシスタントと「ゲラゲラ45」のミニスカ婦警役位しか印象に
残ってません。「ゲラゲラ45」では、最初の頃はただミニスカの足を見せるためだけのタレントさんという感じでしか
登場してませんでしたが段々バラドルっぽいことをやらされて可哀想でした。というか本人ふっきれたのか嬉々と
してやってたような気もします。記憶が曖昧なのですが、新井薫子に交代する82年までやってたのかな?引退
後は水商売をやっているらしいというウワサを聞きました。ぜひ行ってみたいトコロですが、擦り切れまくった彼女
を見るのはファンとしてはちょっぴり切ないかも。

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<アルバム>

『メランコリー’79』  テイチクユニオン  GU−29
 A−1 「サマー・メランコリー」
 2 「恋人たちの場所」 竜真知子/梅垣達志/若草恵
 3 「シーサイド・ファラウェイ」
 4 「ジャニスの部屋」 さがらよしあき/小杉保夫/若草恵
 5 「キャンパスの想い出」
 6 「ふたり坂」
 B−1 「さよならによろしく」
 2 「アンカレッジ経由パリ行き」
 3 「幸せルージュをつけなさい」
 4 「美濃路くれない」 中里綴/杉村俊博/若草恵
 5 「季節めぐり」 
 6 「春のモノローグ」 福永ひろみ/小杉保夫/EDISON

『想い』  テイチクユニオン  GU−37
 A−1 「想い」 佐藤真由美/大貫妙子/若草恵
 2 「夕陽でワルツ」 伊藤佳伊子/伊藤佳伊子/若草恵
 3 「ひとりにしといて」 ちあき哲也/萩原ひかる/若草恵
 4 「愛のめまい」 
 5 「今さら東京」 小坂恭子/小坂恭子/若草恵
 6 「ナイス・フィーリング」 小坂恭子/小坂恭子/若草恵
 B−1 「手紙」 なかにし礼/川口真/若草恵
 2 「ジャマイカン・トマト」 森雪之丞/小杉保夫/若草恵
 3 「哀愁BOY」
 4 「変身」
 5 「夏にはぐれて」 森雪之丞/小杉保夫/若草恵
 6 「ひとりですか」 林紀彦/小杉保夫/若草恵

1stアルバムは殆どベストアルバムのようなもの。テイチクさんの
やりそうな事ですが、既発曲のB面まで全曲いれなくても、という
気もします。A面がポップス寄り、B面が歌謡曲寄りといった振り
分けなのでしょう。アルバム用の曲もA−2「恋人たちの場所」が
一番かな、B−6なんてタイトルからは想像つかない暗さで、これ
をラストにもってくるところも何考えてるんだか…。

うって変わって2ndアルバムはトータル性のある作品になって
おります。アイドルの歌う大人のポップス歌謡という感じかな、
遊び疲れた夜更けにぼんやり聴くと良いかも。A−1の大貫妙子
というのはどこからくる人選でしょうか、アルバムタイトル曲だけに
これが売りだったのかも。A−3はアルバム入りしなかった「さよなら
ファンキー・ボーイ」の歌謡曲版といった詩で、さすがちあき哲也
さん、“ダーティーヨコスカ”なんて歌詩も。B−1は由紀さおり様の
リメイク。歌いこなせてます。B−2はこの中で一番ポップな曲、でも
バレンシアオレンジでもハワイアンパイナップルでもなくジャマイカン
トマトというところが完熟気味でステキ。ラスト2曲はもう一つ押しが
足りないような気もしますが全体にまとまった作品です。ジャケットも
これでもかと言わんばかりの濡れ具合でお気に入りです。