可愛かずみ

にっかつ映画『セーラー服色情飼育』でデビュー。鳴り物入りではなく岡本かおり主演『受験慰安婦』・風祭ゆき主演『恥辱の部屋』
との併映としてのロードショウでした(映画紹介の本にも殆ど登場してなかった気が)があっという間にグラビア界の人気者に。映画
は先日初めて観ましたが母役の杉佳代子(大御所!)の方が主役の様なもので、本人はちょこっと脱いでるだけでカラミもお子様向け。
(でもやっぱ可愛い!正直惚れ直しちゃいました。)次の作品は一般映画で『夜をぶっとばせ!』、こちらも主役ではありませんでした。
一般認知を受けるのはひょうきん族の「ひょうきんベストテン」での明菜役からでしょう。これがきっかけ?で歌手デビューとなります。
その後は歌謡ポップマガジンの司会とか、2時間ドラマのわりと重要な脇役とか、芸能人として割と安泰の位置にいたと思うのですが
これからと言う時にその可能性を自ら絶ってしまう事になりました。彼女が選んだ道なので今となっては冥福を祈るのみですが、
遺された彼女の作品を今でも大切に思っている人間がたくさんいることを天国の彼女に届けたい(クサ過ぎ)と言う想いで、彼女の
歌手としての作品を紹介していきます。

「春感ムスメ」  岡田冨美子/水谷竜雄/水谷竜雄
  C/W 「星の歌を聴きながら」  岡田冨美子/かまやつひろし/水谷竜雄
  CBSソニー 07SH1497

デビュー曲。この曲がオリコンベスト50入りしたらひょうきんベストテンで歌わせてもらえる
というような話を当時話してましたね。ベスト100入りしたとは記憶してますが、イマイチ届き
ませんでした、残念。明菜路線で行くのかと思ってたのですが、割と軽めでポップス演歌みたい
な節回しもある不思議な曲。リリース後に「十戒」をひょうきん〜で唄ってたので当時はイマイチ
という評価だったのですが聴き直してみると歌いやすくてなかなか。「桃色とピンクの違い」と
いうのはやっぱ挑戦だったのでしょうか?さすが彼女の歌唱は出来上がっております。きっと
歌心はあるでしょう。2番で微妙に音程がフラつくのもご愛敬。B面のかまやつひろしというのは
どういう経緯か不明ですが当初こちらがA面予定だったと言う話も聞きました。寺島まゆみが
司会のラジオ番組に出たときはリリース直後にも拘らずB面を流してもらってたしね。


「TOKYOふられ小町」  岡田冨美子/水谷公生/水谷公生
  C/W 「悪女志願」  岡田冨美子/水谷公生/水谷公生
  CBSソニー 07SH1568

前作が一応好成績を残したのでセカンドの登場。グラビアアイドルとしてはトップクラスだったので
そこらのポッと出とは違います。彼女のシングルを殆ど担当している水谷公生氏の曲は同じソニー
のシブがき隊を意識してか下世話な騒がしさを強調したもの。コーラスの♪チュッチュ〜、アッア〜
なんてやり過ぎのようにも思えますがかずみちゃんの歌唱がそれを引き戻すが如き落ち着き払った
ものなので逆にうまく中和している気も。A面も大好きなのですがやっぱB面の「悪女志願」、これ
は名曲でしょう。アルバムにも収録されなかったのですが、彼女の内面的な弱さが演技の中にも
見え隠れしてひとつひとつの言葉にも重みを感じさせてくれます。「愛しすぎても罪」このフレーズは
ちょっと堪えますが…。個人的には彼女に悪女は似合わない、素直な笑顔だけで充分に私は翻弄
されてます(恥)。


「仔猫の決心」  魚住勉/水谷公生/水谷公生
  C/W 「メディテーション・別れ」  魚住勉/水谷公生/水谷公生
  CBSソニー  07SH1621

ヤンマガとかそーいう雑誌のラジオでのCMソングとして流れてましたね。リリース直前まで
「シャネルスーツの仔猫ちゃん」というタイトルで行く予定でしたが急遽変更。商品名の関係
でしょうが変更してよかったと思います。こちらは更にコーラスが下世話になり♪ゴ〜ロニャン
ニャン、なんてよくも入れたりと言う感じ。おニャン子を予言してたのか?彼女の歌唱力も更に
艶を増して、リフの♪いやいやいや…なんてカナリです。この曲では割とテレビにも露出して
いたようでもしかしたら売る気だったかもしれません。B面はその後リリースされるアルバムの
先行シングルという意味でしょうか。感情たっぷりに呟く彼女の歌は流石ですが詩は今聴くと
辛過ぎます。


「星屑のシネマ」  岡田冨美子/水谷公生/水谷公生
  C/W 「遠い約束」  内藤綾子/水谷公生/水谷公生
  CBSソニー 07SH1674

シングルA面の出来としてはこの曲が一番の作品だと思います。それまでは明菜を意識して
か少し路線をハズして下世話な部分を強調した作品をA面に持ってきてましたがこの曲では
真っ向からの対決姿勢。高らかに鳴るトランペットからして不吉さ満開のエスニックサウンドに
乗せて彼女も精一杯の泣きを聴かせてくれます。ハスキーだけどちょっと高めの声質の彼女
にはやはりこの詩の様な哀しい女が似合ってるかも。残念ながら実際に歌ってるところは見ら
れませんでしたが(ビデオ所有の方、連絡乞う!!)「TANGO NOIR」みたいな衣裳でもの
凄いフリつけで歌ってくれてるとうれしいな。B面は落ち着いたスロー曲ですが、この辺の曲は
彼女のプライヴェート部分とダブらせて聴いてしまって何よりも辛いです。ちなみにシングル
両面ともアルバムには未収録。この路線でもう一枚アルバムが欲しかったなぁ…。


<アルバム>

『天使のデザート』  CBSソニー 28AH1755
  A−1.小麦色喰べましょう  岡田冨美子/水谷公生/水谷公生
 2.バイバイ・ラブ  松本通照/松本通照/水谷公生
 3.これきり哀話  内藤綾子・丹古晴巳/水谷公生/水谷公生
 4.春感ムスメ
 5.ガラスの夏にララバイ  岡田冨美子/水谷公生/水谷公生
  B−1.5分の1だけ浮気して  森雪之丞/水谷公生/水谷公生
 2.きっとワルツが踊れるわ  森雪之丞/中崎英也/水谷公生
 3.なのにあいつ  伊藤アキラ/渡辺真知子/水谷公生
 4.星の歌を聴きながら
 5.ヨコハマ愛哀デート  岡田冨美子/梶田柾也/水谷公生

『メディテーション』  CBSソニー 28AH1849
  A−1.バイバイバイ、ライライライ  岡田冨美子/富山ヒロ/水谷公生
 2.涙草紙  岡田冨美子/水谷公生/水谷公生
 3.モンローチックにI love you  森雪之丞/山梨鐐平
 4.うぬぼれ  内藤綾子/水谷公生/水谷公生
 5.TOKYOふられ小町
  B−1.仔猫の決心
 2.似たものどうし  内藤綾子/水谷公生/水谷公生
 3.夢の楽園  森雪之丞/梶田柾也/水谷公生
 4.恋はネコ科  森雪之丞/都倉俊一/都倉俊一
 5.メディテーション・別れ






アルバムは2枚残してますが、1stは自分の持ち味を生かし
たもの、2ndはヴァリエーションを拡げたものという感じで
しょうか。アルバム曲でイチバンのおすすめは「5分の1だけ
浮気して」。表向きに見せている彼女のイメージ通りのあば
ずれ小悪魔ロックという感じ。シングルカットしても充分イケ
ると思います。他にも珍しいコミカル路線の「夢の楽園」「モ
ンローチックにI love you」、本来の彼女の良さを最大限
に生かした「うぬぼれ」「ガラスの夏にララバイ」、奇妙なチャ
イナメロディーの「ヨコハマ愛哀デート」などが出色ですが、
特筆したいのは「きっとワルツが踊れるわ」。殆どが哀しい
女が主人公の彼女の歌の中で珍しい幸せな歌。ちょっと
強がってる語感の中に戸惑いながらも幸せを知っていく
女の子の姿が垣間見れて、ファンとしては素直に、こんな風
に彼女にも幸せになって欲しいなぁと思わせてくれます。



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