猛女AE
くちべに天使   菅野ます美
   吉田旺/葵まさひこ/葵まさひこ
C/W ふたりはバラ色の人生
   吉田旺/葵まさひこ/葵まさひこ
     東宝 AT−4014

先に云っておきますが、上記作家陣はジャケットに記載のもの、盤面ではB面の作家陣は「芦原みづほ/中山敏/土田治一」となっております。さらに盤面・ジャケ裏の歌手表記は「管野ます美」となっておりました。あまりにもいい加減な表記は末期東宝レコードの成せる業という事で。さて菅野さんはもとは「かんのますみ」名でデビュー、デビュー曲は「懺悔」でちょっと売れてるかも。その後も何やかやシングルリリースはありますが東宝レコード倒産直前のこの曲と「涙の河を渡る時」だけ「菅野ます美」名義なんですね。ミノルフォンに移籍しての「春を待つ女」では元に戻ってるし…この名前の時だけはヤリたい事をヤるって事でしょうか、「涙の河を渡る時」のジャケットは殺人犯を意識したメイクだし。この「くちべに天使」のジャケも負けてません、素足に足環!までつけて大股拡いてドヤ顔、自信に基づいた挑発なのはつま先の立て方で噎せる程解ります。曲も完全にこの路線、♪カモン!カモン!カモン!のアジり方なんて普段普通に言ってないと出せない凄みですもん。そんじょそこらのオトコじゃションベン漏らして逃げ帰ってしまうレベル。貴女、これを見せつけたかったのね…
甘い罠   絹かずみ
   うさみかつみ/鈴木邦彦/鈴木邦彦
C/W 遊び
   うさみかつみ/鈴木邦彦/鈴木邦彦
     テイチクBLACK B−31


元はステージ101出身の八代かずみ。同じステージ101の芹澤廣明氏の現夫人でもあります。ステージ101卒業後に改名してソロデビュー、デビュー曲は「恋をするのはなぜ」で、セカンド「レンガ色の喫茶店」までは何となくキレイな部分を保ってたようですがこの曲でイメチェン。当時は男性誌にもバンバン出てたようなので(見たことありませんが)相当の気負いを持ってのイメチェンなのでしょう。まぁNHK出身の歌のうまいおねえさんが生き延びる為にはこれくらいのムチャも必要って事ですね。曲は深刻なエレキ歌謡で曲だけでも焦燥感を煽ってるんですが彼女の歌唱の方がさらに緊迫してるというか、もう後がないのを承知しているせいか精いっぱいのエロ歌唱を頑張って歌っている感じ。唸ったり漏れたり喘いだり、色々ヤってはいるんですがエロさというよりは「アタシもう崖っぷちなの、誰か救いアゲて!」という悲愴感を伴った生々しいエロさが却って強調されております。そして彼女の必死な歌唱はねちっこいエンディングで完全に散る…いや、今が良ければいいじゃない。
土砂降り   夏けい子
   最首としみつ/和泉常寛/クニ河内
C/W 愛されただけでいい
   最首としみつ/和泉常寛/クニ河内
     キャニオン C−66

元は夏螢子としてRVCから「他人の噂/生まれてすみません」でデビュー、何曲かリリースしております。名前からしても藤圭子オマージュなのは分かるんですがルックスがこれじゃあ薄倖だけなオンナは演じ切れないって事で?キャニオンに移籍して「夏けい子」としてリリースしたシングルがこの「土砂降り」。当時この手のヒトの移籍が多かったんですよねキャニオン、原ゆう子もそうだし(ディノスレーベルだけど)…この後ソニーがオババ歌謡を熟成させるけど、どうせならキャニオンもNAVみたいに隔離レーベル作ればよかったのに。で、この「土砂降り」ですがこちらは彼女のルックスを十分意識したドロ臭い歌謡曲となっております。クニ河内さんのアレンジもこの夜の歌謡曲にピッタリのディスコ風味、もう少し夏さんの声がダミ声だったら良かったんですがこのルックスで充分補えるでしょう。その後は「ひとり住まい」「ガラスの関係」とどんどんジャケットは良くなってくんですが肝心の曲はオトコに貢ぐだけのホステスの曲に。いやアンタなら搾り取るくらいの技能はお持ちでしょ。
花が濡れるとき   吉井亜樹子
   松井由利夫/中村千里/原田良一
C/W たださみしいの
   松井由利夫/中村千里/原田良一
     クラウン CW−1457


70年代初期を支えたポルノ女優さん。デビューは1973年の『職業別SEX攻略法』、その後も何本か出演されてますが主演はないようですね。これは1974年10月リリース、女優やりながら歌手として営業もされてたってコトなんでしょうか。日活女優が結集した1975年リリースのアルバム『おんな不貞寝の子守唄』にも参加されてるようですが(未聴)それより前の歌手デビュー、しかもあちらはキングからのリリースだし歌手活動を評価されての参加だったのか。女優活動は75年辺りでフェイドアウトされてるようなんですがその後1976年にまたクラウンからセカンド「恋しびれ」をリリース、余程歌手に執着があったのかそれともおいしい仕事だったのか、実際の活動を見たことないので解りませんが…。曲は割と普通のブルース演歌をうわずり声で濡れ歌っており途中でお約束の濃厚あえぎも挿入されております。まぁそこが聴かせどころという感じですね。B面の「たださみしいの」は飛び道具も披露せずライトな仕上がりですがこっちもいい出来です。「恋しびれ」のB面「夜はエマニエル」はCD『魅惑のムード・秘宝館』に収録、これも蜜が糸引くような歌唱で素敵。
恋が喰べたいわ   あい杏里
   石坂まさを/森川範一/森岡賢一郎
C/W あなたと三回
   石坂まさを/森川範一/森岡賢一郎
     コロムビア P−96

こちらも『魅惑のムード・秘宝館』に収録されております。まさかシングルを手に入れる事は無理だろうと諦めておりましたが神に想いが通じたのか(もしくはアリジゴクに引き込まれたのか)入手出来ましたのでご紹介致します。もうジャケットからして私の慾望の核心を当て掘りするような淫臭あふれる出来、白目ひん剥いて心ここにあらずといった表情のあいさん、常にアクメを迎えてる感じがたまりませんね。裏ジャケもスゴイ、表の表情になるまでの過程を如実に表現してるというか。画像にカーソルを持ってくと裏ジャケになりますのでご覧下さいませ。さて曲の方ですが…タイトルからしてもうおわかりでしょう、欲しくて欲しくてホントに欲しくてしょうがない、ヒトとしての人生を棄てセックスに生きるオンナのうわごとを延々口走っていらっしゃいます。基本は奥村チヨなんでしょうがその比ではありません、常に上ずった音程・過剰な猫撫で声・異常なしゃくりと引き摺り歌唱・それでいて基本は押さえているという理想的な歌唱ですね。完全に計算された表現方法で恐らく基礎のお勉強はされた方しょうがそれにしても圧巻、いやヤッちゃ駄目な一線に足を踏み入れた感すらあります。B面はタイトルが意味深ですがやや可愛さを強調したもの。こちらは小川知子あたりが下敷きではないかと思われますが幼児退行型歌唱は赤ちゃんプレイにも通ずる独自の路線でしょう。しかも最後にセリフ入り、ヤリたい事はすべて詰め込んで幸せネ。この1曲で終わったのかそれとも名前を変えて活動を続けられたのか、興味ある人です。
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