日本キリスト教団

西千葉教会

どの花見てもきれいなだな

2018年6月10日 子どもの日(花の日)合同礼拝

 地は草を芽生えさせ、それぞれの種を持つ草と、それぞれの種を持つ実をつける木を芽生えさせた。神はこれを見て、良しとされた。

創世記 1章12節

 1968年4月4日、39歳という若き黒人牧師が、頭部にライフル銃の弾を受けて暗殺されました。彼はアメリカにおける黒人差別撤廃運動の指導者マーチン・ルーサー・キングでした。
 キング牧師は、その四年前、黒人としては世界で三番目、アメリカでは最年少(35歳)でノーベル平和賞を受賞し、その活躍がますます期待されていた矢先でした。彼は差別撤廃運動だけでなく、自国アメリカが関わるベトナム戦争に強く反対し、世界の平和運動にも大きく貢献した人です。多くの人が知っている彼の演説は、暗殺前年になされた説教の一部でもあります。

 「私には夢があります。いつの日にか人々は立ち上がり、兄弟として共に生きるべく創られたということを知る時がくるでしょう。今朝も私には夢があります。いつの日にかこの国の黒人すべてと、この世界の有色人すべては、彼らの肌の色によってではなく、その人格によって判断され、すべての人間が、その尊厳と人格の高さによって敬われる時がくるでしょう。」
『良心のトランペット』より

 キング牧師の抵抗運動の背景には、人種差別の激しいアメリカ南部での幼少年時代の思い出と差別に毅然として立ち向かった両親の態度があったようです。
 キング少年が小学校入学の頃、それまで親しくしていた白人の幼な友だちの家に遊びに行くと、友だちの母親から「私たちは白人だし、あんたは色つきだから、これからは一緒に遊べません」と言って追い払われたのです。どうしてそう言われるのか理解できないキング少年は泣きながら家に帰り、その理由を母親に尋ねました。母親は、わが子を膝に抱き寄せて、黒人であるがゆえにたどらざるを得なかった道、つまり白人の奴隷とされた先祖たちのことや、南北戦争と奴隷制の廃止、当時残されていた多くの施設の「白人用」「黒人用」の掲示に象徴される人種隔離政策について説明しました。その上で、「他の人が何と言おうがお前は誰にも劣らずいい子ですよ」と語り聞かせたといいます。この時の経験が、後にキング牧師の考えの原点になったことは言うまでもありません。
 神が天地を創造された時、それらを見て良しとされました。人が勝手に決めたことではなく、神が良しとされることに目を向け、それを守りたいと思います。
 
「咲いた 咲いた
チューリップの花が
並んだ 並んだ 赤 白 黄色
どの花見ても きれいだな」

誰もがよく知っているこの歌に、神さまが良しとされた世界が映し出されているように思えます。

文:真壁 巌 牧師