日本キリスト教団

西千葉教会

「神の国の成長を信じて待つ」 

2018年10月

 更に、イエスは言われた。「神の国を何にたとえようか。どのようなたとえで示そうか。 それは、からし種のようなものである。土に蒔くときには、地上のどんな種よりも小さいが、 蒔くと、成長してどんな野菜よりも大きくなり、葉の陰に空の鳥が巣を作れるほど大きな枝を張る。」

マルコによる福音書 4章30節〜32節

 からし種は本当に小さな粒で、ゴマよりずっと小さい0.5ミリほどの種です。しかし成長すると茎高5メートルにもなり、どんな野菜よりも大きくなるそうです。 
 「神の国は、このからし種のようなものだ」と主イエスは言われました。もしかすると「からし種のように小さい」と言われた理由は主イエスご自身、またその行いや言葉を指しているとも考えられます。つまり主イエスの存在や行い、その言葉も、歴史的に見れば当時の巨大なローマ帝国の辺境の地における、小さな出来事に過ぎませんでした。パレスチナ地方で一時、人々の注目を集めたかもしれませんが、主イエスが公の場で宣教されたのは、たったの三年間です。弟子たちも数えるほどしかいませんでした。歴史の流れの中で誰にも記憶されず、忘れ去られても不思議ではなかったのです。しかしそうはなりませんでした。その理由は主イエス・キリストがまことの神であられたからです。主イエスの到来こそが神の国の到来そのものであり、その主と共に生きることが神の国に生きることだからです。
 主イエスがもたらした神の国は十字架の死で終わらず、主イエスの復活、更にペンテコステの出来事を経て、全世界に広がり、私たちの生活する日本にまでやって来ました。来年はプロテスタント宣教160年を記念する年ですが、160年前、この千葉県には何人のクリスチャンがいたでしょう?きっと見つけるのは不可能だったと思います。しかし今は多くの教会があり、それぞれの場所で礼拝がささげられています。確かに神の国はここにも来ています。小さなからし種から始まった神の国の到来は、全世界の人々が宿るほどの枝を張り、今もこれからも成長し続けてゆくはずです。
 先日、西東京教区が教区を挙げて取り組んできた「立川開拓伝道10周年記念礼拝」が、最初の礼拝場所となったレンタルスペース「99+TACHIKAWA 」の地下一階で行われました。当初はスタディオでの夕礼拝からスタートし、教区内外から多くの人たちが積極的に集い、力強い賛美と祈りがささげられました。
 二年半後、時間貸しのレンタルスペースから終日使用できるビルを礼拝堂および事務所として借りました。それから二年後、立川からしだね伝道所を開設し、その翌年に兼務ですが担任教師を迎えることができたのです。更にそこから土地と建物を探し求める歩みを続け、10軒近く渡り歩いたでしょうか、昨年春にようやく土地・建物を取得し、喜びと感謝の内に献堂式を行いました。三階建ての新築物件ですが、一階の礼拝スペースは20名も座れば満席という小さく狭い場所です。でも与えられた名前の通り、ここから神さまによって大きくされる神の国の福音が伝えられてゆくのを訪れる度に実感させられます。

 「ひとつぶのからし種のよう、
  まくときには小さいけれど、
  奇跡が起こる 神の国。 」
    (讃美歌21 199番)

 この讃美歌は立川からしだね伝道所の讃美歌として定着しました。聖霊なる神さまの働きが体全体にしみとおる歌です。この神さまの働きは立川の地だけに留まらず、福音が持ち運ばれる所ならどこででも確かめられるはずです。
114年前、千葉に蒔かれた種も大きく成長し、450名(内、75歳以上が215名!)を超える会員を宿す大樹となりました。今後の更なる成長を信じています。

 神さま、種の蒔き方を工夫することも大切です。しかし成長させてくださるのはあなたです。あなたが生きて働かれる導きを信じて、精一杯、種を蒔き続けます。すぐ芽が出なくても神の国の成長を信じて待つ信仰を与えてください。

文:真壁 巌 牧師