*一般演題
1.心臓カテーテル検査の成績と今後の課題 〜平成12年度80例の経験から〜
日高病院 心臓血管外科 ○町田政久先生
平成12年1月より当院でも心臓カテーテル検査を開始した。平成12年4月より高機能な新型DSA装置も導入され、検査能力は格段と進歩した。平成12年11月までに主に透析患者の心疾患評価を目的に80例に心臓カテーテル検査を行った。この成績と今後の課題について報告する。
2.内因性クレアチニン・クリアランス(Ccr)の検討
両毛クリニック ○片岡昭子
過去10年間で119例に214回行ったCcrについて検討した。Ccrが50ml/分以下では血清クレアチニン値の逆数とよく相関した。Ccrが50ml/分以上では腎機能障害の程度はCcr値でなければ知ることができない。Ccr試験を正確に行うためには完全採尿が不可欠であり、そのために工夫が必要である。2回法で値の差が大きい場合はその原因を検討し、必要ならカテーテルを使用しての検査も考慮しなければならない。
3.ポリスチレンスルホン酸カルシウムゼリーの使用経験
富岡クリニック ○大竹淳子
透析患者の合併症において高カリウム血症は重要な問題の一つであり、その治療としてポリスチレン酸カルシウムやポリスチレン酸ナトリウムの散剤が広く使用されている。今回散剤の問題点を改善したポリスチレンスルホン酸カルシウムゼリーが発売され、当院でも処方を開始したので使用経験をここに報告する。
4.透析導入期患者のアンケート調査 〜当院でのスタッフとの連携を考える〜
白根クリニック ○根岸敦子
慢性腎不全保存期治療の予防医療の進歩に伴い透析患者の高齢化がクローズアップされています。そこで、今回私達は、導入5年未満の患者を対象に、アンケート調査を行い、サイコネフロロジーやQOLについて再確認し、導入期指導について検討しました結果ご報告いたします。
5.当院維持透析患者の重度異所性石灰沈着の一考察
日高病院 ○近藤昭之
当院で維持透析患者における重度異所性石灰沈着症2例より、レントゲン・血液データの推移と異所性石灰沈着の進行について、若干の考察が得られましたので報告いたします。
6.生体腎移植を受けた患者の自己管理への対応を考える
長野県厚生連佐久総合病院 ○小山智江
【目的】
生体腎移植手術後の社会復帰と、自己管理への対応の援助を行う。
【方法】
当院初めての生体腎移植手術を受けた22歳の女性に対し、自己管理の内容を項目別に聞き取り調査を行った。困難感覚を生じさせている問題を明確化することにより、自己管理能力を高められるような援助を行った。
【結果】
退院後、3ヵ月で仕事へ復帰した。職場には、自分の健康状態や、手術後の治療の状況など伝えてあった。上司は理解を示し、現在のところ大きな問題はない。特に不安なことは、副作用についてであった。そのことでいくつかの気になる言動があった。それらに対し、「問題の明確化」の枠組みを活用し、困難感覚を生じさせている原因は何か、そのことを放置することへの影響など考える過程で、異常の早期対応への方向を見つけた。
【結論】
患者自身が、自分の治療の理解を含め、副作用の知識を納得して、主体的に移植した腎臓を長く生着させようという気持ちにならない限り、よりよい自己管理は望めない。自己決定という要素は不可欠である。患者の生活背景に関心を持ち、困難と思われることを具体的に明確化することが、主体的行動の意味づけとなる。
7.突発性難聴を合併した糖尿病透析患者の一例
両毛クリニック ○黒田浩子
54歳、女性、主婦。平成5年5月下肢の浮腫が出現し、近医で糖尿病と高血圧を指摘され、食事療法と血糖降下剤を投与。平成9年2月19日血液透析導入。導入時、左耳鳴と難聴出現し、ステロイドホルモンを含まない治療を行うも改善しなかった。平成12年8月17日から感冒症状とともに右耳鳴と難聴出現し、23日耳鼻科受診した。聴力検査で左は高度難聴、右も左に近いレベルの高度難聴であった。ステロイドホルモンを含む治療を受けた。ステロイドホルモンは11日間使用して打ち切った。9月6日には右は正常範囲まで回復した。左は高度難聴のままであった。
*特別講演
1.「これからの腹膜透析療法」
埼玉医科大学 腎臓内科学講座助教授 ○中元秀友先生
2.「血液浄化療法と持続血液浄化療法」
埼玉医科大学 腎臓内科学講座教授 ○鈴木洋通先生