*一般演題
1.カテーテル治療にて救命しえた、急性心筋梗塞の2例
日高病院 循環器外科 ○町田政久先生
平成12年12月から平成13年11月までに89例の心臓カテーテル検査・治療を行ったうち12例にPTCA・冠動脈内ステント留置等の治療を行った。急性心筋梗塞は3例で、うち2例をカテーテル治療で救命できたので報告します。
2.経口パルス療法から、マキサカルシトール静注療法へ移行した症例
白根クリニック ○真下千帆
当院において2次性副甲状腺機能亢進症に対して経口パルス療法を試みておりますが、マキサカルシトールの発売により静注療法へ移行した患者に対し、有用性を比較、検討しましたので考察を含めご報告いたします。
3.難治性二次性副甲状腺機能亢進症に対するmaxacalcitor(OXAROL®)の効果
両毛クリニック ○小川由美子
経口活性型ビタミンD製剤使用にも関わらず副甲状腺機能亢進症がコントロールできない4症例にOXAROL注を使用した。
《症例1》68歳、男、原疾患はCGN、透析歴20年11月。OXAROL使用前I-PTH830pg/ml、
Ca 11.2mg/dl、P 6.7mg/dl、ALP 187 IU。
《症例2》46歳、女、原疾患はCGN、透析歴16年7月。OXAROL使用前I-PTH210pg/ml、
Ca 11.9mg/dl、P 5.5mg/dl、ALP 147 IU。
《症例3》57歳、男、原疾患はCGN、透析歴12年9月。OXAROL使用前I-PTH630pg/ml、
Ca 10.7mg/dl、P 6.2mg/dl、ALP 300 IU。
《症例4》56歳、男、原疾患はCGN、透析歴16年10月。OXAROL使用前I-PTH420pg/ml、
Ca 11.1mg/dl、P 6.1mg/dl、ALP 129 IU。
OXAROLを10〜20γ、期間は4〜14ヵ月間使用したが期待通りの副甲状腺抑制は得られていない。
4.クリットラインモニター監視下で透析導入期大量除水ができた2症例
両毛クリニック ○小林健史
症例1は50歳、女性、原疾患はIDDM。平成13年9月15日HD導入したが、全身浮腫状態で体重は90.4kgであった。11月17日まで計22回HDを行なった後の体重は62.4kg(-28kg)となった。1回HDの平均除水量は3.56kgであった。
症例2は60歳、女性、原疾患はNIDDM。平成13年8月10日A病院でHD導入、10月8日当院に転院した。転院時の体重は49.6kgで11月12日まで計16回のHDを行なった後の体重は41.4kg(-8.5kg)であった。1回HDの平均除水量は2.47kgであった。
いずれもクリットラインモニター監視下での除水であり、透析導入期の適正なdry weightの設定をする上でクリットラインモニターが有効であった。
5.フレゼニウス社製個人用透析装置4008Sの使用経験
日高病院 ○近藤昭之
当院透析室に導入したフレゼニウス社製個人用透析装置4008Sでは、今までの透析装置で観察できなかった循環血液量(RBV)や血液再循環率のデータが容易に観察できる機能がついている。今回我々は、RBVを使用したPlasma refilling rateの算出やUFコントロール透析を試み、若干の考察を得られたので報告する。
6.透析患者のリハビリテーションについて 〜脳出血発症から社会復帰まで〜
日高リハビリテーション病院 ○大塚恭弘
当院が開院して約半年が経過しました。この間、回復期リハビリテーション病棟に2名の透析患者が脳血管障害(2名とも脳出血)で入院しました。そのうちの1名が当院でリハビリテーションを施行して退院、社会復帰(仕事の再開、自動車の運転を再開)をした症例を経験したので報告します。
7.当院7年間の透析患者の死亡調査
富岡クリニック ○松本孝介
当院での透析患者はほとんどが他施設からの紹介であり、有床診療所ではない事から、緊急時には他施設に依頼することが現状である。
今回当院での死亡統計調査を行い一つの症例と今後のサテライト病院としてのあり方について検討したので報告いたします。
8.介護保険導入後の介護を要する透析患者の実態と問題点
長野県厚生連佐久総合病院 透析室 ○宮下裕夫、沢仁子、磯部亜紀子、山口博
【目的】
介護保険導入により、介護を要する透析患者の実態はどのように変化しているのか当院の現況を調査し患者及び家族の支援につなげる。
【方法】
当院の介護保険対象者(第1号2号被保険者)161名と要介護認定を申請してサービスを利用している11名の透析患者及び家族を対象とし、個別に面接調査を行った。
【結果】
2000年12月現在の要介護認定者は、介護を要する患者のうちわずか21.7%で利用者が少ない傾向にあった。介護保険利用者のうち要介護度3以上が、46.2%と約半数を占めていた。実際に利用しているサービス内容は、通院介助が多く透析患者の介護では通院が大きな割合を占めていた。次に介護保険対象者の家庭環境を調査したが、当院の診療圏は農村地帯という地域性もあり核家族化が進んでいないこと平均世帯数も多く、介護者の人材が比較的確保されていた。介護保険制度は導入からまだ日が浅く対象者の制度に対する意識が低いことが明らかとなった。
【結論】
現時点での評価として、介護保険制度は高齢透析患者にとって利便性が極めて低いことがいえる。
9.急性シャント閉塞時におけるPTAの効果と適応
長野県厚生連佐久総合病院 腎臓内科 同腎臓外科* ○池添正哉、小野満也、古賀昭夫、宮本直志*
【目的】
急性シャント閉塞時におけるPTAの効果と適応について検討した。
【対象】
当院における急性シャント閉塞56件(37症例)を対象とした。
【結果】
56件(37症例)のうち、33件にインターベンション治療を実施した。再開通できなかったのは4件のみで、閉塞部の石灰化や蛇行が強くガイドワイヤーを通すことが不可能であった。PTA単独や血栓除去後のPTAにて29件で再開通が得られ、全例入院を必要としなかった。また、閉塞部の石灰化や血管瘤形成等で初めからOpeを施行したのは23件で、入院やカテーテル挿入を必要とする例が多かった。
【考察】
急性シャント閉塞に対する治療としてのPTAは、患者の負担の軽減、同じシャント部位からの使用可能など効果は絶大であり、適応を考慮すればかなりの再開通率が得られると思われた。
10.ACEインヒビターやAT1レセプターブロッカーは、透析患者の貧血を悪くするか?
そのとき血清IGF1は変化するか?
日高病院 透析室部長 ○松尾英徳
高血圧の治療薬である、アンジオテンシン変換酵素阻害薬(Angiotensin-converting enzyme inhibitor,ACE-I)や、アンジオテンシン・タイプ1受容体拮抗薬(Angiotensin type 1 receptor blocker,ARB)が、透析患者の貧血を悪くするとの報告があるが、それを否定する報告もある。われわれはそのことを確認し、かつ、悪くするならば、そこには、血清インスリン様成長因子(Insulin like growth factor 1,IGF1)の変化が見られないかと考えて、次のような研究を行った。
1)われわれの施設で週3回維持透析を受けている患者で、ACE-IやARBの投与を受けていない患者117名(Group A)と、そのいずれかを投与されている患者75名(Group B)について、3ヵ月間、Ht、血清エリスロポエチン(EPO)、血清IGF1を測定し、この間のエリスロポエチン製剤(Recombinant human erythropoietin,rHuEPO)の必要量(Dose of rHuEPO,U/kg/週)を計算した。この研究に影響を与えるであろう疾患を合併するか、この研究に影響を与えるであろう薬剤を投与されている患者は除外した。Group Bで投与されたACE-Iは、テモカプリル25名、エナラプリル18名、トランドラプリル7名、シラザプリル6名、イミダプリル1名、リシノプリル1名およびARBのロサルタン17名である。
2)10名の患者では、ACE-IかARBのいずれかの投与期間6ヵ月間と、連続した非投与期間6ヵ月間に、1)と同じ項目を測定・計算した。投与されたACE-Iはエナラプリル5名、トランドラプリル1名、およびARBのロサルタン4名である。
1)の結果:Group A group B Ht: 31.3±2.1(27.0-40.8) > 30.5±2.0(25.9-35.0) (p<0.05); EPO: 12.2±11.7(5.0-110.0) > 9.5±3.7(5-21.2) (p<0.05); IGF-I: 239±109(34-595) > 211±85(53-457) (p<0.05); Dose of rHuEPO: 90±70(12-190) < 46±57(0-188) (p<0.05).
結論:
ACE-IやARB(ロサルタン)は、透析患者の貧血を悪くし、rHuEPOの必要量を増加させることがありえる。そのとき血清IGF1は低下する。
*特別講演
「鏡視下手根管開放術」
赤心堂病院 整形外科 ○佐野浩志先生