*第一部 一般演題
1.薬剤管理の意義と有用性についての報告
日高病院 薬剤部 ○金井映子、長井千奈美、小倉由子
各部署ごとに薬剤の定数制(特に注射薬)を引き、特に使用頻度の変動が多い薬剤やコストの高い薬剤など毎日薬剤師が管理(補充)することのメリットに関して報告する。
2.リンコントロールにおける内服薬の検討 〜カルタン細粒の使用経験〜
富岡クリニック ○大竹淳子
透析患者においてリンコントロールは重要であり、食事療法と併用し薬物療法も重要になります。現在多くの患者が、高リン血症治療剤として沈降炭酸カルシウムを服用しています。しかし、現在の沈降炭酸カルシウム錠(カルタン錠)は1粒が大きく、高齢透析患者において服用困難ではないかと思われました。
そこで錠剤から細粒へと変更する事により、服薬コンプライアンスが改善されるのではないかと考え、昨年12月に発売されたカルタン細粒を使用し、その結果リン値が減少した症例を経験したので報告します。
3.頸動脈エコーの有用性
日高病院 検査室 ○島田真
「はじめに」
頸動脈超音波検査は、装置、高周波プローブの開発により高解像度画像が得られ、カラー・パルスドプラ法との組み合わせにより、詳細な血管病変の診断が可能となった。頸動脈内のプラークを評価することにより、動脈硬化の診断・予防・治療の参考になるので、検査方法・プラークの評価の仕方・頸動脈エコーの有用な2症例を報告する。
「方法」
東芝社製高機能超音波診断装置PowerVision6000(探触子:11MHzリニア型)を用いて頸動脈プラーク(IMT)の評価を行なった。
「結論」
頸動脈エコーは、血管の状態から動脈硬化を視覚的に診断することができる。特徴として、非侵襲性、定量性、簡便性、経済性、臨床的有用性などがあげられる。わが国の疾患別死亡率も変化し動脈硬化性病変による死亡率は今後さらに増加していくと言われている。頸動脈エコーは、臨床への広まりはまだ始まったばかりだが、脳外科のみならず、糖尿病・高脂血症・ASO・心疾患との関連が重要視されている。この検査は、透析患者にも大変有用な検査と思われる。また、わが国の現状からみて、動脈硬化性疾患の予防や早期診断は重要な問題であり、全身の動脈硬化の評価、進行度を把握するうえでも頸動脈エコーは重要な検査法の一つである。
4.二次性副甲状腺機能亢進症に対するフルスタンの使用経験
日高リハビリテーション病院 ○庭屋宏美
経口ビタミンD製剤フルスタン錠を14例の二次性副甲状腺機能亢進症患者に投与したところ、I-PTHは投与前383.5pg/mlが4ヵ月後137pg/mlへ有意に低下した。
血清Ca、P、ALPには大きな変化はみられなかった。二次性副甲状腺機能亢進症に対してフルスタン錠は有用である。
5.透析患者に対する美肌水の止痒効果について
白根クリニック ○池田恵子
現在、透析患者の掻痒に対して種々の薬剤、治療法が実施されているがその効果は様々である。今回、乾燥をともなう透析患者の皮膚掻痒症に対して、グリセリン入り尿素水(美肌水)を使用し、その効果を検討したので報告する。
6.長期入院患者の検討
両毛クリニック ○天海理恵
当院透析患者は現在204名である。介護保険制度では、安定した病状の患者はできるだけ自宅療養を目指すのが目的とされている。しかし、週2〜3回透析治療を行なわなければならない透析患者では、自宅療養しながら通院することは大きな問題であり、入院を余儀なくされている患者もいる。当院では現在、3ヵ月を超える長期入院患者は5名いる。
今回、長期入院中の患者について検討したので報告する。
*第二部 “インシデント”についての統一テーマ
7.インシデントの傾向と今後の課題
〜当院のインシデントレポートの分析から(第2報)〜
富岡クリニック ○高橋正臣
ハインリッヒの労働災害に関する研究によると、1件の重大事故の背景には29件の同種の軽傷事故と300件の同種のインシデントが存在すると言われます。これは、一般産業の災害の例ですが、医療事故の陰にも多くのインシデントの積み重ねがあると想定されます。この様な事からインシデントレポートを分析することは、医療事故防止の為に必要不可欠です。
今回我々は、前回発表したインシデントレポート分析結果と発表後6ヵ月間のインシデントレポート分析結果の比較検討を行ない、若干の考察を得たのでここに報告します。
8.当院におけるインシデント、アクシデントの分析とその対策
〜透析時の投薬ミスに対して〜
白根クリニック ○山田秀樹
透析患者はエリスロポエチン製剤をはじめとして、様々な薬剤の血液回路内静注を行なっている。今回、当院で発生した注射取り違えのアクシデントをもとにその分析と対策を実施したので報告する。
9.インシデント、アクシデントの検討
両毛クリニック ○佐竹恵美
検討期間は平成14年9月12日から平成15年4月30日まで約8ヵ月間。この間に当院で報告されたインシデントは152件、アクシデントは55件、計207件であった。各部署における報告は次の通りであった。
透析室 | 病棟 | 外来 | 薬局 | 事務 | 検査 | 厨房 | 食堂 | その他 | |
インシデント | 129 | 5 | 1 | 5 | 4 | 4 | 0 | 1 | 1 |
アクシデント | 42 | 7 | 1 | 0 | 6 | 0 | 1 | 0 | 3 |
10.日高リハビリテーション病院透析室インシデントレポート
日高リハビリテーション病院 ○飯野将弘
平成13年4月の透析室開設から、現在までのインシデント・アクシデントについての集計報告を行なうとともに、当院透析室の患者傾向を考慮した事故防止策についての具体的対策法を紹介します。
11.インシデント・アクシデントレポート改善の試み
日高病院 ○萩原隆二
当院におけるインシデント・アクシデントレポートはそのほとんどがアクシデントレポートとなってしまっているのが現状です。これにはインシデントの項目や記載欄が乏しいことが原因の一つと考え、透析室で独自のレポートを作成したので報告いたします。
*特別講演
「腎不全治療の現況と展望」
東京女子医科大学 腎臓外科教授 ○寺岡慧先生