＊一般演題
1.透析患者の排便状況調査
日高リハビリテーション病院 ○真嶋典子
透析患者の排便コントロールは重要な問題の一つである。また、塩酸セベラマーの発売により更に重要な問題となっている。今回、塩酸セベラマー投与後の腹部症状の観察と下剤投与方法を検討する目的の一環として、日高リハビリテーション病院と富岡クリニックの維持透析患者130名を対象に塩酸セベラマー投与前の排便状況を調査したのでその結果を報告する。
2.HCV抗体検査（2ndと3rdの比較）について
日高病院 検査室 ○秋山えり子、小川惠子
C型肝炎ウイルス（以下HCV）感染のスクリーニング検査として、HCV抗体の検出が行われており、これには主に第2世代系及び第3世代系試薬が用いられている。当院においても院内で第2世代系、外注検査で第3世代系試薬を用いた検査を行なっている。両世代系試薬では、HCV抗体検出に差は認められないとされるが、実際どの程度判定に差がみられるか比較を行なったので報告する。
3.糖尿病性ケトアシドーシスを呈したインスリン使用維持透析中の1例
両毛クリニック ○和田好正
52歳、女性、無職。原疾患はIDDM、肥満症例、透析歴は2年2ヵ月、1回5時間週3回外来維持血液透析施行中。体重増加が著明、平均体重増加は5.5kg、最大9.8kg増加したこともあった。
食後すぐに嘔吐することを繰り返すようになり、食前血糖値を測定せずに自己判断でインスリンを通常使用量よりも減量して注射。4月23日、脱力感が強くあって、救急車で来院。血圧130／80mmHg、シャント音聴取不可、意識混濁、呼吸苦を訴え、Kussmaul大呼吸を呈していた。血糖値880mg／dl、極度の代謝性アシドーシス、血中ケトン体高値であった。回復するまで日数を要したが、血糖値に応じたインスリン注射と血液透析施行で改善した。
4.混合型クリオグロブリン血漿とCryopheresis
長野県厚生連佐久総合病院 臨床工学科 同内科* ○近藤大輔、秋山康則、伊藤利弘、鈴木曉岳*、小野満也*、山口博*
我々は「混合型クリオグロブリン血漿 typ�供�M-IgMk/P-IgGに急性腎不全を併発」した症例に対し、DFPP及び、Cryopheresis（血漿冷却濾過法）を計14回施行した1症例を経験したので報告する。
5.当院におけるBAIVTの現況と問題点
長野県厚生連佐久総合病院 透析室 同内科* ○宮下泰夫、新井真、沢仁子、玉川清利、池添直哉*、山口博*
【目的】当院では、1997年10月よりブラッドアクセスインターベンション治療（以下BAVITと略）を導入した。2002年末日まで212症例に治療を施行し良績を挙げている。今回我々は、治療を受けた患者がこの治療をどのように評価し、シャントのセルフケア意識はどのように変化したかを分析したので報告する。
【方法】あらかじめ質問項目を作成し、当院患者170名と小海サテライト透析室の患者21名のうちBAIVT治療を受けた患者100名を対象として、個別に聞き取り調査を行なった。
【結果】今回の調査から、患者は外科的治療を必要としない。そして、入院のリスクを回避できる点でこの治療を評価している。治療後は、シャントに対するセルフケアの意識が向上していることが示唆された。問題点としては、治療中、治療後の疼痛の緩和・皮下出血の予防が今後の課題である。
【結論】患者は従来の外科的治療に比べ、侵襲が少なく、入院のリスクを回避できる点を評価していると言えた。今後は、患者の高齢化、透析治療の長期化、DM性腎症の増加に伴い、BAIVT治療の有用性は、さらに高まるであろう。
6.インシデント、アクシデントの検討（第2報）
〜報告様式と分類法の改良〜
両毛クリニック ○佐竹恵美
前回の当医学会で、平成14年9月から平成15年4月までのインシデント、アクシデント報告の結果を発表した。本報告をさらに継続して、この度、本年10月までの集計が終わった。
しかし、集計しながら、いくつかの問題点が提起されてきた。1）インシデントとアクシデントの分類が担当者の主観で異なることが多い。2）インシデントとアクシデントの境目の判断が難しい。3）経験年数の多いスタッフに報告数が多いという偏りがあった。4）業務の一部で未報告があった。
そこで、新しい医療事故の分類基準を導入した。本分類はレベルが0から5まで6段階に分類されており、従来のインシデントは0、1に、アクシデントは2から5に相当する。
今後は、2種類に分けていた報告用紙を1枚に統一して、報告後に担当者が新分類基準に従って分類するという形態が現状に合っていて実用的と考えられる。
7.ボタンホール穿刺法の試み
日高病院 ○青柳晴久
【目的】穿刺が困難な患者に対し、問題解決の可能性を有するボタンホール穿刺法を実施した。
【方法】穿刺が困難な患者1名にニプロ社製バイオホールスティックを用い、毎透析後穿刺部にバイオホールスティックを留置しボタンホールを作成した。ボタンホール完成後、ニプロ社製ダルニードルにてボタンホール穿刺を施行した。
【結果】ボタンホール作成を2回試み、ボタンホールは完成した。しかし、ダルニードルでの穿刺は困難であった。そこで血管エコーを施行した結果、ボタンホール最先端部から血管壁までの長さが原因であることが解った。このことにより、ボタンホール作成位置を決定するには、血管エコーを用いることが有用である。
8.糖尿病性腎症透析患者の長期生存例についての検討
白根クリニック ○桜井純
糖尿病患者は透析導入時より様々な危険因子を有することが多く、長期に維持透析を行なうことは糖尿病を持たない患者に比べ困難となるケースが多い。今回、当院で糖尿病を原疾患とする患者のうち、10年以上維持透析を行なっている症例について検討したので報告する。
9.当院における高齢透析患者と介護者の現況
富岡クリニック ○飯塚愛
社会的に問題となっている高齢化、透析医療の現場でも例外ではなく全透析患者の平均年齢は66.84歳を迎えた。又その患者の介護者となる家族にも高齢化が始まっている。透析看護において介護者の協力が必要である以上無視できない問題である。そこで患者本人と介護者の立場から今後必要としている看護・介護とは何かを調査し検討したのでここに報告致します。
10.当院の栄養指導システム
日高病院 ○木村早苗、中山優子、加辺美佳子、天海有香、佐藤いづみ、青柳晴久
透析患者数は年々増加の一途を辿り透析療法の進歩もあって長期透析歴の患者も増加している。しかし、透析歴の長期化に伴い様々な合併症を抱えている症例も散見される。当院での栄養管理は合併症予防の重要な因子と捉え、栄養指導システムを構築した。今回は当院の栄養指導システムについて報告する。
＊特別講演
「透析腎癌と臨床」
帝京大学医学部 泌尿器科教授 ○堀江重郎先生