今年の10月23日に発生した新潟中越地震時に群馬県では震度4〜5の強い揺れを観測し、この時、平成日高クリックでも大きな揺れを感じた。そこで当クリニックの透析患者様・スタッフが地震災害についてどのような考えを持っているのか疑問を持ちアンケートによる意識調査を行ったので報告致します。
今年10月新潟中越地震を体験し、災害対策を改めて身近なものと考えたので、当日の様子を踏まえて、患者対応を検討したのでご報告いたします。
従来、緊急時の血液透析離脱は、手元にあるペアンで回路を患者またはスタッフが結紮し、その後にスタッフがはさみで切断することによって透析機械から離脱して避難するということになっていた。しかし、患者にとってペアンの操作は必ずしも容易ではなく、また多数の患者にスタッフが容易かつ確実には対応できない懸念がある。この度の中越地震を契機に比較的簡便な緊急離脱装置セイフティカットを購入し、個々の患者の手元に備えておき、緊急時に備えることにした。患者に使用法を説明しながら、緊急時に対応できるかどうかで患者を区別し、スタッフ側が認識して緊急時に対応すべきであると考えられた。
今年、10月下旬に新潟全域を襲った新潟中越地震をきっかけに、緊急時の対応をスタッフ全員が行えるのか疑問を持ちました。また、当院は高齢で理解力の低下している患者が多くスタッフだけでの対応は困難ではないかと不安を抱きました。そこで緊急離脱セット使用のアンケート調査を実施し、その結果を元に検討を行ったのでここに報告します。
塩酸アマンタジンはパーキンソン病に広く用いられ、近年はA型インフルエンザウイルス感染症に対しても有効とされる薬剤であるが、腎排泄性で透析性がほとんどない為、腎不全患者においては投与に注意を要する。 今回我々はパーキンソン病を既往に持つ透析患者の塩酸アマンタジン中毒を経験した。症例は79歳女性でパーキンソン治療の為同剤を100mg/日処方され、その後不随意運動、幻覚、意識障害が出現した。同剤の中毒と判断し、除去目的にてHDF、DHP併用療法を施行した。患者は6回の治療で症状が軽快した。DHPの血中濃度変化率は最大18.8%、HDFによる除去の報告は今までにないが、最大33.3%の血中濃度変化率を得た。HDFは塩酸アマンタジンの除去に有用な手段である事が示唆された。
二次性副甲状腺機能亢進症で内科的治療に抵抗性を示した患者に対し、当院では4年前より経皮的エタノール注入療法(PEIT)を実施してきた。今回このPEIT治療において著明に効果が得られた2症例について超音波像及び血液データの面から報告する。
最近は、透析穿刺針と血液回路の接続はロック式になって接続部のはずれはなくなった。しかし、過去2年間(平成14年11月〜平成16年10月)のインシデント・アクシデント報告例は753件であったが、そのうち透析中の針抜け事例は30件(4.0%)であった。その中で針および回路のテープ固定が関連する事例は25件あった。そこで今回、固定テープの種類、特徴を調べ、テープの固定方法を検討したので報告する。
<はじめに> 透析患者数も22万人を超え、高齢透析患者も増加の一途をたどっている。当院での透析患者の平均年齢も60歳を超え、65歳以上の新規導入患者の比率も44.4%に達している。高齢者の血液透析を行うにあたり、様々な問題が生じている。なかでも、痴呆や認識力低下による抜針事故が増加傾向にある。平成14年度の厚生科学研究所報告書によると、重篤な透析医療事故の中でも、抜針事故の割合が30%と非常に高く、また今年に入り抜針による死亡事故も2件報告されている。今回当院での過去5年間のインシデントレポートにより抜針事故の分析をし、対策を検討、実施したので報告する。
<期間> 1平成11年度〜平成15年度のインシデントレポートの分析を行った。 2抜針アセスメント表を作成し適応患者の評価を行った。 3血液回路の固定方法の選定を行った。
<結果、考察> インシデントレポートを分析したところ、抜針事故は毎年30%以上報告されていた。今までも固定方法、シーネ仕様等様々な固定方法を試みてきたが、透析患者の高齢化に伴い増加傾向にあった。アセスメント表作成、評価し抜針事故防止策を選定した結果、事故防止へつながり今回のアセスメント表使用が有効であったと思われる。
<まとめ> 今回、私たちはインシデントレポートの分析をし、スタッフ間で問題点を共有化できたことは、事故防止への意識向上につながったと思われる。今後もアセスメント表活用を継続し安全な透析医療を提供していきたい。
『講師』 東京女子医科大学 腎臓病総合医療センター
血液浄化療法科、第四内科教授 秋葉 隆 先生