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第51回(2005.6.12)日高病院6階大会議室

「演題1」−日高病院NST(栄養サポートチーム)の試み−

○茂木みさ子 島田美樹子 上原由美 大澤清孝 日高病院

栄養管理は全ての疾患治療のうえで共通する基本的な医療です。全ての患者の栄養状態を適正に保ち、適切な栄養管理を実践する為にそれぞれの職種の知恵を持ち寄る栄養サポートチーム(NST)の活動を開始しました。早期治療、予後の改善、QOLの改善、入院期間の短縮と効果が期待されています。これまでのNST立ち上げの経緯と今後の課題について検討しました。

「演題2」−透析室における糖尿病指導について−

○田丸裕子 平成日高クリニック

近年、日本の糖尿病患者は約700万人といわれる。血液浄化療法患者数は20万人を超えているが、1998年度から血液浄化療法導入症例は、糖尿病性腎症が慢性糸球体腎炎患者を上回るようになっている。平成日高クリニックに於いても新規導入患者の糖尿病有病率が高くなっている。糖尿病性腎症による血液浄化療法患者の予後については、他の原因疾患と比較して腎硬化症とならび累積生存率が低く、死因は感染症・心筋梗塞が多くなっている。また、直接死につながらないが、網膜症・神経障害などを合併して通院、入院治療を行いADLが低下していく患者も多くなっている。これらのことから、糖尿病性腎症による血液浄化療法患者には一般に行われている、食事療法・運動療法・薬物療法の他に血液浄化療法(メカニズム、特徴、長所、短所、心理状態)を理解した糖尿病療養指導が必要であると考える。

「演題3」−透析患者の皮膚乾燥を伴う痒みに対するトレハロース化粧水・入浴剤の有用性−

○飯塚春美 日高リハビリテーション病院

透析患者の合併症としての皮膚掻痒症は、透析生活の中で深刻な問題の一つであり、症状の悪化はQOLそのものの低下にもつながってしまいます。今回、皮膚乾燥を伴う痒みを訴える維持透析患者に対し、約3ヶ月間継続して5%トレハロース化粧水と入浴時に10〜20gのトレハロースを入浴剤として使用しました。皮膚の状態をモイスチャーチェッカーで測定し、患者に対しては白取の分類を用いて聞き取り調査を行いました。その結果、症状の変化が見られ、また掻痒に対する外用薬処方量の減量も見られましたので報告します。

「演題4」―当院での認知症の状況把握―

○松本晃 富岡クリニック

現在、高齢化が進み当院でも高齢者の割合が高くなってきていて、その中で認知症の患者も増えてきています。認知症のケアにおいては、早期発見・早期介入が重要とされています。そこで当院では、まず状況を把握するため認知症に対する調査を行いました。その結果を比較し検討したので報告します。

「演題5」−塩酸セベラマー(レナジェル)と炭酸カルシウム(カルタン)の併用 −

○丸山友美 白根クリニック 

慢性維持透析患者の高リン血症は生命予後因子の一つであり、リンコントロールを良好に保つ必要があると考えられる。今回リン吸着剤である塩酸セベラマー(レナジェル)と炭酸カルシウム(カルタン)を併用しリンコントロールを行った結果、若干の考察が得られたのでここに報告する。

「演題6」−穿刺が困難な患者に対するペインレスニードルの使用経験−

○佐藤和也 松岡輝久 山田秀樹 平成日高クリニック

穿刺は透析患者にとって最大の苦痛であると言われており、穿刺が成功するか否かは患者にとって重要な問題です。中でも血管が細く穿刺が困難な患者はより強い苦痛と不安を感じると思われる。今回、予めボタンホールの作成が不要で前回の穿刺痕より挿入し、反復使用可能であり、かつ穿刺が容易とされているメディキット社製ハッピーキャス、クランプキャスPペインレスニードルを穿刺部位が限局し、穿刺が難しい患者5名に対して使用しましたので報告します。

「演題7」−血液透析穿刺針・回路の固定テープの検討−

○江口春香 両毛クリニック

昨年12月の当医学会において、過去2年間の透析中の針抜け事故の原因に穿刺針・回路の固定テープの関与が大きいことから、固定テープの種類、粘着度、固定法について検討し、報告した。その際、日高病院グループで使用しているDSパックをご紹介いただき、本年1月から当院でも使用している。 前回報告したように平成14年10月から2年間のインシデント・アクシデント報告は753件(全透析の1.1%)あった。そのうち針抜け事故は30件あった。その針抜け事故の原因として、認知症患者の自己抜針と針先調整時が各2件、静脈圧上昇1件であったが、穿刺針・回路の固定が25件あった。そこで穿刺針・回路の固定方法を改良した結果、平成16年11月から平成17年5月までの7ヶ月間の針抜け事故は4件で、そのうち穿刺針・回路の固定に原因があったのは1件のみであった。 DSパックのテープを使用した穿刺針・回路の固定度テストでも、今回改良方法として採用した無介在関節固定法でループ状またはU字型固定法が有効であることが示された。  

「演題8」―バイオフィルトレーション施行後に体重が3Kg増加した1症例― 

○和田好正 両毛クリニック

装置の特性と種々の条件が重なったことが原因でバイオフィルトレーション(以下BF)施行後の体重が、開始時に比べ3Kg増加した事例を経験した。 症例は68歳、女性、原疾患は慢性糸球体腎炎、透析歴は13年。ドライウェイトは44.5Kgで透析間の体重増加量は0.5〜2.1Kg(平均1.2Kg)。脳動脈瘤手術の既往があり、歩行障害と呂律緩慢があるが、意思の疎通には特に問題はない。表在血管が荒廃し、移植したGraftは閉塞し、左上腕動脈を表在化して穿刺しているが、表在部位が限局して、穿刺者は院長に限られている。V側は通常どおり穿刺できたが、A側は穿刺後血流がうまくとれず、再穿刺しているうちに回路とダイアライザーが凝固した。その後、穿刺が成功してBFを開始したが、血圧が上昇して、胸苦を訴え、顔面浮腫の増強がみられたので、ベッドスケールをセットして除水量測定を行い、BF開始から約4時間後に予定総除水量2,000mLに達したのでBFを終了した。しかし、透析後の体重は来院時より3.0Kg増加していた。 原因は特定の操作、条件下における血中への透析液流入であった。実験の結果、5分間で460mL、45分間で計算上4,140mL逆濾過が起こることが検証された。

「演題9」―解離性大動脈瘤に対しステント・グラフト内挿術を施行した1例− 〜当院での初症例〜

○町田政久 鮫島睦生 加藤雅明1) 日高病院心臓血管外科 埼玉医科大学心臓外科1)

当科ではかねてからステント・グラフト内挿術の適応となる大動脈病異変に対し、その施行の準備を進めてきた、今回、解離性腹部大動脈瘤で、まさにその良い適応となる32歳、男性の1例に対し、本法を施行し良好な結果、経過を得たので報告したい。

―特別講演―『透析療法と血管石灰化』

『講師』 東京女子医科大学 第四内科 主任教授 新田 孝作  先生