9：00〜
総合司会 白根クリニック 小野隆
9：10〜
一般演題
座長：平成日高クリニック 近藤昭之 両毛クリニック亀田哲
○金井千賀子 平成日高クリニック
ネフローゼ症候群から血液透析を導入し、約11年間維持透析を受けたのちに生体腎移植を行った。今回、一腎不全患者、一看護師としての立場から腎移植を行うまでの経過を振り返り、血液透析導入から腎臓移植を受けるまでの経過について報告いたします。
○間庭博子 日高リハビリテーション病院 放射線科
【目的】マルチスライスＣＴでの腹部・腎癌スクリーニング検査時にシャント血管の同時検査を試みる。
【方法】造影ＣＴ検査の際にシャント側上肢は体幹部に沿わせ体の一部とし対側上肢は血管確保を行い挙上する。撮影は大動脈弓に流入する造影剤を検知し開始する。画像再構成は関心領域ごとに3次元処置を行う。
【結果】体厚拡大により撮影視野が（ＦＯＶ）が広がり分解能やシグナルノイズ比（Ｓ／Ｎ比）は低下したが、シャント血管像を描出することができた。
○松本晃 富岡クリニック
【緒言】RBC、Hb、Ht、TP、ALBが透析後に上昇することが知られている。
【目的】透析前後で変化する検査値を検証する。
【対象】対象は維持透析患者92名、男性53名、女性39名、平均透析歴6.2年
【方法】方法は定期検査項目を透析前後で測定し変化の有無を検討する。
【結果】T.cholは透析前平均152.41 mg/dl、透析後平均184.88 mg/dl、HDL.Cholは透析前平均46.7 mg/dl、透析後 平均59.2mg/dl、LDL Cholは透析前平均83.9 mg/dl、透析後平均111.0 mg/dl、Feは透析前平均59.33μg/dl、透析後平均 76.54μg/dlと有意に上昇していた。RBC,Hb,Ht,TP,ALB以外は有意差がなかった。
【考察】T.Chol、HDL.Chol、LDL.Cholの値は透析後に有意に上昇した。LDL.Chol高値、TG高値、HDL.Chol低値は透析患 者の心筋梗塞発症の独立した予測因子と言われており、LDL.Cho値については正常上限であっても注意が必要と思われた。 また、Fe値も透析後に有意に上昇しており、今回の症例では正常範囲内にとどまったが、酸化ストレスの点から、前値 が高い場合は過剰投与になってしまう可能性も考えられた。
○和田好正 両毛クリニック
【目的】以前から当院では、大規模災害の発生などに備え、患者個々の情報を記載した透析患者情報カード（以下、情報カード）を作成、配布してきた。今回、従来のフィルムラミネートを使用した情報カードの欠点を改善すべく、作成、訂正に随時対応でき、ポイントカード等に利用されている磁気ロイコリライトカード（以下、リライトカード）と東急車輛製造（株）製専用リーダライタTRC-163を導入した。新たに作成した情報カードについて紹介するとともに、カードを交換するにあたり、アンケート調査を実施したので報告する。
【方法】対象は、当院透析患者217例中、入院中の4例、新規透析導入または他院から転入した18例、カード作成を拒否した2例を除く193例。アンケート項目は、「今日（透析日）は情報カードを持っていますか？」「情報カードを持っていない場合それはどうしてですか？」「普段情報カードはどこにありますか？」の3点とした。
【結果】透析日の情報カード携帯率は全体で72.0%であった。男女別では女性、透析時間帯別では夜間透析者、透析歴別では透析歴が長くなる程、それぞれ携帯率が高かった。普段、情報カードを保管している場所は、「バックの中」、「財布の中」、「車の運転免許証と一緒」の順に多かった。情報カードを携帯していない理由については、「透析日は病院に来るので持ってこない」、「紛失すると困るのでしまってある」、「家族が所持、管理している」などであった。
【まとめ】リライトカードは従来のカードに比べ、カード作成や記載内容訂正の簡便さ、迅速さに優れており、コストを勘案しても遜色ないものと思われる。また、透析日の情報カード携帯率は、全体の72.0%であり、情報カードの配布目的の周知や携帯方法の提案など更なる説明、指導の必要性が示された。
○澤田享子 両毛クリニック
【はじめに】腎疾患患者を診療する上で腎機能を正確に把握することは極めて重要である。 最近、日本腎臓学会推薦の腎機能簡易推算式を組み込んだ腎機能カルキュレータがポケットクリアランスとして薬剤メーカーから提供されている。
【対象および方法】過去16年間で当院の150例（慢性糸球体腎炎81例、糖尿病性腎症64例、腎硬化症3例、嚢胞腎1例、腎形成不全1例）に計281回行ったCcr実測値と血清クレアチニン値（S-Cr）からeGFRとCcr値を比較検討した。
【結果】Ccrが50ml/min以下では、S-CrとCcrおよびeGFRは直線的に相関していた。 eGFR＜60の男性124回、女性94回でCcrとの比較では、平均値はeGFRが有意に低く、最大差は男性36.9、女性32.7ml/minであった。eGFR≧60 の男性30回、女性33回でもCcrとの比較では、平均値はeGFRが有意に低く、最大差は男性54.9、女性48.2ml/minであった。Ccr39.9および52.1ml/minの2例（いずれも女性で慢性糸球体腎炎）で次第に腎機能が低下して9年後および5年後に透析導入するまでに年1回行ったCcrは、eGFRでは最初それぞれ7.7、8.7ml/min低く、以後次第にその差は縮まるものの常にCcrより低い値を示した。
【考察】糸球体だけから排泄され、尿細管から排泄も吸収もされない物質のクリアランスは真のGFRを示し、そのような物質としてイヌリンがある。しかし、一般には簡便な内因性クレアチニン・クリアランスが行われている。ところが、クレアチニンは腎機能が低下するにつれて尿細管からの排泄が増すことが知られており、真のGFR値としては問題があることを指摘されている。そこで、クレアチニン値と年齢、性別の因子だけでイヌリン・クリアランスと相関する簡易推算式を案出して組み込んだポケットクリアランスが出来た。しかし、eGFRが60ml/min以上では、過少評価されることが付記されているものの、実際のCcrとの比較で最大で男性54.9、女性48.2ml/minも低い例もあり、この領域では信頼性に欠けると言わざるを得ない。
【結論】eGFRはCcrより低い値を示した。腎機能を判断する際に現段階で、eGFRは60ml/min未満では従来のS-Crの逆数と同様に有用であるが、60ml/min以上ではCcrに頼らざるを得ないと考えられる。
○増田千恵子 両毛クリニック
【はじめに】当院では、透析患者で、経管栄養が必要になった場合および食欲不振時の栄養補給にクリニミール(R)を使用してきた。今回、クリニミールが製造中止になったことに伴い、代わりの各種経腸栄養剤を検討した。
【対象および方法】P・K・Naなどの腎臓に負担をかけるミネラルの摂取量を少なく保ったまま、用途に応じてエネルギーや蛋白質を摂取できるものを選んだ結果、エレンタール(R)、メディエフ(R)アミノプラス、リーナレン(R)3.5ロージック、レナウェル(R)A、レナウェル(R)３が候補に挙がった。今回、当院職員の年代別（20歳代から60歳代まで）に各5名ずつ、計25名が実際にこれらの製品を試食して、におい、味、総合的な感想から「飲みやすさ」の評価を行った。
【結果】
| におい | 味 | 飲みやすさ | |
| クリニミール | �� | �� | �� |
| エレンタール | �� | �� | �� |
| エレンタール（コーヒー） | �� | �� | �� |
| メディエフ（プレーン） | �� | �� | �� |
| メディエフ（バナナ） | �� | �� | �� |
| リーナレン | �� | �� | �� |
| レナウェルA | �� | �� | �� |
| レナウェル3 | �� | �� | �� |
※数字は順位
飲みやすさの上位はレナウェル3、リーナレン、レナウェルAであったが、エレンタールはすべての点で最下位であった。しかし、このエレンタールをシャーベットにすると臭いが消え、さらにコーヒー味にするとおいしいという結果が得られた。
【考察】透析患者で、経管栄養、食欲不振時の栄養補給を行う場合には、カロリー補給だけでなく、水分制限、蛋白量やK、P等のミネラルも考慮しなければならない。K、PはレナウェルA、レナウェル3が低く、この製品は脂質を多くして蛋白質をおさえた非透析腎不全治療食を兼ねているからである。エレンタールはクリニミールと同じく粉末で必要に応じて水で溶解するが、他は液状でそのまま使用できる。エレンタールは粉末で使用期限も長いので使いやすいが、経口摂取するには飲みやすさに難がある。しかし、シャーベットにするなどの工夫で、摂取しやすくなるということが分かった。１日1200kcal摂取した時の価格では、リーナレンが960円だが、エレンタール1,928円、クリニミール753円、他は1,140円であった。
【結論】各種経腸栄養剤が市販されているが、飲みやすさ、内容成分、価格等を考慮して患者個々の状態に応じた製品を選ぶ必要がある。
○山岸正和 白根クリニック
【はじめに】透析患者にとって十分な血液流量を確保できる内シャントは維持透析のために必要不可欠なものであり、なるべく長期に使用できることが望ましい、そのためには医療者のサポートのみでなく患者自身のセルフケアが重要である。そこで、今回当院維持透析患者140名のうち、シャント自己管理のアンケートに同意を得られた患者104名に対し聞き取り調査を行った。
【結果】患者が実際に行っている自己管理を調査し、その傾向を把握することができた。これにより、今後の患者に対する看護指導について、若干の考察が得られたのでここに報告する。
○斎藤たか子 平成日高クリニック
【目的】診療報酬算定上、内服処方算定が全体の90％へ減額となる7剤以上の多剤投与処方患者について現状を把握し、多剤投与削減のための対策を立てる。
【対象】当院維持透析患者のうち11月1週目に定期処方を受けた患者433名。
【方法】1.対象患者の処方数別人数を調査し、7剤以上処方患者の現状を把握する。
2.対象患者を7剤以上投与患者群と7剤以下群に分け、以下の内容について検証を行った。
1）医療者側要因として担当医師別の処方数の差を検証する
2）患者側要因として年齢・透析歴・原疾患・性別による比較を行う
3）その他の要因として透析条件による差を検証する
【結果】7剤以上の多剤投与は170/433人：41％であった。
○新藤弘之＊1 大谷早希子＊2 才木多恵子＊1 渋川美幸＊1 広神奈留美＊1
高橋一貴＊1 水上敦子＊1 石田秀岐＊1 関口博行＊1 大嶋秀子＊2
安藤哲郎＊3 安藤義孝＊3
＊1平成日高クリニック透析室 ＊2日高病院看護部 ＊3同腎不全科
【はじめに】透析室看護師は透析技術の習熟の他に、基礎的な看護技術・知識、そしてアセスメント能力の向上が必須である。そのためには、透析領域以外にも様々な疾患・症例を経験し学習することが必要である。今回われわれは、日高病院救急外来において一ヶ月間の救急看護研修を行った。研修終了者の評価表の結果をもとに、日高病院での救急外来救急看護研修の有用性を報告する。
【方法】研修開始前における基礎看護技術の習得状況を、31テーマ164項目の研修評価表を用いて自己評価した。一ヶ月間の研修中、紹介外来や特殊外来、救急搬送患者の対応、透析用シャントPTAの介助などを集中的に行った。また空き時間には人形を用いて心肺蘇生技術を繰り返し修練した。一ヶ月後の評価結果について救急看護研修の前後で再評価(自己評価、指導者評価)を行い、結果を検討した。
【まとめ】研修前後の評価比較では、幅広い分野にわたって看護技術の向上が得られた。今回の研修中に貴重な経験をすることで、自分自身の知識・技術を見直し、向上させる刺激となった。短期研修であっても卒後教育研修として、基礎看護・救急看護が学習でき、一定の成果を得ることができると考えられる。
○神永隆司 松本中川病院
�厳�PEPA膜の優れた透水性、生菌・エンドトキシンに対するCut Off効果と、複式ポンプの脈流による逆濾過効果に着目して、安全、安価、容易な新しい逆濾過法を考案した。 ダイアライザーのアウトレット側シリコンホースに20cm程度の狭窄チューブを取り付けることで逆濾過は増加された。（Augmented）置換液量はダイアライザーのUFRに左右されるが、FDY-210GWで17L/1sessionとなることが推定された。 透析液中の生菌とエンドトキシンは、微粒子除去フィルター後とダイアライザー入口においてそれぞれ陰性であった。 この方法を用いることで、心機能が悪く、これまで通常のOffline HDFでしか透析が出来ない患者に、インフォームド・コンセントを得て実施したが、これまでのOffline HDFとAugmented Backfiltration Method ABMとでは全く変化は無かった。（Bland＆Altman plot,p<0.05） 内部濾過促進型ダイアライザーを使用しなくとも、逆濾過が増大され、通常のHDと同じ手技にて行えるので、消耗品等の必要は無く、新たな手技を覚える必要が無い。新しいHDFとして推奨される方法であると考えられた。
11：30〜
特別講演
1）なぜ透析者の年間死亡率は国民全死亡率の12倍も高いのか
2）透析療法の変遷と今後の期待
『講師』かないクリニック院長 有阪弘明 先生