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第58回(2008.12.7)日高病院6階大会議室

平成20年12月7日(日) 9:00〜

【総合司会】平成日高クリニック 丸山雅美

【一般演題座長】日高病院 井野口秀実  両毛クリニック 島田千賀子

開会の挨拶

日高病院 安藤義孝 理事長

「演題1」−当院におけるレグパラ(R)投与効果の検討−

○小林 健史 両毛クリニック

【はじめに】二次性副甲状腺機能亢進症(SHPT)は,透析療法が長期になるにつれ合併症例が増え,その治療,コントロールに難渋することが多い.事実,当院では透析患者219例中過去に12例がPTX,4例がPEIT治療を受けており,そのうち本年1月以前1年間のPTX施行例は6例である.本年1月,直接PTH分泌を抑制するシナカルセト塩酸塩レグパラ(R)錠が発売され,SHPT例に使用しているので,その効果について検討したので報告する.

【結果】現在までレグパラ(R)は33例に投与した.投与前,全員活性型ビタミンD製剤,マキサカルシトール(OCT),リン吸着剤で治療した.レグパラ(R)投与前のI-PTH値は204〜981(平均415.0±202.4)pg/mL,血清P3.0〜8.0(平均5.3±1.3)mg/dL ,血清補正Ca9.1〜11.2(平均10.3±0.5)mg/dLであった.  レグパラ(R)を投与して12週以上経過を追うことが出来ている28例では,JSDTガイドラインに沿うようにレグパラ(R)を調節使用した.現在,レグパラ(R)25mg1錠で維持16例,2錠12例,3錠2例である.副作用は多くの例で嘔気,嘔吐,胸やけ,胃部不快感で1例は服用拒否,1/2錠に減量服用2例である.

【考案】従来SHPTの治療としては,活性型ビタミンD製剤,OCT,リン吸着剤が使用されてきたが,PTHのコントロールが不良な例は,やがてP,Ca値が上昇して最終的にPTX,PEITに移行せざるを得なかった.レグパラ(R)はP,Ca値を下げながらPTHを抑制するというSHPTの理想の治療薬と考えられ,事実,当院の患者でも現在までの治療効果は良好である.問題は本剤服用で出現する腹部症状である.多くの例で慣れると服用可能となるが,服用できない例もある.今後本剤で長期的にSHPTをコントロールできるのか,従来不可逆的とされた結節性過形成例ではどうなるのかが課題と考えられる.

【結語】レグパラ(R)は,SHPTの治療に極めて有効な薬剤である.

「演題2」−当院透析患者に対するシナカルセト塩酸塩(レグパラ)の使用症例−

○信澤 恵 白根クリニック

シナカルセト塩酸塩、(レグパラ)は、副甲状腺表面のカルシウム受容体に直接作用することでPTHの分泌を抑制する薬剤です。   レグパラの特徴としては、PTHの抑制のみならず血清カルシウム、リンを低下させる作用を有しており、透析患者において問題となっている異所性石灰化による心血管系障害の発症・進展の阻止に寄与すると考えられています。 そこで、今回当院にてレグパラを使用した患者を経験し、臨床においてのレグパラの効果について若干の考察が得られたので、ここに報告します。

「演題3」−メシル酸ナファモスタットが原因と考えられるショック症状を呈した血液透析患者の1例−

○勅使河原 由佳 富岡クリニック

メシル酸ナファモスタットは出血傾向を有する患者や術後などの血液透析の際にヘパリンに変わる抗凝固剤として使用されますが、今回 私たちはメシル酸ナファモスタットが原因と思われるショックを経験しましたので、症例報告するとともに、若干の文献的考察を行いましたので報告します。

「演題4」−東レメディカル社製透析機TMD−730を使用して−

○林 秀輝 平成日高クリニック

【目的】逆濾過透析液を用いて透析開始および終了操作の自動化を行う新型透析機TMD−730に対し、承認審査へ向けた安全性・有効性を検討する治験へ参加したので報告します。

【方法】従来機TR−3000MとTMD−730をクロスオーバーで使用し、TMD−730の安全性・有効性を検討する。

【結果】TMD−730は操作の自動化が図れ、安全性に問題なく臨床に使用することができた。このことにより今後予想される患者数の増加、看護師の作業量の増大に対応する有効な透析装置だと考えます。

「演題5」−大量の発汗を呈したキノコ中毒と思われる血液透析患者の一例−

○和田 好正 両毛クリニック

【はじめに】野生のキノコ摂取後に大量発汗を来たし,キノコ中毒を発症したと思われる血液透析患者を経験したので報告する.

【症例】59歳男性,透析歴6年5ヵ月,原疾患は慢性糸球体腎炎で,現在1回4時間週3回血液透析施行中.ドライウェイトは49.0kg,透析間の体重増加は0.5〜1.9kg,尿量は平均150mL/day.

【経過】発症2日前の土曜日,透析施行後,体重48.9kgにて帰宅.帰宅後,当院透析患者K氏より山で採集したキノコを譲り受け,自宅で調理し摂取した.翌日の日曜日,前日の残りのキノコを調理し再度摂取.発症当日の月曜日,義兄が知人からもらったキノコを譲り受け,自身で煮込みうどんに調理し夕食で妻と共に摂取.後から長男,長女も摂取した.その後,入浴施設で露天風呂やサウナなどに約30分入った後,帰宅するため施設を出たところ,大量に発汗してきた.帰宅後も大量発汗が続いたため,当院来院.来院時の体温35.2℃,体重48.6kgで前回透析終了後より-0.3kgであった.意識障害,麻痺等はなかったが,著明な発汗と軽度の振戦が認められた.直ちに輸液を開始したが,発汗が治まることはなく,翌朝,体重45.8kgで来院時より-2.8kgであった.この時点で約1.2L輸液を施行しており,およそ4L発汗等で体外に出た計算となっていた.その後,除水はせず,輸液と補液を行ないながら血液透析を施行,開始から1時間経過した頃より徐々に発汗が治まり,2時間経過時点で発汗は完全に消失した.

【考察】症例からの聞き取りや実物のキノコによって摂取した3種類のキノコを推定したが,いずれのキノコも本症例にみられたような症状を引き起こすとする文献は見当たらなかった.また発汗などの症状を起こすキノコ中毒の原因物質として副交感神経に作用するムスカリン類が知られているが,透析前後のコリンエステラーゼ値は正常範囲内であった.さらに本事例発症の前後を通じて,透析患者K氏とその家人,および本症例の家人に体調の変化はなかったことからも,いわゆる毒キノコの摂取はなかったと考えられる.しかし,本症例においては,キノコに含まれていた何らかの成分が腎から代謝,排泄されず体内に蓄積され,さらに入浴,サウナで発汗したことも一因となり,発症に至ったものと推定される.今後は野生キノコを安易に摂取しないよう注意を促すとともに,同様の事例が発生した場合は,状態を考慮しながら速やかに血液浄化療法を施行するべきである.

【まとめ】一般に食用とされる野生キノコでも,腎不全患者にとっては有害事象を引き起こす原因となり得ることが示唆された.

「演題6」−ポラプレジンクの 塩分知覚改善効果−

○朝比奈 貞子 日高リハビリテーション病院

味覚障害に対して亜鉛が関与していることはよく知られています。透析患者は健康人に比べて亜鉛不足が生じやすく味覚障害が多いとも言われています。

今回、我々は血中亜鉛濃度が低下していて、質問に回答が可能な透析患者13例に対しポラプレジンクを投与して塩分知覚の改善が認められたので報告します。

「演題7」−エンゼルケア−看取りの手順とその習俗について−

○石岩 和美 両毛クリニック

【はじめに】透析医療は、一旦治療を始めると最期の看取りまで連綿と続く終末医療であり、エンゼルケアはその最終看護行為である。当院はベッド数19床の有床診療所であり、最期を迎える方も当然出てくる。従来のエンゼルケアは先輩ナースから受け継がれた行為を漫然と行なっていた感があるが、今回いろいろな文献を参考にしながら、当院での新しいエンゼルケアの確立を目指してみたので報告する。

【結果】最近5年間当院で透析を受けていて、当院で亡くなった方は29例、合併症を発症して他院に転院治療中に亡くなった方は30例、他に交通事故死3例、自宅で死亡2例であった。当院でエンゼルケアを施行した方は29例、平均年齢は70.9±11.7歳、平均透析歴は7.5±6.4年であった。

 通常のエンゼルケアセットの物品に今回鼻腔、口腔、直腸へ挿入していた綿材の代わりに、新しくセーフティセットアプリケータを導入した。エンゼルケアの一つ一つの行動の意味を考えながら、具体的様式を作成した。

【考案】患者が亡くなった後、家族の方が病院に対して不満を持って帰るか、死を受け入れて納得して帰るか、そういう意味でもエンゼルケアは重要な最期の看護行為である。出来る限り家族の気持ちに添いながら意向を尊重して、心をこめて手際よくケアを行ないながら、家族に対し、励ましの言葉をかけ、心身の介護疲労をねぎらうとともに、故人に対し敬意を持ち、優しく言葉をかけ、生前と変わらぬ態度で接し、安らかなお顔になるよう心がけることが大切である。

【結語】エンゼルケアは最期の看護として重要な作業であり、充分なケアを行なうことで故人への誠意の気持ちや、家族を悲しみから救済し、家族自身への癒しが得られることを願っている。

「演題8」−日高病院・平成日高クリニックにおけるアクセス管理−

○安藤 哲郎 日高病院腎不全科

日高病院および平成日高クリニックのアクセス管理について報告する。

―特別講演―『板橋中央総合病院での腎移植』

【講師】 板橋中央総合病院 腎不全外科 川瀬 友則 先生

閉会の挨拶

両毛クリニック 池内広邦 院長