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第59回(2009.6.14)日高病院6階大会議室

平成21年6月14日(日) 9:00〜

【総合司会】 富岡クリニック 今井奈緒美

【一般演題座長】 日高リハビリテーション病院 大塚恭弘  白根クリニック 藤塚由香里

開会の挨拶

日高病院 安藤義孝 理事長

「演題1」−新たに開発した食物繊維ゼリーの血糖上昇抑制効果−

○横山真由美 平成日高クリニック

【目的】水溶性食物繊維は食後高血糖を抑制するとの報告を認める。今回、共同開発した水溶性食物繊維が血糖上昇抑制作用を有するか検討した。

【方法】対象は平成日高クリニックで維持透析を行っているHbA1C5.8%以上の糖尿病性腎症の透析患者12名。食物繊維は、オリヒロプランデュとの新たに共同開発した水溶性食物繊維(SDF)「ポリデキストロース」7g含有のゼリーを1日2回食中に摂取し、施行前後の血糖値の推移について検討した。

【結果】食前に対する食後2時間血糖値の変化率が、SDF摂取開始1ヶ月で127%から84%と有意に低下した。(p=0.029)

1)食後2時間の血糖値について有意差が認められた。

2)排便状況の改善が殆どの患者に認められた。

【考察】SDF摂取により食後2時間血糖値の上昇抑制作用が認められた。食事による食物繊維の摂取に差はなく、さらに排便の改善作用も有しており、SDFゼリーの有用性が示唆された。今後症例を増やし、更なる検討が必要である。

「演題2」−透析患者の味覚改善と飲水量の変化−

○宮川英樹 日高リハビリテーション病院

 味覚障害に対して亜鉛が関与していることは知られており、特に透析患者は健常人に比べて亜鉛不足が生じやすく味覚障害が多いと言われています。 前回、我々は血中亜鉛濃度が低下していて、質問に回答が可能な維持透析患者10例に対して、ポラプレジンクを投与して味覚が改善したことを報告いたしました。 今回、味覚の改善と飲水量、透析間体重増加量の関連を検討したので報告します。

「演題3」−透析患者の満足度調査−

○岩本多美香 富岡クリニック

 患者満足度研究は、1960年代のマーケティングリサーチにおける消費者満足度の研究を端緒として保健医療の分野で1980年代以降盛んに研究展開がみられるようになった。 その背景には、患者様が受診・受療者としての知識や権利意識を高め、より質の高い医療と納得できる説明を求めるようになったことや医療の高度化と医療費の増加のなかで、医療の質を保証し、改善するための医療評価が求められている事と、医療の最終目標の一つとして、患者のQOLの向上が重要である。その評価は患者の判断によるものであり、患者満足度調査などが利用される。 このことにより当院では患者数の増加に伴い、一部の患者より設備やスタッフに対する意見や要望を聞く機会が増えていた。 そこで今回、外来透析患者全員が当院に対し、どのような環境や対応を望み、どのような不満を持っているか明らかにするため患者の満足度調査を行ったので報告する。

「演題4」−当院透析室における災害対策への試み−

○木暮和彦、麓真一、塩生明美、井野口秀実、田丸裕子,溜井紀子、筒井貴朗、安藤哲郎、安藤義孝 日高病院

【はじめに】近年、阪神大震災や新潟中越地震を教訓に多くの病院、施設等で災害訓練や緊急離脱訓練などの災害対策の報告がなされている。 しかし、当院透析室においては過去に災害訓練は行われていない。 当院は急性期病院であり、入院中の透析患者は、高齢で寝たきりの患者も多い。 その為、避難にスタッフの介助が必要である。 したがって実際の災害時では、われわれスタッフは冷静かつ迅速に患者を安全な場所まで避難させなければならない。 そこで今回われわれは、火災、大規模地震を想定した災害訓練を行い、スタッフの役割と災害時の問題点を検証したのでここに報告する。

【目的】火災、大規模地震を想定した災害訓練を行い、スタッフの役割と災害時の問題点を検証する

【方法】勉強会の実施、ベッド周囲の環境の見直し、透析関係スタッフを患者役に想定し火災、大規地震を想定した災害訓練の実施。 実際の災害を想定し、役割、必要物品、実施内容、緊急離脱方法を設定、訓練を行う。 訓練後の災害対策についてのアンケートの実施、問題点などの抽出を行った。

【結果】今回の訓練によって、各個人の役割分担や、非難時の離脱方法が明確になりスタッフの災害に対する意識の向上が見られた。 しかし、実際の災害時には限られた人数での対応となり、緊急時の焦りや不安から正確に行えないことも考えられる。 今後はスタッフ各分担の役割を的確こなせるよう定期的な訓練が必要である。

「演題5」−当院のインフルエンザの発生状況と対策−

○加藤久美子 両毛クリニック

【はじめに】インフルエンザは感染力、毒性の強いウイルス感染症である。 今回、最近3年間の当院透析患者およびスタッフのインフルエンザの発生状況を検討し、予防および対策についてまとめたので報告する。

【結果】インフルエンザ発症者は、透析患者およびスタッフで平成18年は7例、7例、平成19年5例、5例、平成20年5例、1例であった。 インフルエンザワクチン接種率は、透析患者およびスタッフで平成18年は45.4%、81.3%、平成19年56.3%、82.1%、平成20年65.0%、 92.6%であった。 過去3年間で、透析患者ではワクチン接種者のインフルエンザ発症率は0.6%、非接種者は5.2%であった。 スタッフではワクチン接種者の発症率は4.8%、非接種者は8.3%であった。 インフルエンザ流行期には、患者への注意文書を掲示し、患者へも渡している。 来院前に発熱している場合には、電話で連絡してもらい、来院時に直ちにインフルエンザの検査を行う。 透析患者の発症者の治療にはオセルタミビル(タミフル(R))を使用する。 診断が透析中であれば透析後に、透析前であれば直ちに1カプセル75mg服用、次の服用は次の透析後にする。 各透析後、1カプセルずつ計3回投与する。 発症後の透析は個室で隔離透析を3回行うことにし、患者は来院後に更衣室へ入らず、他の患者と接触しないようにする。 患者およびスタッフはマスク着用、スタッフは固定し、機材については、単回使用のものは適切に破棄。 器具は高圧蒸気滅菌処理、0.05〜0.5w/v %(500〜5,000ppm)次亜塩素酸ナトリウムで清拭、消毒用エタノ一ルで清拭、70v/v%イソプロパノ一ルを使用して清拭、リネン類はビニ一ル 袋に入れて密閉し感染と記入しリネン業者へ依頼。 室内は空気紫外線殺菌装置ゼロマックスを24時間使用する。

【考案および結論】今回の当院の検討では、ワクチン接種者のインフルエンザ罹患率は非接種者に比べ明らかに低率であった。 今後、家族も含めて透析患者のワクチン接種率をもっと高めることが必要である。

「演題6」−エリスロポエチン製剤からダルベポエチンαへの切替えによる臨床効果の検討−

○豊田大樹 白根クリニック

【はじめに】ダルベポエチンαはエリスロポエチンの構造を修飾したもので、より長い血中濃度を維持できる。 そのため少ない投与回数でより安定した貧血改善効果を得ることができると期待されている。

 そこで、今回当院において、エリスロポエチン製剤とダルベポエチンアルファを同期間使用した患者を対象に使用前後における。 Hb値、フェリチン値、投与量、 投与回数を比較検討した結果、若干の考察が得られたためここに報告いたします。

「演題7」−腸管洗浄剤(ビジクリア(R)錠)を服用して大腸内視鏡検査を受けてテタニーを起こした慢性血液透析患者の1例−

○布施田隆志 両毛クリニック

 81歳男性。 昭和60年くも膜下出血手術、平成10年胃癌手術、平成13年9月下行結腸癌手術、平成14年虫垂炎手術の既往がある。 慢性腎不全で平成15年10月20日血液透析導入、以後1回4時間週3回外来維持透析を施行中。

 平成21年3月16日、下行結腸癌手術後の定期検査で大腸内視鏡検査を受けた。 3月17日(火)朝、定期の透析で来院、昨夜から四肢に力が入らない、歩けない、会話もしづらいということであった。 診察して、発語はスムーズではないが、意思表示は出来、動作は緩慢であるものの、片側の麻痺はなく、脳病変は否定的と考え、定期の血液検査を透析前に施行することにした。 出てきた検査結果はCa 4.1mg/dl、P 19.9mg/dlであった。 両手は助産者の手、トルーソー、クボステク現象陽性で、腱反射消失、心電図はQT時間が延長していた。 「テタニー」と診断、 直ちに透析を開始した。 1時間、2時間と時間の経過とともに症状は改善、4時間透析終了時には、普段通りに動けるようになり、腱反射は正常、QT時間も正常に戻り、Ca、P値は改善した。 通常の会話ができるようになった時点で、今まで使用されてきた腸洗浄剤はニフレック(R)(ムーベン(R))だったが、今度新しく錠剤を水で飲む薬を使用したと本人が話した。 その時点で持参した使用説明書がロッカーに入っているというので見たところ、ゼリア新薬のビジクリア(R):中身はリン酸水素ナトリウム一水和物、無水リン酸水素二ナトリウムであり、1回の検査で50錠(約50g)服用したことが判明。 原因はこれであると判断した。 通常透析患者には食事中のリンを800mg/day以下にするように指導していることからみても、今回の服用量は大量のリン量であり、これがリン酸カルシウムとなって体内のカルシウムを吸収し、低カルシウム血症、一部は吸収されて高リン血症を呈したと考えられた。 その他、肝機能は正常であったが、来院時に同時に採血したCPK値は1289U、3月19日2119U、3月23日492Uであった。

 その後の患者は、大きな変化なく通常の維持透析に通院中である。

―特別講演―『CKDの管理とCKDは何故CVDのリスクとなるのか』

『講師』 自治医科大学腎臓内科 教授 草野 英二 先生

閉会の挨拶

両毛クリニック 池内広邦 院長