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第62回(2010.12.5)日高病院6階大会議室

日時:平成22年12月5日(日) 9:00〜

【総合司会】富岡クリニック 清水美子

【座長】日高リハビリテーション病院 林高志  日高病院 田丸裕子

開会の挨拶

 日高病院  安藤義孝 理事長

「演題1」−シャントトラブルに関与する因子−

 ○近藤昭之  平成日高クリニック

【目的】シャントトラブルに関与する因子を検討する。

【対象】当クリニック維持透析中で動脈硬化健診を受けた患者202名。男性125名、女性77名、平均年齢65.2歳、平均透析歴12.7年。

【方法】動脈硬化健診を受けた患者を1年間でシャントPTA・シャント再建術の施行群と非施行群の2群に分け、ABI・PWV・心エコー・頚動脈エコー・血液データをt検定にて有意差を検定した。

【結果】シャントPTA・再建術の施行群でPWV2106.42cm/s 非施行群PWV1755.83 cm/s(p=0.003)と施行群で有意に高値であった。その他血圧・脈圧に有意な差は認められなかった。

【結論】PWVに有意な差が出たことによりシャントトラブルには、動脈硬化が関与する可能性が示唆された。

「演題2」−BH(ボタンホール)穿刺の有用性−

 ○武藤駿介  両毛クリニック

【目的】BH(ボタンホール)穿刺は穿刺時の痛みの緩和やVA(バスキュラーアクセス)血管への損傷が少なく、止血時間も短いと評価されている。当院でもBH穿刺を多くの患者に行なっており、その有用性について検討したので報告する。

【対象】維持透析患者219名中BH穿刺は165名(75.3%)で行なっている。内訳は男性102名、女性63名、年齢は29〜91歳、透析歴は2ヵ月〜32年2ヵ月、原疾患は非糖尿病111名、糖尿病54名であった。

【方法】内シャントを有する例の血管は鋭利な通常のシャント穿刺針で、閉塞した内シャント吻合部、手関節部の橈骨動脈および表在化上腕動脈は透析クランプ針で、最初数回反復穿刺してその後はBH穿刺針(ペインレスニードル、ダルニードル)で穿刺する。

【結果】VA別のBH穿刺は、内シャントでは187名中動脈・静脈ともに137名、動脈のみ3名、静脈のみ10名。人工血管では18名中静脈のみが1名。手関節部橈骨動脈の4名と上腕表在化動脈の2名では、全例で動脈・静脈ともに使用。閉塞した内シャント吻合部では8名中動脈・静脈ともに使用7名、動脈のみ使用1名であった。穿刺時の疼痛はBH穿刺で従来の穿刺針より139名中93名(67%)で軽減していた。また、針先が鋭利でないために穿刺ミスによる皮下血腫の発生がほとんどない、止血時間が比較的短い、スタッフの針刺し事故の危険性がない等の特徴が確認できた。

【考察】当院透析患者において、BH穿刺針使用例は219名中165名(75.3%)であった。このうち14名はarteriovenous fistulaを有しないシャントレスであった。また、従来の穿刺針に比べ、疼痛が少なく穿刺痕も目立たず血管へのダメージも少ないこと、針刺し事故の危険性がなく感染防止の面からも有用なことなどから、今後も多くの症例に使用されることが考えられる。しかし、比較的高価であることが今後の課題である。

【結語】BH穿刺は、血液透析におけるVA確保の手段として有用な穿刺法である。

「演題3」−当院での長期留置カテーテル使用患者の現況−

 ○野口隼矢  富岡クリニック

 現在、慢性腎不全患者数は平成21年度全国調査において29万人へ増加し透析導入も高齢化が進み長期透析患者数も増加傾向にあります。そのような背景からバスキュラーアクセストラブルも多くなり、末梢血管の荒廃によりシャント・人工血管・動脈表在化の作成が困難な症例が存在する現状です。このような症例に対して長期留置バスキュラーアクセスカテーテルは循環動態への負担が少なく穿刺痛がない為、有効な選択肢の一つです。 しかしカテーテルの閉塞・感染・留置血管の狭窄の問題もあり、日頃の管理と観察が重要となります。

 今回、当院での長期留置バスキュラーアクセスカテーテルの現況を調べ、課題について検討しましたので報告します。

「演題4」−当院透析患者における睡眠時無呼吸症候群の調査−

 ○信澤加奈子  日高リハビリテーション病院

【はじめに】透析患者の睡眠時無呼吸症候群は、心血管系疾患の危険因子のひとつであると言われています。しかし自覚症状が少ないとこからその病態を正確に把握するにはポリソムノグラフィ検査を行う必要があります。今回、当院の透析患者に27名に対して、睡眠時無呼吸症候群の簡易ポリソムノグラフィ検査を施行しましたので報告します。

【対象】当院透析患者160名中、睡眠時無呼吸症候群の簡易ポリソムノグラフィ検査の同意を得られた27名(男性18名、女性9名)。原疾患は糖尿病性腎症10名、非糖尿病患者17名でした。

【方法】透析日にPHILIPS社製スマートウォッチPMP-300Eを自宅に持ち帰ってもらい、就寝前に装着し、終夜連続して測定を行いました。

【結果】AHIが正常な透析患者は0名。軽症が6名。中等症が9名。重症が12名でした。重症例の治療として、CPAPを用いたところ、AHIの改善が見られた症例がありました。

「演題5」−透析患者の痒みに対するナルフラフィン塩酸塩(レミッチ)の有用性−

 ○竹之内恭兵  白根クリニック

【はじめに】透析患者の痒みに対し、抗ヒスタミン薬等で十分な効果を得られない痒みは、日常生活の支障や精神的苦痛をもたらし、QOLの低下につながる。今回、ナルフラフィン塩酸塩(以下、レミッチ)を服用し、痒みが軽減したことでQOLの改善を認めたので報告する。

【対象及び方法】当院維持透析患者の内、掻痒に対してレミッチを処方された7名を対象とし、使用前後の掻痒度を5段階フェイススケール(白取の分類)を用いて聞き取り調査行った。

【結果】レミッチの服用を始めてから、白取の「かゆみの重症度基準」のスコアに1〜3の改善が認められた。掻破のあった患者に関しても掻破が改善した。

【シンポジウム】 テーマ−安全管理について−

1)「当院におけるクレーマー対策について」

   平成日高クリニック  下田富美子

2)「当院での患者同士のトラブルとベット配置の注意点」

   富岡クリニック  松本晃

3)「透析室における医療安全管理」〜過去3年間のインシデント・アクシデントレポートの集計〜

   日高リハビリテーション病院  下田一幸

4)「透析室におけるインシデント・アクシデントの現状」

   白根クリニック  小野隆

5)「当院における5年間のインシデント・アクシデント報告」〜分析と対策〜

   両毛クリニック  島田弘子

− 特別講演 −『iPadが導く新しいバスキュラーアクセス管理』

 『講師』 日高病院腎臓外科主任医長 安藤哲郎先生

閉会の挨拶

 両毛クリニック  池内広邦 院長