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第65回(2012.7.15)日高病院6階大会議室

日時:平成24年7月15日(日) 9:00〜

【総合司会】平成日高クリニック 飯塚昌代

【一般演題座長】富岡クリニック 高橋正臣  日高リハビリテーション病院 飯塚晴美

開会の挨拶

日高病院  安藤義孝 理事長

「演題1」−透析用監視装置TR3000MAを使用した透析治療の実際−

 〇高橋佑介  平成日高クリニック

【はじめに】当院では2月に全自動透析用監視装置(東レメディカル社製:TR3000MA)30台を設置した。全自動化の実現に向けて器械の操作説明会を行い、ET・生菌を測定し東レメディカルに提出した。その結果、超純粋透析液と判断された為、6月より20台を全自動対応として稼動を開始した。今回、臨床で全自動透析監視装置を使用し、装置の有用性と操作性について報告します。

【まとめ】今回は透析用監視装置TR3000MAの臨床使用を報告した。今後は全自動化の特徴である作業効率の向上を図り、患者のケアに十分な時間を確保できることが期待できる。 本装置は従来の装置に比べ生理食塩水の不要や水質加算(2)の取得により経済的にも有益な装置である。

「演題2」−個人用、透析装置に用いる洗浄薬剤の検討−

 ○松井孝介  富岡クリニック

 長期維持透析患者の合併症の要因でもあるβ2-MGが注目され、低分子蛋白領域以上の溶質除去の向上を目的としたダイアライザーが開発されてきました。除去された蛋白質が透析装置内の配管や排液ラインなどの汚染を促進する要因となっています。

 今回、当院でも排液ラインの蛋白質の付着が目立ち、蛋白除去に効果のある過酢酸系洗浄剤クリネード-502を使用してみました。若干の考察を得たので報告します。

「演題3」−ネスプからミルセラへの変更による貧血改善効果の検討−       

 〇高橋麻美  白根クリニック

 エポエチンベータペゴル(ミルセラ)は、ヒトエリスロポエチンの1分子に対して、分子量約3万のポリエチレングリコール1分子を科学的に化合させた分子量約6万の新規ESAで、第二世代のダルベポエチン(ネスプ)より長い血中濃度を維持できる。そのため、少ない投与回数でより安定した貧血改善効果を得ることができると期待されている。

 今回、当院維持透析患者の内、ネスプからミルセラへ切替え6ヶ月経過した患者8名を対象にHb値、血清フェリチン値、投与量、鉄剤投与回数の比較検討を行なったのでここに報告する。

「演題4」−当院維持透析患者の腎移植に関する意識調査−

 〇高橋恵梨  日高リハビリテーション病院

 昨年より日高病院にて生体腎移植が実施され、当院の維持透析患者1名も今年の1月に生体腎移植を行った。現在、2名の患者が移植候補者として移植前検査等の準備を進めている。腎移植は血液透析よりも寿命が延び、QOLを高める治療法であり、慢性腎不全患者にとっては期待が大きく関心の高い治療法であると言われている。今回、当院の維持透析患者116名に対し、腎移植に関する意識調査を行った。腎移植に関しては、90%以上の患者が知っている、聞いたことがあると回答したものの、医師からの説明を受けたことがある患者は33%に止まった。腎移植を是非行いたいと希望する患者は16.4%であった。

「演題5」−インフルエンザ抗原迅速検査で偽陽性反応を呈した1例−

 〇菊地敦子  両毛クリニック検査科

【はじめに】インフルエンザの診断には、イムノクロマト法を用いたインフルエンザ抗原迅速診断キット(イ迅速検査)が多くのメーカーより市販されている。それぞれに特徴があり、判定時間も2〜15分と短時間で結果がでるため、多くの病院や開業医で使用されている。当院でも年間100件近くの検査を実施している。今回我々は当院で使用しているイ迅速検査で偽陽性反応を呈した症例を経験したので報告する。

【症例】83歳、女性。27歳時に関節リウマチ発症。子宮筋腫、両膝人工関節手術、両眼白内障手術、十二指腸潰瘍の既往がある。腎硬化症からの慢性腎不全で平成23年1月29日血液透析導入、1回4時間週3回血液透析中。平成23年11月インフルエンザワクチン施行。

 平成24年1月17日、体温37.4℃、咳嗽、喀痰、倦怠感、食欲不振があり、同居の孫がインフルエンザA型と診断されたということで、イ迅速検査を施行して陽性だった。タミフル1カプセル服用後、当院のマニュアルに従って、3回は個室隔離透析を施行し、3回目にイ迅速検査で陰性を確認後に一般透析室に戻す予定だったが、この時点でイ迅速検査は陽性と出たので、症状は消失していたが、さらに隔離透析を続けることになった。その後、透析毎にイ迅速検査を行うも陽性、10日経過した時点でイナビル吸入した。第12病日(1月28日)にRT-PCR検査をSRLに依頼し、2月10日にインフルエンザA、Bともに陰性の結果が出た。2月11日に他メーカーのキットでも検査したが、陽性、陰性と一定でなかった。 

【考察】イ迅速検査とウイルス分離培養法の比較でA型は3.0〜9.9%、B型は1.9〜7.2%が偽陽性を示したという報告がある。また、偽陽性検体の中にリウマチ患者や臓器移植患者の事例も報告されている。今回使用のキットではマウス由来の抗体が使用されているので、これらの抗体と反応する因子が患者検体中に存在する場合には、偽陽性を呈することになる。本例の血清で検査すると現在も陽性を示している。確診にはPCR法があるが、結果が出るまで数日要することとコストの問題があり、一般的ではない。

【結語】インフルエンザ抗原迅速診断キットはあくまで簡易検査なので、偽陽性が疑われる場合は早めにPCR検査を実施するのが望ましい。

「演題6」−地域行政機関と連携した新しい防災・危機管理マニュアル−       

 〇佐竹博  両毛クリニック

【はじめに】阪神大震災から17年が経過し、この間、各透析施設では、建造物、透析周辺機器、緊急離脱等まで幅広く検討され、有効な地震対策が講じられている。しかし、昨年起きた東日本大震災では、津波被害、原発事故、放射能汚染、計画停電等の想定外と言える災害が重なった。このような災害時に、復旧の柱となるのは国や各行政機関である。中でも、急性期の対応には、各施設が存在する地域の行政機関との連携が重要である。今回、足利市役所と市内透析施設との懇談会を催した。

【参加者】懇談会の仲介をしたN足利市議会議員、市側からは危機管理課、社会福祉課、健康増進課、上下水道部工務課、透析施設側からは5施設の代表。

【結果】1)水道水の確保:東日本大震災の足利市の震度は5強であったが、市内の浄水場7ヶ所すべて被害はなかった。震度6以上の直下型では断水も考えられ、復旧には20日程度の日数を要すると思われ、その間は給水車で対応することになるが、医療機関については優先的に考えている。災害時には近隣6市同士が応援協定を結んでいる。A拠点病院は大型発電機、井水濾過装置を備えているが、建設当時の市との取り決めでパイプが接続されていない状態で、接続には専門業者の作業で数日間の工事になるとの申し入れに対し、市側は水道料金収入の問題なので緊急時のみの使用に限定するのであれば接続を許可するようにしたい。2)電力の確保:東京電力は県内に3支社があり、電源車を保有しているが、局地的災害には対処できるが、広域にはできない。3)燃料の確保:昨年の震災では生命にかかわる救急車、消防車等の緊急車両は優先的に給油が行われたが、今後は災害応援協定を石油商組合と結べるか検討する。4)患者の移送:患者移送に対して市は大型バスを所有していないので輸送業者からの借り上げ、他の市町村への応援要請が必要。5)透析患者の実態:透析患者の数、住所の把握、災害時の透析なしで耐えられる期間、患者への指導、災害時の患者への対策について施設側から説明。6)その他:連絡方法は基本的に災害対策本部で受ける。MCA無線を各公民館と消防分団詰所に設置してある。透析医療で大量に水が必要ということを市側は認識していなかった。

【考案・結論】防災・危機管理について透析施設と地域行政機関である足利市と懇談会を行った結果、災害時に市側、施設側双方で認識、改善すべき点が多くあることが明らかになった。透析施設の災害時の急性期の対応には、普段から地域行政機関と連絡を密にしていることが大切である。

− 特別講演 −『患者と医療者をつなぐ ”気持ち ”』

 『講師』慶応義塾大学看護医療学部 健康マネジメント研究科 准教授  森田夏実 先生

 【座長】日高病院  石崎さゆり 岸奈美子

閉会の挨拶

両毛クリニック  池内広邦 院長