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第68回(2013.12.8)日高病院6階大会議室

日時:平成25年12月8日(日) 9:00〜

【総合司会】日高病院 塩生 明美(しおにゅうあけみ)

【一般演題座長】日高リハビリテーション病院 宮川 英樹(みやかわひでき)  日高病院 石崎 さゆり(いしざきさゆり)

開会の挨拶

 日高病院腎臓外科部長 安藤 哲郎 先生

「演題1」 −積層型ダイアライザーAN69膜の膜面積の違いによる各種因子に与える影響−

 ○中澤 直哉(なかざわなおや) 平成日高クリニック

【目的】AN69膜は血行動態安定化作用、血管内皮改善作用、サイトカイン抑制効果などの報告を認める。今回、AN69膜の膜面積の違いによる炎症マーカー、血行動態について検討した。

【対象および方法】本研究に同意の得られた当院外来維持透析患者8名(平均67歳)を対象とし、AN69膜H12-4000, H12-3400をそれぞれ2週間使用し使用前とそれぞれの使用2週間目の透析前後でMCP-1、Cr、ALB、β2MG、血圧を比較検討した。

【結果】H12-4000からH12-3400に変更後、透析前のMCP-1値は有意に上昇し、透析前後のMCP-1低下率もAN69膜使用前(30%)、H12-3400(35%)、H12-4000(45%)の順で高かった。他のALB、Cr、β2MG、血圧には差を認めなかった。

【結論】AN69膜は膜面積の違いにより透析効率、血行動態に差を認めないが、酸化ストレスの低下に差を認めた。

「演題2」 −ペインレスニードル17G針の使用(16G針との比較)−

 〇田村 弘明(たむらひろあき) 両毛クリニック

【はじめに】当院では、4年前からペインレスニードル針を使用したボタンホール穿刺を開始し、現在、当院維持透析患者228例のうち213例(93.4%)の患者でペインレスニードル針を使用している。今回、一部の患者の脱血側穿刺針を16Gから17G針に変更し、止血時間、穿刺痕、穿刺部の痂皮、血液流量に及ぼす影響を検討したので報告する。

【方法および対象】16G針は外径1.7mm、内径1.3mm、長さ25mm。17G針は外径1.5mm、内径1.1mm、長さ25mm。17G使用対象は、表在化動脈、シャント吻合部への穿刺、内シャントでシャント内圧が高いなど止血に長い時間を要する患者、止血時にスタッフの介助を必要とする患者、穿刺痕や痂皮が拡大している患者、自宅で穿刺痕から出血を起こした患者。

【結果】17Gペインレスニードル針の使用症例は、男性10例、女性14例、年齢は39〜84歳、平均年齢65.9歳。平均透析歴は13年4ヵ月。原疾患は糖尿病10例、非糖尿病14例。バスキュラーアクセスの種類は、内シャント11例、シャント吻合部8例、表在化動脈5例。抜針後の止血時間は、比較できた6例では、3.5〜8分かかっていたのが、変更後は3〜5分となり、平均で5.9分が3.9分に短縮していた。穿刺痕の大きさ、痂皮の形成はいずれの例でも縮小を認めた。アンケートでは、穿刺時の痛みは、軽減10例、変わらない13例、痛くなった1例であった。抜針時の痛みは、痛みが軽減10例、変わらない13例、痛くなった1例であった。止血時間は、短く感じる18例、変わらない6例、長くなったと感じる0であった。穿刺痕、痂皮については、小さくなったと感じる11例、変わらない13例、大きくなったと感じる0であった。

【考察】血液透析での穿刺針は、通常16Gが使用され、当院でも当初からこの太さの鋭利な穿刺針を全患者に使用していた。その当時は、止血に20分以上要する、止血後に廊下、更衣室で穿刺孔から再出血することなどがしばしばあった。しかし、4年前からペインレスニードル針によるボタンホール穿刺を開始してから、止血時間は短縮され、再出血することはほとんどなくなった。ところが、一部の患者で、穿刺痕の拡大や痂皮の膨隆が起こり、その結果、止血時間の延長が認められるようになった。そこで、ペインレスニードル針を16Gから17Gに変更した結果、止血時間の短縮、疼痛の軽減、穿刺痕および痂皮の縮小が認められた。17G針への変更によって設定血液流量を下げなければならない事態は生じていない。

【結語】脱血側の穿刺に17Gペインレスニードル針使用は、16Gに比べて止血時間の短縮、疼痛の軽減、穿刺痕および痂皮の縮小に有用である。 

「演題3」 −下痢を契機に併用薬剤の副作用が顕著に発現した透析患者の一例−

 〇辺見 絵里奈(へんみえりな) 両毛クリニック

【はじめに】透析患者では透析歴が長くなるにつれて合併症が多くなり、併用する薬剤も増えてくる。今回、長期透析例で併用薬剤の副作用が顕著に発現した一例を経験したので報告する。

【症例】71歳、男性、元会社員。原疾患は慢性糸球体腎炎。昭和53年8月血液透析導入、透析歴は35年。CTS、両肩インピジメント、ばね指の手術を受けている。平成20年5月にA病院にて冠動脈バイパス手術を受けた。平成25年4月に間歇性跛行出現しD病院にて両下肢動脈閉塞症と診断され、アンプラーグ(R)100mg3錠、プレタール(R)50mg4錠を処方された。

平成25年9月19日、午後2時頃から下痢便発現。翌日20日、来院。水様便が計10回あったということでソリタ(R)T4号500mL2本計1000mLを補液。21日、透析3時間半で終了、水様便6回ありソリタ(R)T4号500mL補液。22日、全粥と味噌汁開始するも水様便8回ありソリタ(R)T4号500mLを補液した。23日、透析中に悪寒を伴う発熱(38.1℃)があり、CRPは2.39mg/dLであった。24日、発熱(38.8℃)が続きタリビッド(R)投与開始。25日、体温は36.2℃、午前9時リスモダン(R)100mg1カプセル内服して透析開始。透析開始して30分後に急激な血圧下降と頻脈発作(af)が出現し1時間40分で透析を中止した。透析後も頻脈が続いていたのでさらにリスモダン(R)1カプセル内服し、15時には整脈になった。しかし、18時に頻脈発作が出現、リスモダン(R)1カプセル内服後まもなく整脈に戻った。この日はリスモダン(R)を計3カプセル内服した。26日の朝6時30分に冷汗、空腹感を訴え血糖値51mg/dLでブドウ糖を飲用した。その後、食事も摂れるようになったが、低血糖発作が頻回に起るようになり29日午前3時に意識は清明であったが、血糖値が25mg/dLとなりソリタ(R)T4号500mLに50%ブドウ糖20mL3アンプルを加えて補液。その後、低血糖発作は改善された。この時の低血糖の原因をタリビッド(R)とリスモダン(R)を併用したことによる副作用と考え、タリビッド(R)とリスモダン(R)を止め、頻脈に対してはワソラン(R)40mg1錠に切替えた。しかし頻脈が頻回に出現したためプレタール(R)の副作用を考え、プレタール(R)を10月3日で止めた後、頻脈が軽減した。

【考案および結論】リスモダン(R)は高齢者、糖尿病、肝障害、腎障害、栄養状態不良の患者に低血糖を起こしやすいとされており、タリビッド(R)は腎機能障害者では血中濃度が異常に上昇する恐れがあり、痙攣や低血糖等の副作用が発現するとされている。プレタール(R)使用の際の頻脈も良く知られている。従って、合併症の多い透析患者では、併用薬剤の副作用に充分留意する必要がある。

*(R)は丸にRの登録商標マーク

「演題4」 −QOLを交えたレミッチの臨床効果について−

 〇茂木 英彦(もぎひでひこ) 白根クリニック

【目的】レミッチ使用によるQOLを評価する

【方法】当院維持透析患者の内従来の薬物療法やスキンケアで改善しない難治性透析掻痒症患者13名を対象とし、レミッチ使用前、2週後、4週後、8週後で、痒みの強さをVASにて評価し、QOLの評価に関しては、Skindex29を用いた。また、皮膚トラブル患者に対しては写真撮影にてレミッチ投与前後を比較した。また、投与量に関しては2.5μg/日から投与した。

【結果及び考察】今回の検討では、痒みの強さにおいてレミッチ投与後より、既存治療では改善されなかった痒みが有意に改善される傾向が見られた。また、今回QOLの評価指標として用いたSkindex29では総合スコアおよび全ての下位スケールスコアにおいてレミッチ投与前と比較し有意に減少しており痒みの軽減が皮膚掻痒症を有する透析患者のQOLの改善につながったと考えられた。

「演題5」 −当院透析患者の循環器内科受診状況−       

 〇下境 真理(したさかいまり) 日高リハビリテーション病院

 日本透析医学会の2012年統計調査によると、慢性透析患者の死亡原因の第一位は心不全で、全体の27.2%を占め、その割合は近年増加傾向にあります。透析患者では、基礎疾患に加え高血圧や脂質代謝異常、石灰化など心不全に陥る危険因子を合併する頻度が高いため、積極的な早期治療や治療後の定期的な受診が必要となります。当院では、作年11月より日高病院循環器内科、古賀先生の外来を毎週木曜日に行い、現在までに60名近い患者が延べ223回受診しています。今回、約1年間の受診で、32名の患者が冠動脈造影検査(CAG)を行い、19名が経皮的冠動脈形成術(PCI)を行いましたので、その状況を報告します。

「演題6」 −トレシーバの使用感調査  〜患者のアンケート調査から〜−

 〇羽鳥 信明(はとりのぶあき) 富岡クリニック

 平成23年度厚生労働省「患者調査の概要」では糖尿病患者は約270万人とされています。糖尿病性腎症で人工透析を受けている患者は11万1554人と増加しており、当院でも糖尿病性腎症の患者は増加しています。

 今回、本年3月に発売された時効型溶解インスリンアナログ注射液でインスリン注入器の改良を加えた「トレシーバ」へ変更する機会を得ました。この「トレシーバ」に変更になって実際にどのような所が患者の負担軽減に繋がり、QOL・使用感の変化があったのか疑問に思いアンケートを用いて調査を行いました。

 アンケート結果から今後の課題・期待が表出されたので報告します。

− 特別講演 − 『よくみられる泌尿器科疾患の症候と病態』

 群馬大学大学院医学系研究科泌尿器学 教授 鈴木 和浩 先生

閉会の挨拶

 両毛クリニック 池内 広邦 院長