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移動年計

T.移動年計とは何か

移動年計とは、月々の変動、季節変動等に影響されないで、純粋に売上等の変動を見るための道具であり、これをグラフにすると、トレンド(傾向)の視覚的理解が容易になる。

移動年計が必要な理由:

月々の売上高等は、色々な要因によって変動するため、売上等が上昇しているのか、下降しているのかわかりにくいため

売上等が上昇しているのか、下降しているのかを、分かりにくくしている要因

1.季節変動による繁忙期と閑散期

2.決算月の追込み売上

3.月々の日数の違い

4.定期的な夏休み等

 

U.移動年計の計算方法

1ヶ年間の累計額を、1ヶ月つ゜つ移動させて計算する

例を挙げて説明する。2004年12月の売上の移動年計は、2004年の1月から12月までの売上の合計額である。

翌月の2005年1月の売上移動年計は、前月の売上の移動年計に1月の売上を加え、前年度の1月の売上を、減算して算出される。

2005年1月売上移動年計は、前年1月と当年1月の差額分だけ、増減するのである。

2004年12月売上移動年計=2004年1月+2004年2月+2004年3月+2004年4月+

                   2004年5月+2004年6月+2004年7月+2004年8月+

                   2004年9月+2004年10月2004年11月2004年12月

2005年1月売上移動年計=2004年2月+2004年3月+2004年4月+2004年5月+

                  2004年6月+2004年7月+2004年8月+2004年9月+

                  2004年10月+2004年11月+2004年12月+2005年1月

                =2004年12月売上移動年計+(2005年1月−2004年1月

このように計算から、次のような特徴が出てくる。

 

V.移動年計の特徴

1.常に1年分を、加えているので、毎年おきる月々の変動に影響されない

2.月々の変動に影響されないため、売上等のトレンドが良く分かる

3.毎月売上等の年次決算をやっていることになる

 

W.移動年計グラフ

計算結果をグラフにする。このグラフをぜひ利用していただきたい。

売上移動年計のグラフを例で説明しよう。

データは次の通りである。

年月

売上高

売上年計

2003年1月

6,440

 

2003年2月

4,361

 

2003年3月

6,127

 

2003年4月

5,575

 

2003年5月

5,364

 

2003年6月

5,594

 

2003年7月

6,000

 

2003年8月

4,678

 

2003年9月

5,607

 

2003年10月

5,825

 

2003年11月

5,610

 

2003年12月

9,308

70,489

2004年1月

5,472

69,521

2004年2月

4,425

69,585

2004年3月

6,627

70,085

2004年4月

5,299

69,809

2004年5月

5,171

69,616

2004年6月

5,910

69,932

2004年7月

6,191

70,123

2004年8月

4,831

70,276

2004年9月

5,612

70,281

2004年10月

5,856

70,312

2004年11月

5,632

70,334

2004年12月

9,012

70,038

2005年1月

5,479

70,045

2005年2月

4,672

70,292

2005年3月

7,070

70,735

2005年4月

5,333

70,769

2005年5月

5,214

70,812

2005年6月

6,097

70,999

2005年7月

6,207

71,015

2005年8月

4,837

71,021

2005年9月

5,900

71,309

真ん中の蘭は、各月の売上高である。これは、移動年計のグラフの対象ではない。

右の蘭が移動年計のグラフとなる数値である。2003年12月から2005年9月までが、移動年計のグラフになる部分である。2003年1月から2003年11月までは、合計が、12ヶ月未満であるため移動年計のグラフの対象外になっている。

上の緩やかなグラフが、移動年計のグラフである。

 

X.移動年計グラフの種類

1.総売上年計 (全社合計)グラフ

2.主要商品別売上年計グラフ

3.地域別売上年計グラフ

4.得意先別売上年計グラフ

5.粗利益・付加価値・人件費・経費・経常利益等の年計グラフ

 

Y.グラフ作成時の留意点

1.縦目盛りは、ゼロから始め、等間隔で、途中を省略しない。

2.グラフは、横軸と縦軸の比を1:2〜1:3ぐらいにし、縦長のグラフにする。

3.例えば、得意先別売上ならば、左の目盛りをそれに対応する目盛りにし、右の目盛りは、10分の1にし、総売上に使う。こうすることで、総売上だけ上にかけ離れてしまうグラフにならなくてすむ。

4.総売上年計(全社合計)は、単体で使うのではなく、各種の移動年計一緒に記入する。

5.一枚のグラフには、主要商品別なら主要商品の全てを記入する。一商品毎に一枚のグラフを作ると、全社における各商品の位置づけが分らなくなる。

6.個々の年計グラフに、他の種類の年計を入れない 。例えば、主要商品別に、地域別や得意先別等を入れない。見にくくしてしまうだけである。

 

Z.グラフの読み方

年計グラフから二つの情報を読み取ることができる。

1つは、長期的なトレンド(傾向)であり、もう1つは、景気の動きである。

1.長期的なトレンド(傾向)

(1)年計グラフは、1年分の数値を合計しているから、そのトレンド(傾向)は、振幅の上下が大きくない波形を描くグラフになる。

(2)「経済活動の惰性」により、グラフが、上昇し始めると、少なくとも数カ月またはそれ以上、上昇し、逆に、下がり始めると、下がり続ける。

2.景気の動き

年計グラフは、景気の変動により、大きな波を打つグラフになる。

(1)年計グラフでは、 景気の上昇とともに、グラフは、谷から山まで上昇し、不況になると、山から谷まで下降する。

グラフは、山に近づくと、その上昇する傾斜がゆるくなり、平行になり、逆に、緩やかな傾斜で、下降をはじめ、傾斜が急になっていく。

谷に近づくと、その下降する傾斜がゆるくになり、平行になり、逆に、緩やかな傾斜で、上昇をはじめ、傾斜が急になっていく。

(2) 谷から山、山から谷の変動は、景気の変動を示している。但し、生活必需品は、景気の変動に関わらず消費されるから、ほとんど年計に影響しない。

谷から山、山から谷に変わる付近では、上昇する傾斜または下降する傾斜がゆるやかになる。

4 この2つの特質から、景気の変わり目をとらえることができる。

 

[.年計の様々な形と対処法

年計が横ばいまたは右肩下がりの場合

(1) こういう状態が1番危険である。

A.商品に大きな問題が無いかをチェックする

a.商品の構成をチェックする

b.マーケティング戦略の妥当性を検討する

年計が「くの字形」に折れ曲がる場合(年計が変わるほどの大きな影響を当社に与えていることを意味する)

(1) 会社の内外の環境の変化を表している

A 会社の外部環境の変化

a.新たに参入した強敵会社の出現

b.競合会社の新商品の開発

c.当社の主力商品に類似した商品の出現

B 会社の内部環境の変化

a.新規得意先の獲得

b.新商品の開発

c.新規事業の立ち上げ

d.営業所の新規開設

e.商品の値上げおよび値下げ

月々の上下が大きく不規則な凹凸がある場合

(1)緩やかな傾斜のグラフが、通常である。このように月々の上下が大きく場合は、事業の不安定性を意味している。売上物件 一件当たりの金額が大きな会社に発生しやすい

A 突然生じた大きな物件売上は、一年経過するとその影響が消えてしまうから、長期的には無視してもかまわない。
B これが
日常的である場合は、物件単価が、会社の規模に比較して高額すぎるためである。1件あたりの物件単価を引き下げ、受注数を増加させ、会社の安定経営を目指すべきである。

 

経営者 が、注目すべきは、主力商品、高収益商品の売上年計である。これらの商品の伸び率を常にチェックすべきである。

参考:一倉 定「社長の販売学」及び他著書

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